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末路
踏み込んだ邸宅の奥、静かな執務室にミシュラ子爵は座っていた。
たった一人の護衛もいない。
隣には子爵の夫人、令嬢と令息。誰一人として慌てた様子はなかった。
「内乱の罪で身柄を拘束するよう命が下っています」
その言葉に、子爵はゆっくりと頷いた。夫人は子どもたちの肩に手を置き目を閉じる。
「さて、行こうか」
膝に手をやって立ち上がると、私に両手を差し出した。意図を計りかねた私は、子爵の顔を窺う。
「ほら、反逆者には縄を掛けなきゃ」
軽い調子でそう言われた。荒縄で両手を結び始めると、どこか安心した様子で満足そうにしている。
ブラカ統一王国建国、五十二年。始まって以来の大罪。
どうしても、その内乱を策謀した主犯とは思えなかった。
「本当に子爵が、この内乱を……?」
「ああ。……そうだな」
襲撃された他領の村々。燃える麦畑。背から斬られる女子供。私は目の前で穏やかにしているミシュラ子爵とどうにも結びつかなかった。
後日、ギロチンが落とされた。
ミシュラ子爵だけではない。あの場にいた夫人と令嬢、令息の首も胴から離れた。
広場に転がった首は、穏やかなままだったと、学院の誰かが噂していた。




