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愛されない妻は夫の気持ちを理解できない  作者: おつかれナス


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 リズにお願いした外出のお願いは、意外にもアッサリと通った。しかも伯爵家の普段使いの馬車まで用意されて・・


「マリエンヌ様に対してこの馬車とは・・」

「あら、馬車を出してもらえるだけ感謝だわ!」


 笑いながら馬車に乗ろうとした時、目の前に豪華な馬車が横付けされた。


 今日はお客様が来られる日だったのかしら?


 そう思い急いで御者に移動するよう伝えると、私とリズは道を開けるため後ろへと下がった。

 だが豪華な馬車が動く事はなくどうしたものか・・と考えていると


「マリエンヌ!」


 私の名を呼びながら出て来たのは


「ケビン!」


 だった。

 ケビンは私の前まで来ると紳士らしい挨拶をする。

 その姿を見れば貴族の令息と間違えられただろうが、残念ながらケビンは平民なのだ。


 お金は持っているけどね・・


「迎えに来て正解だったな!伯爵家の第一夫人がそんな馬車に乗っていたら笑われる。伯爵家の者はそんな事も分からないのか?」


 ケビンは御者にワザと聞こえる声で言いながら、私をエスコートしながら馬車へ乗せてくれた。

 いくら幼馴染とはいえ私は人妻、二人きりにはさせられません!とリズは強引に馬車の中へ乗り込んで来た。


「君は・・マリエンヌの専属かい?」

「リズと申します。性ははありません、平民ですので・・」

「・・そうか。俺と同じだな。君のような子がマリエンヌの側にいるなら安心だ!」


 そう言いながらリズに微笑んだその顔は、相手を魅了する笑顔だった。

 商人は相手によって使い分ける顔がある。

 その使い分ける顔が多ければ多いほど仕事が取れると、昔は良く付き合わされたものだ。


「ケビン、リズにその顔は通用しないわよ?逆に噛み付かれるわよ?」


 そう笑いながら忠告をする。

 リズは顔の良い婚約者に浮気され、おまけに借金まで押し付けられた過去がある。


「顔の良い男と優しい言葉を掛けてくる男は信用出来ません!」


 そうハッキリと言い切るリズが可愛くて仕方がない。

 ケビンもそんな私を見て安心したのか、素の顔を見せてきた。


「それよりもマリエンヌ、君は本当に伯爵家の第一夫人なのか?あの馬車もそうだが今着ているドレスも・・とても第一夫人が着る代物では無いよ」


 さすが商人だ!平民や下級貴族が見ればそれなりに見える私のドレスも、伯爵家の第一夫人が着るような質では無いのだ。


「仕方ないわ、だって私は形だけの第一夫人でお金で買われたような者だもの。別邸を建ててもらえただけ幸せ者よ!」

「別邸だって・・?」


 私の言葉に信じられない!と驚いた顔をしたケビン。私は自分の事は良いからと、ケビンの話を聞く事にした。

 案内されたレストランはケビンが行っていた東国の料理が食べられる、珍しいレストランだった。

 普段から良い料理を食べていないと知られた私はリズの同席もお願いした。


「もちろんリズも一緒に!そうか・・いつもは二人で調理をして食べているのか・・」


 ケビンは複雑な顔をしたが、それも直ぐ元の人当たりの良い顔へ戻った。

 ケビンの話はとても楽しくて、同じ大陸に住んでいるのになぜそんなにも文化が違うのか驚いた。

 特に驚いたのが屋敷に入るのに靴を脱いで上がる事だった。


「足の裏は汚れないのかしら?」

「毎日拭き掃除をする女中がいるんだ。女中は・・こちらで言うメイドと同じだな!椅子もあるけど基本生活する場所にはタタミと言う綺麗に織り込んだ草の上に座るんだよ」

「草の上にですか?匂いとかは無いんですか?」

「とても良い香りがしたなぁ・・。いつか君を連れて行きたいと思っていたんだけど・・」


 出された料理を口に運びながら言ってきたケビンは、悲しそうだった。


「いつか・・連れて行ってくれる?」

「えっ?」

「さっきも言ったでしょう?私は形だけの第一夫人だって。子供も必要ないと言われた私がいつまでも伯爵家にいる事なんて出来ないもの」

「・・マリエンヌ様・・。その時は私も一緒に連れて行ってくださいませ!」

「「えっ?」」


 突然のリズの申し出に私とケビンは同時に声を出した。見ればリズは本気のようだ。


「そうね、ずっと私について来てね!」

「もちろんです!!」


 そんな時が来たら嬉しい。

 誰の目も気にせずに行きたい場所へ行けたらどんなに楽しいか・・


「その時は二人を連れて色々な国へ連れて行ってやる!楽しいぞ!他所の国は!」


 私たち三人は大きな声で笑った。

 ああ楽しい。こんなに声を出して笑ったのはいつぶりだろう・・

 結婚が決まってからは笑った記憶が無いから、半年以上は大声で笑っていない事に気付く。


 そんな日が来たら良いな・・


 帰りもケビンの豪華な馬車で屋敷まで送ってもらった。行く時は表の玄関だったが私の住む別邸は裏門からのが近い。

 私はケビンに頼んで裏門へ馬車を回してもらった。


「今日は本当にありがとう。とても、とても楽しかったわ」

「・・俺もだよ・・。マリエンヌへのお土産は屋敷に運ぶように伝えてあるから戻ったら確認して。目録も置いてあるからもし無ければ俺に伝えて欲しい。リズにも良ければ・・」

「本当にありがとう」


 気付けば馬車は裏門へ到着したようだった。

 リズが先に降り、次にケビンが降りたその時


「遅かったな」

「だっ、旦那様!」


 なぜか裏門に旦那様が護衛を連れて立っていた。

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