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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

作家の名前は本でした。

マッチ売りの少女がもし、商売上手だったら?

作者: 仲野 澄

祖母のお通夜が終わりました。

一応遺書は見つかっていますので、遺産相続は滞りなく進みました。


一応、孫ということで、おこぼれを預かりまして、「ゆらめき」という分厚いのに中は真っ白な本を貰いました。


最近気になることがありまして、

久しぶりに童話集を読んだのですが、マッチ売りの少女がもし、商売上手だったら?と考えていたらいてもたってもいられなかったのですが、

中々脳内の物語が纏まらなくて困ってます。


ふと、

「マッチ売りの少女がもし、商売上手だったらどうなのだろう?」


と声に出してしまいました。

すると、

定子さだこよ、そんな子どもじみた物語をワシに要求するか?』


と真っ白だった本に書かれていました。


「うあっ!」

とびっくりして私はその本を投げ出してしまいました。バタッ!と本を落としてしまい、後悔しましたが、取り敢えずさっきのページを開くと、

『落とすでない!痛いではないか!もっと年寄りを敬え。

おっと、お前も年寄りだったな。我には及ばぬが。』


私はまたびっくりしましたが、今度は落とさずに眺めていました。


「私は定子じゃないよ。美羽みわだよ。」


と冗談で話しかけると、


『みわ、---


もしかして孫か!定子はどうしておる?

健在か?無事か?また面白いお題をくれるか?』


生きてる…この本は…生きてる。まるでご主人様の戻りを待つ子犬のよう。だからこそいたたまれない。


「おばあちゃんは死んだよ…一週間前に…」


『そうか、…


そうであったか。



まあ良い、これも定めじゃ、これからは貴様のお題を貰おう。確か


マッチ売りの少女がもし、商売上手だったら


だったな。


少し待て。



できたぞ!ページをめくるがよい!』
















ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






















あるところに、綺麗な小さい少女がいました。しかし、その子はとても貧しい子でした。

去年の暮れ頃に母親は流行病をこじらせ亡くなってしまいました。

住んでいた借り家の大家さんは、その子を可哀想に思い住むところを与えました。


しかし、大家さんも商売人だったので、少女はその家を出て大家さんの家に住みました。


しかし、住むところが与えられただけで、衣服や食事は与えられませんでしたので、どうにかして働くことになりました。


母を看病してた時と同じマッチを売ることにしました。少女は母親の遺言を思い出しました。

『いかなる時も、消費者のニーズに答えるのよ!

お客様は神様なのだから、失礼のないように。季節ごとに商品を変えてみるのもいうことよ!』


です。今は冬ですから、薪などを一緒に売ろうと考えました。蓄えができたら、小麦を買ってクッキーや焼き芋を売りたいなーとも考えました。


取り敢えず、薪と一緒にマッチを売ることにしました。


結構売れたので、移動式のカートのような屋台を作ることにしました。


木を切るのも加工するのも得意ですので、さっさと作り、今度は昨日よりいっぱい稼げました。


次は焼き芋も売りました。その時に出た煤は、農家に肥料として売りました。


この調子で、少女は確実にお金を蓄えて行きました。少女は15歳になりました。



どんなけマッチが売れなくても、マッチだけは売り続けてその噂がある商人の耳に届きました。


少女は商人の館に招待されました。

そして、商人と食事をすることになったのです。


「君、君が噂のマッチ売りの少女か。」


「はい、そうです。」

少女は美味しい食事に目を白黒させながらも、粗相のないようにと考えていました。


「単刀直入に言う。君の商人としの才能に僕は感服したよ。良ければ、君をこの店で雇いたいのだが、良いだろうか?」


少女は悩みました。不安定な収入のままの生活か、それとも安定した収入か。

しかそ、せっかくのお誘いなので、断るわけにもいかないので。


「はい。ありがたくお受けいたします。」


と言いました。美味しい料理を食べていたら少女は眠くなって行きました。


「それは良かった」

という声を聞いてから少女は眠ってしまいました。












目を覚ますとそこは鉄格子のなかでした。

床や壁は石でできているはずなのに、ランプで照らされている床や壁は全部光沢のない黒でした。

状況がイマイチ理解できぬままぼーっとしていると、


「目を覚ましたか、少女よ。」


と商人の声がしました。


「あの、これはどういうことですか?」


と聞くと、あははははと笑い声がして。



「君は将来私の敵になりそうなので今のうちに殺しておこうと思ったのさ。」


と言われました。


少女はとてもびっくりして逃げようとしましたが、

手足に鎖がついていたので、

逃げられませんでした。


少女はびっくりしてしました。しかし、これは実は少女自身のせいでこうなっているのです。


なぜなら、少女は疑う心を持っていませんでした。純粋だったのです。

少女の母は商人でしたが、人を疑いすぎて倒産してしまいました。

そんな過ちを娘にさせないために、疑うことの大切さを言い忘れてしまいました。

元々純粋であった上に、人に騙されず生きてきた少女は疑う心を持っていませんでした。


疑う心を持っていないからこその悲劇です。


「すまないね。僕は疑り深いんだ。君を本当に店員にすることも考えたさ。

でも、もし、営業方針で言い合い対立してしまったらどうしよう、

と考えると、いても立ってもいられなくって。」


すまないね。




そんな声も聞こえないくらい、少女は狼狽していました。

それもそのはずです。これまで経験したことのない事件アクシデントだからです。

これまでに経験した、サツマイモの収穫不足や、薪が全然売れないとは違うことですから。

しかも、命の危機となれば、逆に狼狽しない人は少ないでしょう。




極限の状況下でも少女はどうすれば良いか考えています。


どれだけ考えても思いつきません。


「ごめんね。でも、いたくないように一瞬で殺してあげるから。」


その途端に、少女の首は飛びました。


物凄い勢いで血が溢れました。


「あはははは!血!血だー!」


この商人、実は殺人が大好きな人間でして、何度もあの鉄格子の中で人を殺していたのです。



そのせいで、壁も床も真っ黒なのでした。


商人は、彼女の服を燃やすために、マッチを擦りました。


しかし、彼女の血を含んで水分がいっぱいの服につく訳がなく、

マッチの燃えかすは彼女の近くにそっと横たわりました。






おしまい。










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー









「マッチ売りの少女は元々其れなりに重いお話だけど、もうちょっと軽くならないかな?

例えば、商人として成功してめでたしとか?」


『あんたバカじゃないの?


そんなめでたしめでたしじゃ面白くないのよ。


一回書いて読んでみたらいいわ』


「えー、書いてくれないの?」


『我は面白いし物語しか書かんのじゃ。』


「あっそ、


そういえば、結局伝えたかったことは、


人を信じすぎても疑いすぎてもいけない


ってことだよね?」


『当たりよ。


美羽も気を付けるのだぞ。


定子と似ているからそういうのに引っかかり易いだろうしの』


「はいはい。分かってますよ。


おばあちゃんの優しかったし、


お人好しだったもんね。


でも、『ゆらめき』も優しいと思うよ。


私の変な要望に答えて、物語を書いてくれるから。」


『…!


変なことを言うでない!


恥ずかしいではないか!


物語を書くのが私の仕事であり、


私の趣味なのじゃからよかろう!


気にするでない。』


「気にするか…


気になったんだけど、


さっき一瞬口調が変わってたよ。」


『!


なに!

いつじゃ!


どのようになっていた!

教えろ!』


「どうしようかなー。


やっぱやめよ。」


『美羽のケチ!


ケチは嫌いじゃ!』

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