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愛されない妻は夫の気持ちを理解できない  作者: おつかれナス


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18/28

十八  ケビンとジュディ

 この国の一二を競う商会の会長が私の元に訪ねて来たのは、ロースタイン伯爵との結婚が決まる少し前。正確に言えば私がウォルダー侯爵家に連れ戻された時だった。

 ロースタイン伯爵家の第一夫人と繋がりたい。どうにか会えるように手を貸して欲しいと頭を下げに来た。理由を聞けば、幼い頃お世話になったお屋敷の令嬢で幸せなのかが気になると・・


 身分違いの恋に、自分を重ねてしまった。


 まずは結婚パーティーの準備から引き出物、ドレスや嫁入り道具の全てをロータス商会に依頼した。

 そして密かにカリストールの肖像画も・・


 結婚式の日の夜、ケビンは第一夫人と無事に会えた事、その帰りに旦那様と遭遇した事を話してくれた。

 旦那様はマリエンヌ様に執着している。ケビンと同じで幼い頃に何かあったのだと思うが、理由は教えてくれない。

 マリエンヌ様にとってもケビンと会う事は息抜きになっている様で、出来るだけ旦那様に知られないように屋敷の者たちにも指示を出していた。

 私の懐妊を発表してからは旦那様は別邸で過ごす事が増えてしまい、マリエンヌ様とケビンは会えなくなってしまったが、密かに手紙のやり取りで繋がっていたようだった。

 幼馴染同士の交流なら大丈夫だと思っていたある日、マリエンヌ様の懐妊がわかった。

 私を始め屋敷の者は皆喜んで、マリエンヌ様の不貞など考えもしなかった。


 ただ一人、旦那様を除いて・・




「マリエンヌ様が懐妊しました」

「・・それは、おめでとうございます」


 ベビーベッドの搬入に本邸へと訪れたケビンを捕まえ、応接室で会った際伝えた。

 ケビンは最初、驚いた顔をしたが直ぐに仮面を被る。そんな彼に疑問を投げかけた。


「貴方の子では無いわよね?」

「!ジュディ様とは言え、言って良い事と悪い事があります。マリエンヌはそんな女では無いし、私たちはそんな関係でもない!」


 私の質問に怒ったように答えた。

 やっぱりそうだった。この二人がそんな関係になどなる筈がない。


「もちろん私たちはそう思ってはいない。だが・・」

「伯爵様が疑っていると?」


 私は頷き、旦那様が言った言葉をそのままケビンに話した。ケビンはふざけるな!と怒っていたが、旦那様がそう思い込んでしまう何ががあったのだろう。


「ご自身は避妊薬を飲んでいると・・」

「!」

「だから俺の子を妊娠する筈が無いと」

「・・なるほど・・」


 ケビンは私が何を言いたいのか察したらしく、深くため息を吐きながらソファーへもたれた。

 そしてしばらく考え込むと後ろに控えていた男へ何かしら指示を出すと、


「ジュディ様にお願いがあります」


 と言ってきた。



「マリエンヌ様・・お加減はいかが?」


 大きなお腹を支えながら別邸へと足を運ぶ。

 ケビンに頼まれた事もあるが直接マリエンヌ様を見舞いたい気持ちもあったから、周りの反対を押し切って別邸まで様子を伺いに来た。

 ケビンから託された手紙を持って・・


「・・ジュディさま・・」


 メイドの案内でマリエンヌ様の私室へと案内してもらうと、そこには妊娠を喜ぶ妊婦では無く罪を犯した罪人の様な女性がいた。

 痩せ細り、顔色も悪く正気を失った女性・・

 私は小走りに彼女の側へ行くと起きているのもやっとの彼女を抱きしめた。


「ジュディさま・・お腹のお子は旦那様のお子です。旦那様としか身体を重ねて無いのに・・」

「誰も疑ってはおりません!貴女がそんな女性なんて、誰も・・」


 私にしがみ付きながら訴える彼女が痛ましく、悲しくて辛くなった。

 彼女が少し落ち着くと、私は人払いをした。

 彼女付きのリズとルーシーもだ。

 全員が部屋から出て行くのを確かめると、私は封筒を彼女に渡した。


「ケビンから預かりました。内容は知りません。読んだら燃やして欲しいと、直接貴女へ渡して欲しいと託されました」

「・・ケビンから?」


 震える手で私から封筒を受け取ると、静かに封を開け読み始めた。

 どんな内容が書かれていたのか彼女は泣きながら、でも会った時よりも少し正気を取り戻したように手紙を私へと差し出した。


「ジュディ様にも読んで頂きたく・・」

「良いのかしら・・」


 彼女が頷いたのを確認し手紙を受け取る。

 そこに書かれていた内容は、まずは実家へ戻るようにと書かれていた。

 旦那様と彼女は時間が必要だからと・・

 そして私からも進言してもらった方が旦那様も頷きやすいだろうと。


「ジュディさま・・私はどうしたら良いのでしょうか。旦那様に訴えても聞き入れてもらえず、責められるばかりです。それでも私はこの子を産みたい。旦那様のお子だからではありません。私の子だからです」

「私の子・・」


 マリエンヌ様の言葉を聞き、無意識にお腹をさする。

 そう、この子も私の子だから産みたいのだ。


「直ぐにケビンへ連絡しますわ。旦那様にはわたくしからも進言しますから」


 旦那様に伝える前に私は産気づき、無事に男の子を産んだ。

 私にも旦那様にも似ていない、私が愛したただ一人の男 カリストール に似た男の子を。


次からはまたマリエンヌ目線に戻ります

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