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俺はクール、私は怠け者  作者: 火憐ちゃん
1/10

ここから始まる第一歩

帰国しました

長かった…ほんと長かった……


楽しく面白いバトルを目的に頑張ろうと思います。


ハチャメチャシリーズは随時更新予定です。



殴る

何かを殴るということはとても良いことだ

青い空、雲ひとつない空、自然豊かな森

そして殴る俺、プライスレス


「…ぅ」


呻き声が耳に入る

殴る音、殴った感触は好きだが、呻き声は嫌いだ

襟首を掴んでる先から聞こえてくるということは、今殴っている対象から聞こえるものだろう


「っ!」


思わず舌打ちをしてしまった

いかんいかん、舌打ちなんてものはやっちゃいけないことだ

表情変えずに、クールに相手を殴る

それが、理想だろう

そう、理想…最後に会ってから3年は経つけども、尊敬する師匠的な存在を思い出す

向かってくる敵の首を千切っては投げ、千切っては投げ一言も発さず、無表情で単純な作業のように…というか彼にとっては単純な作業だったのだろう

ペットボトルの蓋をあけるように首を千切り、それを投げる

俺は千切るよりも殴るほうが好きなため、そこだけは共感できないがその強さには憧れを抱いてしまった

目の前でそんな光景が広がっていたから、勢いで喧嘩を売ったら死ななかったけど1年意識不明というおもしろい結果になっちゃった

それから、俺は名前も知らない彼のことを師匠的な存在として崇めている


よし、あの戦いと言いたいが一方的すぎる負けを思い出して、頭はクールになった

冷静っていいよね


「うるせぇよ」


もう一発だけ殴る

ミシリと頭蓋がきしむ感触が拳に伝わる

そう、これだ

俺が望んでいたのはこれなのだ


「私が思うに、相手を殴ってにやけ面を浮かべるのって完全に頭イカれてるって思うんだけど」


「!?」


しまった!!忘れていた…

今一人じゃなかった!

いやはや、自分の世界に入ってしまっていたか…

襟首を掴んでいる対象が気絶していることを確認して、とりあえずもう一発だけ殴ってから手を離して向き直る


「いきなり頭イカれてるって酷くないか?」


とりあえず、文句だ

俺はクールであってクレイジーではない

クレイジーは駄目だ!あれは駄目だ!!あれは俺の目指すべき道じゃない


「客観的に言っただけ」


つまんさそうな表情を浮かべる少女

一応チームは組んでいるが、名前も覚えたくない

こいつはクールを理解していない…つまり俺の敵だ


「100人中120人は頭イカれてると思うけど…」


どこか可哀想な目で見られている…ような気がする

殴り倒してやろうかこいつ…


「あのさ…私達の目的忘れてないわよね?」


目的?目的ってなんだっけ?目的というのは簡単にいえば遂行条件である

うん…なんだっけか?


「確か………相手を殴ることだっけか?」


確かそんな感じだった気がする。

あっていたのか相手も無表情になる


「アホ?それとも頭に蛆でも沸いてる?」


「…」


へへへ、キレちまったよ

これはキレてもいいやつだよね。うん、まぁ敵にやられたって言えば大丈夫だろう

両手を強く握りしめる

構えないのが俺の構えだ


「…死ね」


一直線に少女へと向かう

相手は、武器もなくひょろっちい典型的な女の子である

ワンパンKOも夢じゃない…しかし、なんか忘れてるような気が


「あのさ…あんたが頭悪いことは噂で聞いてたんだけどさ…ここまで頭悪かったとは思わなかったわ…一般級が、この強級の私に敵うと思ってるの?《100メートル程の大ジャンプしなさい》」


あぁ~思い出した

こいつ魔法使いだった…

俺の身体は地面から離れて重力を感じない速度で空高く舞い上がる

絶景かな絶景かな!!木々よりも上がり、森を一望できる

綺麗な景色だなぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!!どんどん落ちるよ!!100メートルから落ちるよ!!普通にこれ死ぬんじゃないか!!?

