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十六羽 家畜(ニワトリ)冒険者になる

さて、まずやるべき事は人から注目される事、土下座を見ている人が多ければそれだけ、確率が上がる。


俺は大声で鳴き、暴れながら翼を羽ばたかせた。

羽がかなり散らばってるが気にしない。


周りはなんだなんだと注目している、今ならいける!

お前ら!俺の土下座を見ろ!!


orz


刹那、いままでの雑音が嘘のように辺りは静寂に包まれた。

酒を飲み歌を歌っていた男は酔いが冷め、死んだ魚の様な目でこちらをみている。

モンスターの素材を取り合いしていた冒険者達は素材が床に落ちて使い物にならなくなった事も気にせず、祭りで取った金魚が1日で死んだ時の様な目でみてくる。


静寂のまま一分が過ぎた、もっと長い時間がたったような感覚になる、しかしたった一分。


そこで1人の女性が口を開く。


その女性は、冒険者ギルドの受付嬢、クル・アルフィー。21歳。

幼少期に冒険者だった父親を亡くし、そんな父親に憧れ冒険者になることを夢みるも、オドオドした性格が仇となり挫折、女手ひとつで育ててくれた母親が病に倒れ看病せざる負えなった事でも後押しされ、冒険者を諦める。

しかし、母親の助言により冒険者ギルドの受付嬢になる事を決めた女性。

オドオドしておっちょこちょいの クル・アルフィー。そんな大勢の前で大声を出せないクルが口を開く。


「あの!!!」


静寂した部屋に響き渡る迷いのない真っ直ぐな声。


「アミさん!!リーリアさんを連れて行ってあげてください!!」



アミは唖然とした。

クルがギルド受付嬢になり始めから知っているがここまで大声で発言したとこなど見たことが無かったからだ。


「い、いや。しかしだなクルちゃん… 最近ローガンの森はおかしいんだよ、冒険者でもない奴を連れて行くのは…」


「なら、冒険者にさせたらどうだ?」


別部屋からでてきた低い声の大柄な男性はそう言った。


「ガルトフ隊長!?」


「よぉ、アミ。なかなか面白いことなってるじゃねぇーか」


ミアに挨拶をすると、まだ土下座の俺みて言った。


「みろよ、こいつの土下座。漢の土下座だぜ。」


膝をつき、俺の背中をぽんぽん、と叩いてくれた。


2〜3分ぶりに顔を上げた俺の前には、顔に横一線の傷を持つゴツい漢がいた


ひぃ!?

怖っ!?優しく笑ってくれてるんだろうが、ニタァっとした笑いかたでクソ怖ぇ!!


「あ、あんた誰よ」


妖精ちゃん、すげぇ!!

俺は今すぐにでも逃げ出しそうなのに、妖精ちゃん、マジリスペクト!


と、思ったらすげぇ勢いで足震えてんぞ!!

携帯のバイブル並みに震えてんぞ!!!


「ん?おぉ!!妖精じゃねぇーか!!」


今度は妖精ちゃんの目の前に恐怖の笑みを浮かべて覗き込む。


「ひやぁぁぁあぁ!?!?」


今までにない悲鳴をあげ俺の羽毛に埋れて行った。


「まったく、ガルトフ隊長の笑みはトラウマ並みなんだから笑っちゃダメですよ」


「おいおい、ひでぇーな!」


「それで、どういう事ですか?」


「おぉ、そうだったな」と話を変える。


「簡単な話だ、冒険者じゃないなら冒険者登録しちまえばいいんだよ。」


「いやいや、Cランク以上ですよ!?」


「お前が守れば問題ないだろ?」


それを聞いたアミは苦虫を噛み潰したような顔になる。


「騎士団は何人出すんだ?」


「10人ですけど…」


あれ、思ったより少ないな。

100人とかもっと大勢で行くのかと思った。


「おいおい、騎士が10人に一騎当千のアミ団長が、妖精1人に、この、なんだこいつ、アレだ、あの〜、動物?一匹も守れねぇーのか?」


「がぁ!!わかりましたよ!!連れて行けばいいんだろ!」


「連れていってくれるの!?!?」


今まで埋まっていた、妖精ちゃんが勢い良く飛び上がった。


「そのかわり!ついていくだけだ、邪魔をするなよ!?」


「しない!邪魔しないわ!」


「話は決まったみたいだな、んじゃ冒険者登録ちゃっちゃとすませないな。」


歩くトラウマ製造人間のおかげでローガンの森について行けるようになった。


妖精ちゃんもすごく喜んでるみたいだし、まっ、土下座した甲斐はあったな。


「あ、それとお前」


と、猫耳ちゃんことアミ団長


俺?


「ここ、掃除な?」


そう言われ、周りを見渡すと俺の羽が1面にばら撒かれていた。


落ちた羽を全て自分にくっつけ終わるまで、アミ団長は俺から目を離さなかった。


余談だが、妖精ちゃんと受付嬢クルちゃんが仲良くなったとか。

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