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4話 色の見えない少女

私の目は、生まれつき色が見えない。

色覚異常の全盲。簡単に言えば全てが白黒に見える。

ずっと、みんなが見えている「色」というものが、羨ましかった。

友達が、赤色のワンピースを来てきたとき私は黒にしか見えなかった。


「何色が好き?」

自己紹介などでよく使われる質問。

何色って私は、白黒しか分からない。

それに、時々思うことがある。私が見ている景色、色は本当に白や黒だろうか。


でも、私はこんな目でも見る事を止めようとは思わなかった。

逆に、こんな目だからこそ見える何かがあると思った。



夕方5時過ぎいつもの駅、いつものホームに行く。

少しだけ、髪を整えて、制服の裾をただして。

ホームに行くと、いつもホームのベンチに座りながら本を読んでいる彼がいた。

いつもこの時間、あのベンチに座って本を読んでいる。

色は見えないけど、彼は透き通るような色をしている気がした。

男子なのに、綺麗って言ったら怒られちゃうかな。


今日こそは喋りたいな。

ゆっくり、彼の横の空いているところへ座る。

チラッと横目で見ると、ますますかっこよく見えた。

ただ、隣に座っただけなのにすごく幸せだ。


駅のホームに電車到着のアナウンスとメロディーが響く。

彼は立ち上がり、電車へ乗っていく。

私も後へ続こうとした、そのとき彼の座っていた位置にある物が置いてあった。

押し花のしおりだった。

私は、それをとり電車へ乗り込んだ。


「あの、すみません」

勇気を出した第一歩は、見事空振りに終わった。

顔のあたりが熱い。いや、顔どころか体全体が熱い。

「あの、これ落としましたよ‥‥」

今度は、少し高めの彼の肩には届かない気がして少し下の腕をを叩きながら言った。

彼が、不思議そうな目でこちらを見た。

面と向かって彼の顔を見るのは、初めてだ。

かっこいいな、そう思った。


彼はしおりを受け取ると、片手を立て軽く会釈をした。

多分、「ありがとう」という意味だろう。

ありがとう、その仕草が可愛らしかった。

「どういたしまして」

震えずに言えた自分を褒めよう。


数日後、学校終わりの靴箱であのときの彼を見つけた。


好きな人の近くにいる時って異常に緊張するけど、ものすごく幸せらしいです。(友人の体験談)


皆様に、幸あれ。

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