空高くの綺麗な空気を吸って、殴った時の興奮が冷め止んでようやく思い出してきた

これって走馬灯ってやつか…苦節16歳短い人生だった



つい前日のことである

俺こと、イヴはアルクエリ学校に通う16歳の男だ

身長は171cmと中肉中背で、体は鍛えてあるが筋肉は太くなってくれず悲しいことに所謂細マッチョである


アルクエリ学校では、様々な種族が入り乱れっているが、特に喧嘩もなく学園時代は平和である

方針として、世界に役立つ人材を育てることをモットーにしているためか知らないが、通常の授業とは別にクエストを受けることができる

殺し屋を目指したい学生は殺し関連のクエスト、盗賊を目指したい学生は遺跡攻略関連のクエスト、用心棒を目指したい学生は護衛関連のクエスト等があるが、多種多様のクエストが国中から依頼される

学校が、仲介料をふんだくっているが報酬は安くても一般人の給金に換算すると1カ月相当は貰えることができる

クエストには、人数制限というものが存在し最低でも2人からが受注資格となる

人数制限は最大でも最低でも無く、基本的にはその人数での受注が必須でアルクエリ学校では学生同士でチームを組むことが必須だ

そして、全校生徒合わせて4000人を超えるこの学校には、序列というものが存在する

級で表わされており学生も使っている言葉を使用するのであれば

4000位以降はごみ級(一般人と同等レベル)

3000~4000位は多少ごみ級(武器を持たない兵士一人と同等レベル)

2000~2999位はそこそこごみ級(武器を持った兵士一人と同等レベル)

1000~1999位は一般級(武術をマスターしたものと同等レベル)

そこまでは、普通であるが1000位以内から次元が変わる

500~ 999位は強級(一人で一個小隊を相手できるレベル)

300~ 499位は超級(一人で一個中隊を相手できるレベル)

100~ 299位は超絶級(一人で一個大隊を相手できるレベル)

2~ 99位は超越級(一人で小国を相手できるレベル)

1位は最強(一人で大国を相手できるレベル)


である

クエストには人数制限以外にも、級が決められている超絶級が多少ごみ級のクエストを受けることは可能だが、多少ごみ級が超絶級のクエストを受けることは不可能だ

ちなみに俺は、一般級である

序列としては1988位、ギリギリでそこそこごみ級からは逃れている

さて、このような序列があるとこの学園には暑苦しい男たちが揃っていると勘違いされるが、実は男女比が5:5と素晴らしい対比である

このアルクエリでは4つの道がある

無手使い・武器使い・魔術使い・魔法使いの4つである

俺も無手使いであるが、無手使いは武器を使わない格闘戦を得意とする道に進む

武器使いは武器を使う格闘戦を得意とする道に進む

魔術使いは多種多様の魔術と呼ばれる超人的な力を使用する道に進む

魔法使いはたった一つの究極的な力を使用する道に進む


最強である序列一位を始めとする者たちは基本的に魔法使いである

しかし、魔法使い=最強という訳でもない

序列二位は魔術使いであるし、序列三位は無手使い、序列四位は武器使いである


クラスも級で分けられており、それに伴った授業・訓練が実施される

俺は、一般級の第2クラスに所属している


「イブ~眠いからおぶって~」


そんな俺に声をかける少女

身長は151cmと小柄で金髪チビ

顔は間違いなく可愛いが怠け者である

机に顔をのっけてだらけているが、次は移動授業のため移動しなければならない

俺も準備をして移動しようとしていたところだ


「え?めんどいからやだよ」


俺におんぶをたかってくるのはローラという名前であり、俺の相棒でもある

序列は1003位

俺と同じ一般級であるが、もうすぐ強級になれる有望株である

勿論であるが、ヒョロヒョロで台風が来たら吹き飛ばされるか不安になるレベルのこいつは無手使いでもなく、武器使いでも無い

魔法使いである

魔法は《マリオネット》という名前で、効果は名前通りに人を操ることができる

今のところの最大人数は15人

操るためには、ローラは魔力の糸をくっつければOKと言っていた


魔力とは全ての者たちが持っている力の一つである

無機物にも有機物にもそれは変わらず存在する


魔力というのは単純にいえば力の一つである

超常現象を起こすための力でもあり、肉体強化も行うことができる力


無手使いや、武器使いは肉体強化に、魔術使いや魔法使いは超常現象を起こすために魔力を行使することができる

ごみ級とそれ以外の区別は単純に魔力を扱えるかどうかで違う


目の前のひょろいローラも、弱そうに見えても魔力を肉体強化に回せばレスラーと腕相撲しても勝てることができるだろう


「いやいやイヴ、クールなやつは黙って背中を向けるもんだよ」


クール!?

