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キメラな未来

作者: 椿山 昇

キメラ、二対以上の親に由来し

できた一つの個体

体の各部に異なったものが混在する

リンゴの木に

ミカンができたり

ジャガイモが根にでき

葉にはトマトができる

まぁ味はどうだか・・

そんな事を昔はやっていたらしい


だが、そんな事が出来るのだから

いつかは人間にも羽が生えるかもしれない

人間が水中で生活するのも

夢じゃない

なんて昔は考えてただろう

現在ではそれが現実に存在してる



「おぃ、いつまで寝ているつもりだ

 もう七時だぞ」

「なんだよ、親父

 まだ七時じゃないかもうチョイ寝かせてくれ

 ってか、上に乗っかってくるな」

「学校に遅刻するじゃないか

 それに起こさないと父さんの飯がもらえない」

「うわっ、舐めるな

 気色わりぃ

 わかった起きるから」

「そうか、早く降りてこいよ」

そう言って四足歩行の親父が

ペット用の入口から出て行った


階段を降りると

母親が朝飯を機械と一緒に並べていた

「あぁ、おはよう

 ケンちゃん」

「なぁ、俺もぅ高校生だぜ、ちゃんはやめようよ

 それに機械が全部やってくれるんだから

 手伝わなくたっていいだろ」

「いいの、これは私の仕事なんだから」



西暦2200年

今からはだいぶ昔だけど

どこかのお偉いさんが

人間と動物との合成に成功した事を

正式発表した

それは社会問題にもなり

世界中で大パニックになった

だが、だからと言って

それを処分するわけにもいかない

処分だなんてしたら人権問題にもつながる

なんて、あぁだこうだ議論している内に

キメラはどんどんと数を増やしていった


原因は、一般人である

人間との結婚を嫌がり

人間以外の生き物と結婚したがる

人が増えていたからだ

どこかのお偉いさんは

その技術を世界中に売り飛ばし

がっぽり稼いだらしい

だからその子孫は今でも働かずとも

金には困らない


問題はここから

すでに収拾がつかなくなっていた

キメラ問題

キメラが成人になり社会にでても

偏見があり純血の人間達は

ひどい扱いをしていた

だが、スポーツでは

世界記録を塗り替えるなど

ヒーロが誕生した

それをきっかけにキメラも

社会に入れるようになってきていた

ただ、純血の人間には

居づらい世界にもなってしまった





どうも、長野 犬です

主人公です

けっして長野県ではありません

舞台はここ日本

ちなみに今の総理大臣は猿がやっております

あぁ、キメラだからね

母親は純血の人間

父親はなんと犬

柴犬です

そしてその両親から生まれたのが

俺、ケンです


日本の人口の約九割以上はキメラになっています

だから、うちの母親は相当珍しい

でも母型の祖父祖母も純血だから

俺にとってはそんなに珍しくもないけどね

ただ、父型の方は・・会った事がありません

親父は元野良だから両親がどこで何やってるだかなんて

知る訳がありません

そんな両親の出会いは

父親が道端に倒れてるのを

母親が拾ってきたのがきっかけだそうです


俺のナリ

犬と人間だから相当なものと思うかもしれないが

母親の血が強かったらしく

ほとんど人間と変わりません

髪の色が真っ白なだけ

それで色々といじめにもあったけど・・



「おぃ母さんご飯」

なんて、親父が言ってるんだが

「犬ちゃん、お父さんなんて言ってるの?」

俺は犬と人間の子供だから

犬の言葉がわかる

「今日もきれいだねだってさ」

「あら〜そんな事言ってくれてるの

 うれしぃ〜」

「や、やめろ

 抱きつくな、あつぐるしぃ

 ん?何かくさいぞニンニク臭い」

純血の母親には

親父の声はワンワンとしか聞こえない

俺が子供の頃

親父が母親に不満を言ってる時に

俺がそれを母親に伝えると

「お父さんがそんな事言う訳ないでしょ !!」

なんていつもは穏やかな母親が

尋常じゃないくらいヒステリックになり

それがトラウマで何となく

本当の事を今でも伝えづらい


さてと、そんな事を

話しているともぅこんな時間だ

そろそろ出発しないと

新学期早々、遅刻してしまう

