城落としの準備
大体こんな感じです
[現状]
カンナ>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>ローラ>>>>>>>>>イヴ
城落としには大体3パターン存在する
1パターン目は、単純にアルクエリのみで編成される
依頼した側の国から、あとよろしく~といった感じで全任せされるパターン
大体は小さな城を落とすだとかその程度である
これは一番楽だ
だって、変な指示とか上下関係とか人間関係とかに気を使わなくていいからな
2パターン目は、アルクエリと依頼国との合同編成
これは一番面倒だ
何しろ無理矢理指示に従えとかほざくボケナスとかがいると、バカみたいな指示が出されたり勝手な行動ができなくなってしまう
大国の城から小さな城まで色々と幅は広い
ほんとめんどくさい
面倒な時は一番最初に誰がお前らの指示に従うか!死ね!!と言ってしまえば楽である
3パターン目は、もう無いそうだがアルクエリと依頼国VSアルクエリと依頼国の合同編成対決である
これは一番カオスである
その場合、アルクエリ同士では殺しは完全にご法度となる
殺してしまった場合は、退学というよりも賞金首として刈られる立場へと変わってしまう
更にその場合は、敵国ではなく敵側のアルクエリとの戦いになることが必然である
確か、昔に1位VS2位3位4位の戦争となり、その世界が滅びかけた程度に損傷を受けたらしい
それ以降はただのチーム戦での野外試合になるため、アルクエリに依頼する場合は早い者勝ちになるそうだ
そして、今回は2パターン目に該当する
更に中くらいの国であり、相手は1万を超えるそうだ
当然城にそこまで入らないため、平野からの防衛線となりそうである
現在、依頼国である何かえらいやつとの作戦会議中である
この空間にいるのは偉いやつ3人と俺とローラとカンナだ
とりあえず、暑いんだよ
世界のこの付近では夏なのか、テントなんて蒸し暑くて辛い
現在は夜21時くらいだと思うが、充分に暑い
もはや死ね
ただカンナは、お前らの指示に従うか!死ね!!とかいうキャラじゃないし、流されるまま指示に従うことになりそうだからローラ…
「寝てるし」
いつも通りに俺の背中にではないが、テーブルの椅子に座って考えるように腕を組みながら寝ていた
ってことは俺が頑張るしかないか
カンナは黙ってるし
「君たちに勝手されるとこちらの連携が機能しなくなる可能性があるため、」
「あの」
よくわからん作戦を聞かされ、とどめの一言を貰う前に俺が口を開くより早くカンナが手を挙げる
「私が自由に動けなさそうなので、アルクエリは勝手に動きますね。その方が犠牲も少ないと思いますし、正面にいる7000人程度はアルクエリが引き受けます。後の側面に展開されてる兵士たちはそちらで勝手にやってください」
ニッコリと可愛らしい笑顔を浮かべながら、僅かな殺気を飛ばすカンナ
有無を言わせぬ言葉であった
その僅かな殺気は殺気慣れしている俺も言葉は出てこず、寝ていたローラも飛び起きる
当然ながら殺し合いなどしたことがないであろう偉い奴らは、身動きすら取れん
「…沈黙は肯定とみなしますね。ありがとうございました。では明朝5時より行動開始します。どうか私たちの領域に人をやらぬように気を付けてください。無益な殺生は好みませんので」
そそくさとお礼を言いながら頭を下げると、俺の手を握る
退出するということだろう
ローラは俺の背中に素早く乗り込み、カンナの手を引いてテントを出る
「カンナさぁ、殺気飛ばすなら言ってよ。びっくりして飛び起きたじゃん」
テントを出るとふっと僅かな殺気が消える
それだけで呼吸が楽になるのを感じた
ローラは流石としか言わん。あれを感じて飛び起きるだけってすげぇな
そんな眠りを邪魔したからという理由でプリプリしているローラに対して、カンナはニコニコと笑う
「ごめんなさい。ああした方が楽だったから」
「というか、あ~カンナ?が」
なんというか呼び捨てにするのが正しいかわからん
ローラより女の子女の子しているので、どう接していいか普通にわからん
「えっと…あの…呼び捨てで構いませんよ。イヴさん」
表情でしか現れてなかったはずなんだが、微妙な気配を察して気付いたか?
「違いますよ。…た…ただ、手を繋ぐと何となくわかるんです」
「すげぇな…」
手を繋げば大体わかるのか
盲目だから色々な気配がわかるのか?