なるほどな…クールはそういうものか

いや、ローラに言われたからじゃなくて俺はクールだからな

言われる前に既に背中を向けていたから俺はクールである


「ふっ…乗れ」


「ありあり~」


よいしょぉと俺の背中に乗るローラ

鍛えているからとかじゃなくて、やっぱりこいつ軽過ぎだろう


「移動教室の前に、クエスト見たいな~」


ローラのわがまま

いつものことである

それを予知できていた俺は、既に教室から出たときには集会所に向かっている

集会所はクエストを受注できる部屋である

部屋といっても、敷地は広く150人ほどは自由に入ることができるだろう


「今度はどんなクエスト受けるつもりだ?」


基本的には、戦うことができれば俺とローラはどんなクエストでも受注する

前回は村を襲う山賊の掃討だったな

あれは、思う存分殴れたからとても良いクエストだった!!

まぁ制限人数が二人で一般級からだったから丁度良かったな


「ん~…とりあえず面白そうなやつかな~…けど人外掃討はやだよ、人外は私の昇格クエになるから却下だ」


ローラは1001位から1020位を行ったり来たりしている

序列を上げるには、クエストを受注して数を稼ぎ、級の境目に近くなると学校側から昇格するために必要な条件が提示される

ローラは俺と一緒にしかクエストを受注していないから、対人クエストしか受注していない

対人外のクエストを受注していないため、経験不足とのことで学校側からの昇格クエストは対人外のクエストになっている

予想だが、ローラが昇格クエを受けたら一気に800位くらいには序列が上がると思う

こいつが嫌がる理由は理解しているつもりであり、理解できない


「なんか俺がすげえ足手まといな感じなんだけど…」


「私がタッグを組むのはイブだけだからね」


ドヤ顔しているこいつは、それだけが理由で昇格クエを蹴っている

いや、うれしいよ…凄い嬉しいんだけどね。信用してくれてるのはわかるし、俺もローラのことは信頼してる

だけどな~クールな俺としてはこいつより序列は高くなりたいとは思っても実力が不足している


集会所に到着して、とりあえず一周回ることとする

いつも通りである

俺は回るだけ、決めるのはローラ

おんぶのまま、肩を叩かれる

それは停止の合図である


「これなんていいかもね」


ローラが取ったクエストの紙

それには、盗賊団の壊滅と記載してあった


「良いではないか良いではないか!!」


これ系のクエストは全てにおいて相手を殴ることができる

外れを引いたことは一度しかない

当然ながらテンションは高まる


「あっこれ制限人数4人じゃん…めんど」


タイトルしか見ていなかったので、こんなミスはしばしば見られる

制限人数4人に挑んだことはない

人数が必要なので難易度も高いことは高いが、それ以上にローラ以外と組むのが面倒なだけである

仕切られるのも仕切るのも面倒だし、それで変ないざこざが起きれば更に面倒


「あ~あんた達もそのクエスト受けるんだ…丁度いいわ、私達もそれ予約してたからこれで人数揃ったわね」


だからこういうのが一番面倒だ

紙の下を良く見ると、既に二人予約されている

クエストには予約制度があり、気に入ったクエストがあれば予約することができる

予約が許されるのは単に人数制限が足りていない場合だ

紙に書いてあるのは、エリスとカイルという名前である

ということは、目の前の女はエリスという名前で男はカイルか

第一印象は、高飛車に根暗だな

エリスは、ローラよりは背が高いが物腰から判断するに、魔術使いか魔法使いか…カイルは物腰的には無手使いか…武器もってねえし


「面倒だからキャンセル予定だし、人数揃ってないぞ」


複数人数は面倒だから却下!!


「…あれ?カイルって今序列1004位だっけ?」


序列が近い分、顔を見たことがあるのかローラが反応する

ローラの返答にカイルは首を縦に振るだけであるが、その認識で正しいようだ


「そうそう、それでカイルの昇格クエが制限人数4人以上の殲滅任務だから、丁度いいのよ」


口下手なのかわからないが、少女が補足する


「別にいいよ」


「へ?」


ローラの意趣返しに、驚くのは俺だけである。女のほうが当然としたり顔をしているのが気に食わないが、それはさておき

こいつが、意見を変えることはあまりない

信念かどうかは不明だが、自分が思ったことを曲げることをあまりしない


「ただし、条件はあるから。一つ、誰がリーダーとかは決めないこと。二つ、互いのやり方に文句は言わないこと。三つ、報酬は5:5の割合で。四つ、今から出発すること。この条件が飲めないならキャンセルするけど」


こ…こいつ…本題はそれか!!