「それじゃぁ、行ってくるから」

「あぁお弁当は?」

「いらないよ

 午前で終わるから

 あぁでも集まりあるから遅くなる」

「犬、帰ってきたら

 父さんと散歩だぞ」

「はいょ〜」



外に出ると

いつもと変わらない町並み

車は磁力によって浮いてるし

壁には色々な宣伝の映像が飛び交っている

さてと、早く学校に向かわなくては


さっきも言ったが

親父は犬だ

脚には結構自信がある

100mだってこの前五秒切ったしな

頑張れば車より早く走れる

まぁそんなに頑張らないけど

「おぃ、奇人そんなんじゃ遅刻するぞ」

声のほうを向くと

バスにゴリラが乗ってる

俺は今バスと並走して走ってる

「はぁ、またお前か珍獣」

「珍獣だと俺のどこが珍獣だ」

「誰がどう見たって珍獣だよ

 いやまったく

 よくゴリラと結婚しようだなんて思ったよな」

「てめぇ、ゆるさねぇ」

そう言って走行中にもかかわらず

ゴリラがバスから飛び降りた

「やべっ・・」

俺は屋根の上にジャンプし

学校へ急いだ

ゴリラは電柱を使い

屋根に上がり俺を追いかけてきた

「意外と脚早いな珍獣」

なんて馬鹿にしていると

俺は高層マンションの屋上に追い込まれてしまった

「死ね、奇人」

だなんて、襲いかかって来たけど

俺はマンションから飛び降りた


すると、上から羽を生やした人が

俺に向かって降りてきた

俺はそいつの手を取った

「いや〜ナイスだ タカ

 これでゴリは遅刻決定」

屋上では悔しがっているのか

ゴリラがそこら辺にある

物を投げ飛ばしていた

「ったく、俺がいなかったら

 どうするつもりだったんだか」

羽を生やした人

こいつの名前はタカ

まぁ親友ってやつ?

「はぁ、こんなことして

 ゴリと同じクラスだったらどうしよう」

「あれ?知らないのか?

 あいつ留年だぜ」

「まじで?馬鹿じゃないの?」

「まぁ学校に来てもろくに授業に出ない

 お前には言われたくないと思うぞ」

「それもそうだな」

「おぃ、着地するぞ」

「OK〜」



「おぉ、同じクラスじゃん」

「一年間よろしく」

「げ・・担任キングじゃん最悪だよ」

「キングに狙われてるんじゃね?

 去年も色々と問題おこしたし」

「キングに目を付けられるような事を

 した覚えはない」

「でも、他の先生にはしただろ

 広まるんだよそう言うのはきっと」

「タカ、俺今日は休みってことで」

そう言って帰ろうとすると

誰かに首元を掴まれた

「誰が休みだって?犬」

「ど、どうも先生一年よろしく・・」

立派なたてがみを生やしたライオン先生

百獣の王だからあだ名がキング

細川とか似合わない名前してるけど

「俺が担任になったからには

 ビシバシいくからな

 ほら、早く教室に行けHRが始まるぞ」

「は〜い」




「と言う訳で担任の細川だ

 よろしく

 教科書などは、学校内でだったら

 ダウンロードできるから

 各自、今日中にノートにダウンロードしておくように」

こんな薄っぺらい板の

どこにダウンロード機能が付いてるのか

毎回疑問に思う


「それから、転校生を紹介する

 はぃ、入ってこい」

すると、扉が開き

入ってきたのは女性だった

「まじかよ・・」

「信じられない」

クラスがざわめき始めた


「おぃ、犬

 あいつまさか・・

 猿ってことは考えられないか?」

俺は鼻で匂いをかぎ

「いいや、タカ

 間違いない 純血者だ」



純血者

昔はキメラが社会から迫害させてる同様

今では立場が逆転

キメラが純血者を迫害するようになっていた


そんな感じでHRも終わり

放課後、生徒たちもいなくなった

空いてる教室にて

「まぁ、そうは言っても

 俺の母親

 純血者だしどうでもいいんだけど」

「確かに、俺の父親も純血者だしな」

「転校してきた理由なんだと思う?」

「家庭の事情とか言ってるけど

 前の学校で色々とあったんだろ

 高校で転校は珍しいから」

「俺等と同じか・・」

「そうだな、こんななりだし」

俺達のように

純血者じゃないがキメラにもなりきれてない

奴の事を奇人と呼び

純血者同様、迫害の対象になる

「タカはいい方だろ

 翼生えてるんだから」

「あぁ、それ言っちゃう?

