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愛されない妻は夫の気持ちを理解できない  作者: おつかれナス


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15/28

十五  それぞれの想い

 目を覚ますと自身のベッドの中だった。私の想いを伝えた後、ケビンは信じられないと言いながらも私を抱きしめた。

 私もケビンを抱きしめた。二人の気持ちが通じた瞬間とても幸せな気持ちになった。

 でも私は人妻て、伯爵家の第一夫人。

 この先どうするかは真剣に考えるから!と、ケビンは馬車の中で言った。

 その先は・・


「マリエンヌ様!お目覚めになられていたんですね!遅くなり申し訳ありません」


 朝から元気な声で寝室へ入って来たリズは、髪に可愛らしいピンを刺していた。

 きっとバロンがプレゼントしたのだろうそのピンは、この国でも珍しい[水仙]の花のピンだった。


(片想いかぁ)


 リズはバロンの気持ちに気付いているのだろうか・・そんな私の考えも、バロンの気持ちを知っているのか知らないのか?リズはテキパキと動いている。


「そう言えば、昨夜の夜会で奥様が体調を崩された様で今主治医が本邸に来ている様でした」

「え?ジュディ様が?」


 急いで身支度を済ませると、ジュディ様の元へ伺う旨を本邸のルーシーに聞きに行ってもらう。

 返事は直ぐにあり、リズと向かった。

 ジュディ様はベットの上で上半身を起こすように座っていた。


「ご機嫌が悪い時に申し訳ありません。昨夜の夜会で体調を崩されたと聞きまして」


 見れば確かに顔色が悪い。ジュディ様はベッド横にある椅子に腰掛けるようにルーシーに指示を出した。

 口元には綺麗な刺繍が刺されたハンカチを握りしめている。


「病気じゃ無いのよ・・」


 その言葉に私以外の者たちは察した様だったが、私は分からなかった。

 ジュディ様は困ったように微笑むと


「近いうちに旦那様からお話があると思いますわ」


 とだけ言うと横になった。私はそれ以上その場に居るのは良く無いと思い お大事になさってくださいね とだけ伝えると別邸へ戻った。

 そしてその夜、上機嫌に酔った旦那様が別邸へと訪れた。もう寝る準備をしていた私はガウンだけを羽織り出迎えた。

 いつもは応接室へ通すのだが、何故かお付きの男は二階の私室へと旦那様を運んだ。そして、


「本日より暫くの間、旦那様はこちらで過ごされますのでよろしくお願いします」


 そう言い残し本邸へ帰って行ってしまった。

 このままソファーという訳にもいかず、私は旦那様に声をかけた。すると飛び起きた旦那様は私に抱き付くと同時に口づけをしてきた。

 酒の匂いが鼻に付く。思わず顔を背けるとまたも無理矢理口づけをしてくる。


「ようやく、ようやくだ!ジュディが懐妊した!これでやっと君を抱ける!」


 一瞬旦那様が何を言ったのか耳に入らなかった。


「責任は果たした!男でも女でも構わない、これからはもうお前だけを抱く」


 そう言い終わると同時に私を寝室へと連れ込むと、私の言葉も聞かず一晩中私を抱き続けた・・



 お付きの男が言ったように旦那様は毎日別邸へと足を運んだ。そして毎晩のように私を抱き続ける。私は懐妊した時こそお側に付いてあげて欲しい!と伝えるが、


「俺がいた所で何の役にも立たない。それよりもお前と過ごす時間のが大切だ」


 と言っては私を抱き潰す。

 王宮で仕事が無い日は別邸に入り浸るため、ケビンとも会えないばかりか手紙のやり取りも出来ない。

 人妻なのに・・と言われると思うが今までほったらかしにされていたのだ!

 そんなある日、王太子殿下に付き添って十日ほどの視察に同行する事になった旦那様。当然前日まで別邸に入り浸り、当日も別邸から王宮へと向かった。

 私はベッドの上から起き上がる事も出来ず、その場でお見送りをしたのだった。


「マリエンヌ様、バロンからこちらを預かりました」


 ようやくベッドから起き上がれるようになったある日、リズは一通の封筒を持って来た。

 宛名は無いが直ぐにケビンだと気付いた私は慌ててペーパーナイフで封を切った。

 あの日からまだ数日しか過ぎていないのに、何ヶ月も過ぎたように感じてしまう。急いで手紙を読むと


「事情はバロンから聞いた。明日、ジュディ様に頼まれた物を本邸に届ける事になっている。会えたら嬉しい」


 長くはない手紙。でもケビンに会える嬉しさに、いつもは直ぐに処分する手紙を私は机の引き出しの中に入れた。誰も開けないだろうとその時は簡単に思ってしまったのだった。

 その手紙が更に私とケビンの仲を離す事になるなんて・・知っていたら直ぐに処分していただろう・・



「これは何だい?俺が視察に出ている時に、まさか平民とこんな手紙のやり取りをしていたなんてな・・。裏切られた気分だよ、マリエンヌ・・」


 机の中に入れた手紙を私の前まで飛ばしてきた旦那様の顔は、もはや怒りを通り越して無表情になっていた。


「何度も言いますが彼とは幼馴染で・・」

はははは!!旦那様が大笑いをし、天井を見上げる。


「残念だよマリエンヌ。もうお前をこの屋敷・・いや、この部屋から出す事は無い。メイドも交代させる。いいな?」


 有無を言わせない言葉に、私はただ黙って頷くことしか出来なかった。



次回、アベルの昔話です

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