ローラは身体を動かすのが嫌いである。そして今日の午後は共通の近接訓練がある日だ!こいつはどんだけサボりたいんだよ。もはやここまでくるとただの怠けじゃ済まない気がする

後は、多分降格制度だな

1004位のカイルが昇格することで、元々999位以内にいた強級が降格する

その場合、その強級にいた者は1000位からスタートとなる

1003位のローラは1004位に降格することとなる

こいつは、それを狙っている


「うん…その条件でいいわ…じゃあ移動しながら改めて自己紹介でもしましょうか」


物分かりがいいのか、え~と…なんだっけか…あ~エイルだっけ?あれ?

まぁいいか


「私は、エリス…序列は611位で強級、重力の魔法使いよ。こっちのはカイルで序列1004位で一般級、主に回復系の魔術使い」


そうか、エリスだったか

覚えておこう

意識不明の重体から記憶力がどうも乏しくなってきたな


「俺はイヴで序列1988位で無手使い」

「私がローラで、序列1003位で操作の魔法使いだよ」


自己紹介終了

ローラ以外と組むチームはこれで3回目

2回目で大きく失敗したから受ける気はなかったんだが、まぁこの条件であれば大丈夫かな

クエストを受けるための転送室まで歩く

転送室とは単純に、幾重もある世界と世界を繋ぐ転送室だ

150年ほど前に、ある一人の天才が開発したものと聞いている。一定の魔力を装置に流して目的地を設定しフロア中央にある台に乗っかるだけで世界の移動ができる優れもの

それまでは専門の転送の魔法使いが作る札を使わなければ、移動することができなかったのだ

技術が発展して便利な世の中になったもんだ

戻るときは、一言「お家帰る」と言えばいいだけという楽仕様

なぜ「お家帰る」かは、色々諸説あるが「リターン」とかにすると移動の魔法使いと被ってしまうためこのような言葉になったというのが有効説である


「ローラ今回の目的地は?」

「問題ないわ…あんたも早く乗りなさい」


クエストの紙をあまり見ない俺は見ているであろうローラに聞く

だが、その前にカイルが目的地を設定している

…楽だからいっか

え…えり~?なんだっけ、向こうのチームの女に言われるまでもなく台座に乗る


「そういえば、ローラよね。なんでおぶさってるの?」


聞かれることはわかっていた。毎度のことである


「楽だから」


このローラの返事もわかっていた。毎度のことであるからだ

流石に何が起きるかわからない転送先では、ローラは自分の足で歩くが学園内であれば自身で歩くことはあまりない

おんぶおばけという代名詞でローラは有名である。まぁおんぶおばけと違って軽いがな


転送にかかる時間は一瞬である

一瞬景色がフェードアウトしたと思ったら周りは田舎の街並みが広がっていた


「夜かよ」


広がっていたと思ったら、周囲は暗く見通しが悪かった

世界によっては時差があるため、移動前のアルクエリ学校は昼であったが今回みたいに移動したら夜になることは珍しくない

時間の進み方が違う世界もあるが、基本的には1日が1時間や、1日が2日などの少々の時間差で1分が1年などの世界は今のところ発見されていない


町の中であるようだが、ローラはいつものように俺の背中から降りる


「人っ子一人いないね…この世界の人たちは早寝早起きが基本なのかな」


「宿もないみたいだわ…野宿しかなさそうね。作戦会議…というよりも情報の共有をしたかったんだけど」


う~ん、人っ子一人見当たらないだけじゃなくて、人の気配が全くないんだが

転送される場所は依頼があった場所へと転送される。今回は盗賊団の壊滅を依頼した村の中に転送されるのだが人の気配がないとなると、答えは二つか


「あ~、このクエストっていつの依頼だっけ」


アルクエリ学校には幾つも依頼が来るが、アルクエリ学校の生徒も数はいるため幾つもの依頼をこなしている

そのため、依頼が一か月放置されることはなく、基本的には一日~二週間で対応される


「1週間前だったよ」


「…う~ん、帰るか」


ある一つの結論を出す

このような場合は一つが、既に依頼者が全滅させられている

一つが、依頼者たちが全員別の場所に避難しているの二択だ

どっちにしろ依頼者がいないなら受ける義務はない


「馬が20体、人が20体接近中」


「!!?」


喋った!こいつ喋るのか!?というか何故わかる?


