表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/36

15話 過去は変えられない

なんか、暗い話になってしまった。

「君はもう喋れるんだろう」


「喋れない?嘘をつけ、それはただ黙っているだけだ」


「君の喉は正常だ。異常の欠けらも無い」


「はやく喋れば?」


「ほら、喋ってみろよ?誰か呼んでみろよ!」




暗闇、それは僕が1番嫌いなもの。

中学時代、僕は耳が聞こえなくなった途端いじめにあった。

当時の僕の体は小さく華奢で、やり返すことの出来ない僕は同級生のいいおもちゃになった。

殴られたり、蹴られたりするのは日常茶飯事。だけど、それは耐えられる。

僕が1番嫌がったのは、目隠しをされること、掃除用のロッカーに閉じ込められること、とにかく暗い場所に置いていかれるのがとても嫌だった。

だいたい、そういうときは補聴器も外されてしまう。


何も聞こえない。何も見えない。暗闇は僕を奥底へと連れ去っていく。


両親は僕に興味がない。小さい頃からたくさんの習い事をやらされてきた。

何をやっても僕より器用にこなす2歳下の弟と僕は、ずっと比較されて生きてきた。僕自身、弟のことは尊敬していたから特に苦でもなかった。

ただ、そうなってしまうと両親は僕が元からいなかったかのように、生まれてすらいなかったかのように僕の存在をできるだけ消した。


そして、中2の夏が来た。

待ってましたとばかりに僕は除け者にされた。

弟との関係は、悪くはなかった。というか、そこらの兄弟よりは仲が良かったと思う。

だから、家族の中で弟だけが心配してくれた。

欠陥品の兄がいる限り、優秀な弟が比較されることはない。でも、バスケや塾、その他にも色々な習い事をやらされている弟は多忙だ。


僕の唯一の居場所は、なくなってしまった。


そんな両親が僕がいじめを受けているのにも気づかない。

学校の先生も、気づかない。気づいてもじゃれていると認識されてしまう。


こうして、僕は静かな暗闇の底へ身を沈めた。

ここまで読んでくださって

ありがとうございます(*´︶`*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