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愛されない妻は夫の気持ちを理解できない  作者: おつかれナス


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12/13

十二

 ジュディ様とのランチから一月。

久しぶりに本邸へと呼ばれた私はリズを伴って足を運んだ。

 本邸の雰囲気がジュディ様が輿入れされた後からとても良くなったと言ったのは、時々本邸へ行っているリズだった。


「リズの言う通り雰囲気が明るくなったわね」

「マリエンヌ様もそう感じられましたか?そうなんです!以前と何が違うのでしょうか?」


 置かれている物、飾られている物は前からある物と変わらない。絨毯?カーテン?それも同じ物だ。

 私とリズは頭を捻りながら歩いていると


「マリエンヌ様、ようこそおいでくださいました。奥様はこちらでお待ちでございます」


 そう言って声をかけて来たのはジュディ様の専属侍女のルーシーだった。

 ありがとう とお礼を言い後ろについて歩いて行く。あのランチの後からロースタイン伯爵家で働いている者たちには、ジュディ様を奥様。私のことは名前で呼んでもらう事にした。

 その方が皆にとっても私にとっても落ち着く呼び方なのだ。

 プライドは無いのか?

 そんなものありません。もともと好きで第一夫人になった訳でもないし、ジュディ様は本邸。私は別邸に住む者。

 その時点で立場はハッキリとしている。


「ごきげんよう、マリエンヌ様」

「ごきげんようジュディ様。お招きいただきありがとうございます」


 ソファーに腰掛けていたジュディ様から声をかけられる。私は礼をしながら挨拶をし、ジュディ様の対面へと腰を下ろした。

 最近のジュディ様は少しお疲れの様子だ。

 それもそうだ!

 ジュディ様は社交界には一度も顔を出さなかった私に代わり、ロースタイン伯爵夫人として旦那様と夜会やお茶会に参加されているのだ。


「ジュディ様大丈夫ですか?お顔の刺蛾良くないですわ」


 私はルーシーが淹れてくれたお茶を一口飲むとジュディ様を気遣った。

 ジュディ様は ありがとう とお礼を言ったがお茶に口を付けようとはしなかった。


「そうそう、本日からお呼びしたのは新しいメイド長を紹介したくて。ルーシー、お願い」


 はい と頭を下げて部屋から出て行ったルーシーは、少しすると一人の女性と数人のメイドを連れて戻って来た。

 

「初めてお目にかかります。キャロル・フェズと申します」

「キャロルはウォルダー家の侍女長の娘で、私とは乳姉妹なの。今回はメイド長と入って貰いましたがいずれは侍女長になって貰う予定でいます」

「まぁ、ジュディ様のご実家の!それは良い方に来ていただきました。マリエンヌと申します。後ろに控えているのは私付きのリズです。よろしくお願いします」


 侯爵家から来た方ならリズにも良い影響を与えてくれるだろう。

 後のメイドたちも辞めさせたメイドの代わりに募集し、キャロルが面接し選んだ者たちだと言った。

 先ほど本邸に入った時に感じたのは、良い人たちが入ったからだと実感した。


 でも先程から気になるのは・・


「ジュディ様、どこか体調でも悪いのですか?」


 どこか顔色も悪く辛そうだ。

 ジュディ様はそんな私の問いかけに


「旦那様と結婚後、立て続けに社交界に顔を出しているせいかしら・・少し疲れが溜まっているようね」


 辛そうに微笑まれる顔さえも美しい。

 私はジュディ様の体調を心配し、早く休んでいただくよう別邸へと戻った。


「マリエンヌ様!お帰りなさいませ、本邸はいかがでした?」


 ケビンに本邸の中庭を懐かしそうに見ていたところ、数日後には花壇と庭師を派遣してくれた。

 もちろん旦那様にはジュディ様からの言付けがあったし、庭師のバロンは侯爵家からの派遣で来ているので怪しまれる事なく管理をしてもらっている。

 ケビン曰く


「いくら伯爵家の敷地内と言っても物騒だ!ジュディ様と相談して護衛を付ける!」


 その手紙を受け取ると同時に紹介されたのがバロンだ。

 バロンはケビンの元で働く騎士で、庭いじりが趣味の少し変わった人だった。

 年はケビンの一つ下と言っていた。


「ただいまバロン。ジュディ様から新しいメイド長とメイドたちを紹介されたは。前の人たちと違って雰囲気も良く明るい人たちだったわ」


 私はバロンから切り花を受け取ると言葉を返した。

 リズとも仲良くしてくれそうだったのが一番嬉しかった。リズは私にとってただのメイドではないから、彼女が少しでもこの別邸でも楽しく生活出来れば私も嬉しい。


「それからこれを・・」


 切り花の後に差し出された物は上質な封筒だ。主人からと言ったのでケビンからの手紙だ。

 私は急いで受け取るとお礼を言い、急いで屋敷の中へ入った。別邸とは言え伯爵家の敷地内だ。

 もしかしたら旦那様の目が光っているかも知れない。ちなみに旦那様はあの日以来こちらの屋敷には訪れていない。

 その方が良い。

 私は旦那様にとってジュディ様が輿入れするまでの繋ぎ。

 いまだに旦那様がどうして私と結婚したのかが分からない。


「ジュディ様がお世継ぎをお産みになれば、私はここから出ていけるかも知れない」


 私はケビンからの手紙を手に急いで私室へと走って行く。

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