「あ~探知の魔術か…どうしようかとりあえず、隠れて敵だったら殲滅で依頼者だったら顔だそう」


魔術…便利だな。俺も一つくらい覚えておいたほうがいいかもしれない

隠れる場所と言っても、全体を見ながら隠れられるって屋根なんだけど高い建物で3メートルほどだから、隠れることができなさそうだ


「これでいいわ《20メートル上空で停滞》」


え…重力系の魔法使いの女が指を鳴らすと、俺ら四人の身体が浮き上がる


「おぉ!」


ローラが驚きながら俺の身体を掴む

この浮遊感気持ち悪いな。酔いそうだ。

星明かりもあまりない中、20メートルほど上空であればバレることはないはずだ


空から見るとよくわかるな

松明の明かりが20個

500メートルほど遠くからこっちに向かってきている

20人か…敵だった場合はローラに15体掴ませて俺が5体殴れば解決かな


「それで…どうやって敵かどうか判断するのかしら?」


「やつらがここまで来たら、俺とローラを降ろしてくれ。それで相手の対応を見て判断する」


隠れる意味がないんじゃないか?っていう突っ込みは不要だ。やつらの動向を見て家探しなどしているのであれば敵である

こうして確認してみると、一直線に走りぬけているため敵ではない可能性が出てきた

ローラが下におろせと合図を出す


「《ゆっくりと着地なさい》」


ゆっくりと、地面へと向かって落下する

こういう魔法…便利だな~


地面に着地すると、浮かんでいたのはたかが二分ほどであるが地面の感触を何度も踏みつけて確かめる

隣でローラも同じことをしているため、考えていることは同じだったらしい


「じゃあローラ…相手の位置は100m先だ」


「おっけい!」


馬が爆走している中、その正面に人がいても直ぐに止められるかは怪しい

馬は急には止まらないのである


「《先頭馬10体緩やかに減速して、目の前で止まって》」


ローラの魔法マリオネットは人以外でも有効である

魔力の糸を10本伸ばし、馬に接続する。接続された馬はローラの指示通り緩やかに減速を始め後続も同様に減速を始める


狙い通りに、俺らの目の前で止まる馬

馬の不思議な動作と人がいるということに驚いた馬上の人間の一言目が気になるな


「おっと…まだ獲物がいやがった」


はい、敵でした~

これはどう足掻いても、どう弁解しようとしても敵だろう

あ~殴れるっていいね~これは楽しそうだ

魔力を身体強化のために纏わせる

ローラも同様に魔法を使うために魔力を準備


「《潰れなさい》」


グシャリと目の前の獲物たちが、潰れていった


『…』


え!?ちょっと待ってよ!!俺殴ってないよ!殴られろよ!何勝手に潰れてんだよ!

目の前にいた20人の獲物は内臓が飛び出ながら同じようにバラバラになった馬と一緒に絡まっていた

これは一種のアートだな


「効率優先でやらしてもらったわ」


えーと、女と魔術使いが隣に着地してくる

犯人はこいつらか…どうしてくれようか


「あれは私達の獲物なんだけど」


ローラも獲物が取られたことにムカついている


「《吹き飛べ》」


「ローラ!」


まだ一匹生きてやがった!しかも魔法使いじゃねえか

役に立たねえなあの女!きちんと全員殺しておけよ糞がぁ!

魔法の発動を感知し、咄嗟にローラを引き寄せようと動くが身体は動かない


「足元」


魔術使いの男の声に下を向くと、大きな矢印が映し出されていた

俺と女は西に向けて、ローラと魔術使いの男は東に向けての矢印だ


これが意味することは理解した


「《魔法取り消せ!》」


ローラが魔法を発動して、糸を男に伸ばす

マリオネットであれば、魔法使いの男を操って魔法キャンセルすることができる


「《潰れろ》」


こんのアマぁあああ!

ローラよりも早く、女の魔法が発動された

魔法使いの男はグシャリと潰れて息絶えるが、それでも魔法発動はキャンセルされない


そして、俺と女、ローラと魔術使いの男のペアでそれぞれ別方向へと吹き飛ばされる

どこに吹き飛ばされるかわからないが、かなり離れそうだな

とりあえず、道順を覚え…

べきりと派手な音を立ててから頭に激痛が走る

意識が朦朧としてきた…多分…木か何かに頭ぶつけたんだと…おも…うんだ…が




というわけで

クールなイブが主人公


怠け者のローラがヒロインになります

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