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愛されない妻は夫の気持ちを理解できない  作者: おつかれナス


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新連載となります。


楽しんでいただけるよう頑張ります!

「新郎に問う。病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、これを愛し敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「はい、誓います」

「新婦に問う。病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、これを愛し敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「・・・はい、ちかいます」

「神の元、新しく夫婦となった二人に祝福を!」


 そう言った神父の言葉と共に参列者からの拍手が鳴り響く。


 新郎 アベル・ロースタイン

 新婦 マリエンヌ・ロースタイン


 私にとっては鳥籠に閉じ込められる生活が始まった日だった。



「奥様、こちらで旦那様をお待ちください。来られるかはわかりませんが」

「・・ええ、ありがとう」


 私は侍女の手によって身なりを整えられ、今から初夜を迎える。結婚したのだから当たり前の行為。

 なのに、先ほどのメイドの言葉が気になる・・


「きっと、来ないわね・・だって、私はお金で買われた妻なのだから・・」


 私は一人呟くと、テーブルの上に用意された軽食とワインに手を伸ばした。


 私の実家は小さな領地を持つ男爵家。今までは小さいながらも領民と共に協力し領地を守ってきた。

 それが一昨年、立て続けに災害にあってしまった。

 一つは嵐。

 その年の嵐はそれまでに経験した事など無いほどの大きな暴風雨で、田畑は決壊し氾濫した川の水に流されてしまった。


 二つ目は山火事だ。

 決壊した川に全財産を出し修繕し、田畑も新しい土に入れ替えて、さあこれから!と言う時だった・・

 男爵領は田畑で採れた物よりも山から伐採した木の販売で成り立っていた。

 その山林が燃えてしまったのだ・・


 木は一年二年で育つものでは無い。

 爵位返上も間近となったある日、ロースタイン伯爵家より婚約の申し入れがあった。


 男爵家には娘と息子が一人づつおり、娘への縁談話だった。

 伯爵は息子との婚約が決まれば立て直せるだけの援助をする!と、言ってきた。

 お父様は不思議に思い


「伯爵家ならば、家みたいな没落男爵家よりも格上の令嬢でも望めるのでは?」


 と聞いた。お父様からしたら格上の伯爵に対しとても失礼な態度だと思う。でもそれ以上に娘の事を案じての言葉だった。

 伯爵もそんなお父様の気持ちを知ったのか


「実は息子の気持ちなのです。いつのパーティーかは知らないがご息女を見染めたそうで・・ぜひ!と」


 嬉しそうな、でも少し困ったような表情だったとお父様は言っていた。


「でも私、記憶が無いのよね・・」


 グラスに注いだワインを一気に飲み干す。どうせ旦那様は来ないのだからサッサと寝てしまおう。

 グラスをテーブルに置きベッドへと移動し布団をめくり、片足をベッドの上に乗せた瞬間、旦那様の私室へと繋がる扉が開いた。


「「あっ・・」」


 お互いの声が重なる。


「・・・」

「・・もう、横になるのか?」


 私が布団をめくっている姿を見た旦那様が聞いてきた。

 私は急いで足を下ろし布団を元に戻す。


「申し訳ありません。その・・旦那様は今夜こちらにおいでにならないと思いまして・・」

「初夜なのに?」


 そう言いながら私が飲んだグラスにワインを注ぎ、それを一気飲みした。

 私は気まずい思いでその場に立ちつくす。


「君の気持ちは関係ない。今日、私と君は夫婦になったのだからね。ただ、子供は直ぐには作らない。だが・・」


 そう言いながらベットの側に立つ私の前まで歩いてくる。その旦那様の顔は、とても複雑そうな顔をしていた。

 何か訳があるのなら話して欲しい!


 そう思い言葉を出そうとした瞬間、私の唇は無理やり旦那様の唇に塞がれた。


 何度も何度も・・


 それは何も言うな、何も聞くな!と言われているようで、とても悲しくなった・・




 無事?に初夜を迎えた私だけど、朝目を覚ますと隣には誰も寝ていなかった。


「布団が冷たいわね・・」


 いつ部屋から出て行ったのか、布団の冷たさで想像がついた。

 悲しくないと言ったら嘘になる。

 愛される事は無いとわかっていたけれど、実際に態度に出されると涙が出てくる・・


 なぜ旦那様は私と結婚なんてしたのだろう・・


 そう思い布団の中へ潜り込む。どうせ誰も来ないのだからこの際夜までゴロゴロしよう!

 そう思って目を瞑ったところに


「奥様、お目覚めでいらっしゃいますか?」


 伯爵家のメイドだろうか?初夜の次の日に、しかもこんな早い時間に来るなんて・・そう思うがここで知らん顔も出来ない。


「起きています」

「失礼致します」


 私の言葉を聞くと直ぐに入って来たのは、昨夜身の回りの支度をしたメイドだった。

 メイドは頭を下げながらもベッドをチラッと見る。

 きっと無事に初夜を迎えたか確認をしに来たのだろう。


「ちょうど良かったわ。身体を洗いたいの、準備をしていただけるかしら?その間にシーツも取り替えてくださる?」

「・・・お風呂の準備は出来ております。こちらへ」


 きっと何も起きていない事を期待していたのだろうその顔は、とても歪んでいて朝から気分が悪くなった。

 

 

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