 それ言っちゃうんだ

 ・・あれ?」

「どうした?」

「あれ、転校生じゃね?」

この高校はコの字になっていて

教室の向かい側には

職員室や化学実験室などが見える

その建物の屋上に転校生が立っていた


「何やってるんだ?あんな所で」

「おっ、あの子、白だ」

「おぃそんな事言ってる場合か」

「いや、頼むから

 俺達が考えてる行動だけはしないでくれ」

残念ながら

予想してた通りになった

屋上から飛び降りた

「あの、馬鹿野郎」

そう言って俺は3階の窓から飛び出した

空中で転校生を捕まえ

そのまま窓ガラスに突っ込んでいった


「この、ば・・」

続きを言おうとしたが

俺にしがみつきながら

泣きじゃくる転校生にとても言えなかった


「犬、大丈夫か?」

「あぁ、何とか」

「とにかく、ここはヤバい

 先生が来ちゃうよ」

「あぁ、逃げよう」

転校生を抱えたまま

割れた窓から飛びおりた

ちなみに何度も言うようだけどここ3階



そんなこんなで

学校の近くの公園

転校生も泣き止み

ようやく本題へ

「なんで、あんなことをしたんだ」

「・・・」

「いや、まぁ気持はわからないでもない

 あぁ・・でもわからないかな?」

「わからないだなんて

 当たり前よ・・」

「え?」

「キメラに純血者の気持ちだなんて

 わかる訳ないでしょ !!」

「そうだな」

「そうよ、口出ししないで」

「でもな、俺達のように

 キメラにも純血にもなれない

 気持はわかるのか !?

 どちらからも迫害される

 奴の気持ちがわかるのかよ !!」

「・・・」

「それと同じことだ

 自殺するのに言い訳してんじゃねーょ」

「・・ごめんなさい」

「よし、許してやろう転校生

 ちなみに名前は?

 人の名前覚えるの苦手なんだよ」

「・・倉田 藍」

「よろしく、倉田

 俺は犬

 なんかそこで翼の手入れしてるのはタカだ」

「よろしく」

「それで、これから集会があるんだが

 倉田も来い

 みんな歓迎してくれる」

「集会?」

「来ればわかる」


街中なのに人通りが

まったくないところに倉田は案内された

細い路地を進んでいき

だんだん不安になってきた

「もぅちょいだ

 さぁ着いたぞ」

細い路地を抜けると

広い空間があり

そこには一部蛇の鱗で覆われた子供や

頭に猫耳がある女性

そのほかにもキメラに完全にはなりきれていない

人達がたくさんいた

みんながそこで笑ったり楽しんだりしている

「ここは・・?」

「奇人ハウスさ」

「奇人ハウス?」

「そう、純血にもキメラにもなりきれない

 奴等がここに集まるのさ

 あぁ・・だからと言って

 純血やキメラを迫害したりしない

 ほとんどの奴が親かその上の代が純血者だし

 キメラだっている

 どうだ?

 これを見てもまだ自殺しようだなんて

 考えてないだろうな?」

「いいえ、そんな事ないわ」



「そりゃよかった

 ようこそ、奇人ハウスへ

 歓迎するよ」



最後まで読んでいただいてありがとうございます。

連載をほったらかして

こんな物を書いてみました

感想や意見ありましたら是非書いてください

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです!!主人公達キメラがどうなっていくか、もっと読みたいと思いました。
[一言] あ、これは素晴らしい。ぐっじょぶデス。 いや、これは良かったです。問題点もないことは無いですが、あるにもあらず、多目に見れます。 自分これはよいと思います。 最後の『ようこそ奇人ハウス』の…
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