「あ~カンナがハッキリと意思を伝えるのは何か意外性?があったから気になっただけだから」
「…なるほど、あ…あのですね。馴れてますからあそこで引くと、…単純に面倒なので」
城落とししかしないカンナ
きっと、最初は意思を通せずめんどくさかったから馴れたのか
「ま…まぁそんなものです」
俺の心はしっかりと読まれてしまっていた
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アルクエリ学校の面々への話は早かった
「私が前に出ますので、後はご自由に」
カンナのその一言で終了した
そして、カンナは盲目であるため敵味方の判断がすぐにはできないということで、カンナは魔力をアルクエリの面々につけた
これで敵味方の区別を瞬時にするらしい
「忘れていました。討伐数は50体ずつあげますので、参加したくない人はテントで寝ていてください」
『は?』
爆弾発言
俺とローラはその爆弾発言に驚き、単純な順位上げ目的のカス共(そこそこごみ級)は驚きと共に感激の叫び
一般級は、なめるなよというはぁ!!?と感激の叫び半々である
というよりもごく一部である
殺戮万歳の俺やローラは珍しい部類らしい
「参加したい方は50+自分の討伐数で構いません」
恐らく、馴れている業務連絡みたいなものだろう
淀みなく喋る
「ただ、私の邪魔をしないでくださいね」
ニッコリと笑顔、可愛いと思うが怖い
目を瞑ったままで、全員を視ると反論が無いことを確認し頷いた
「あ~私とイヴは適当にやるけどいいよね?」
「はい、ローラちゃんとイヴさんは私の邪魔にならなそうですし構いませんよ」
殺戮ひゃっはー組の俺ら
殺戮したい症候群ではないかと最近思う。
否定はしない
いつもならよっしゃぁ!となるのだが、今回だけは違う
カンナの手を引いて、ローラの手も引いてアルクエリ学校に割り当てられたでかいテントから出る
「あ~すまん、ローラ…俺カンナの戦いを見たい。全部おぶってやるから頼むよ」
『え?』
ローラと手を握っているカンナが同時に俺を見る
「…………あ~いいよ。強くなりたいんでしょ?ならいいよ。おぶる+買い物付き合う+荷物持ち+奢り+3回私の好きな任務+同時に手柄はイヴが全部+順位999位目指す+おんぶを拒否しない+」
ちょっと待て!どれだけ条件つけるんだよ!!ふざけろこの野郎!
殺戮禁止が相当嫌なのか、すげぇ苦い顔をしてる
というかふざけんなこの野郎って表情が言っている
「えぇ!?わ…私の戦いなんて…そんな見る価値無いですよ」
こっちもこっちで混乱している
あわあわしているが、超越級の戦いを見れるなら価値しかない
「ぐぅ…ローラは後でいくらでも言うこと聞いてや」
「よろしく」
食い気味だ
本気でイライラしてる…こええ
ローラの交渉は済んだ
「いや、俺強くなりたいんだけどさ。師匠的な存在が超強くて多分カンナより強いと思うんだよ。でもカンナは俺よりも遥かに強くて師匠的な存在に強さが近いんだよ」
「…師匠的な存在ですか?…えっと…わ…私よりも強いとなりますと1位~7位ですか?」
やべぇ質問が来た
これ行っていいのか?まじで
「SSレートのアキレスのことだよ。一回殺されかけてあがめてんだってさ」
俺が困ってるとローラが答える
ローラはその辺の事情は全部知ってるからいいが、俺はそれを喋らない
あんまり喋るのはクールじゃないからな
「…あの…アキレスですか…よ…よく生きてましたね」
カンナの反応はもっともである
俺の師匠的な存在は、最悪とも言われる最高の殺戮者
魔法使いでありながら無手使いであり、その力は強級であるやつらでさえ何もできずに片手で頭が千切られる
「半殺しで済んだからな!」
師匠的な存在から、「お前強くなるな…生かしておく方が面白そうだ」と言われて半殺しされてから、師匠として崇めていた
それはアルクエリ学校の最高戦力である第1位ですら、逃げろと言われている最大級の脅威である
なので、それを公言するとやばいんですよ
まぁローラがカンナなら良いだろうという判断だから俺はそれを信じる
そんな俺に一瞬だけだが柔らかな微笑みを浮かべるカンナだったが、すぐに戻った
「では、私も明日は頑張りますからしっかり見ててくださいね」
カンナはあやうく惚れそうになるような最高の笑みで俺に対して笑いかけた
ローラはイヴに恋してません!!
断言します