表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

うんこ先生

作者: はせまん

僕の担任の加瀬先生の頭はうんこの形をしている。


うんこの形の髪型をしているというわけではなく頭の形が立派なとぐろを巻いたうんこなのだ。


だからみんな親しみを込めてうんこ先生と呼んでいる。


先生は病院に頭を調べに行くと、見た目はうんこだが中身に問題無いと言われてほっとしたようだ。


インドには体が木のようになる病気があるそうだが、そういう珍しい病気は症例が少なく研究が進まないので先生の頭も治るのはかなり先の話なのかもしれなかった。


どうしてこんな頭になったのか本人はよくわからないと言っていたが、帰宅すると新聞を穴が開くまで読み録画したワイドショーをアイロンを掛けながら見ると言ってたので僕はそれが原因なのではないかと思った。


僕のクラスではうんこ先生は人気者だが、心ない生徒は先生を見てうんこ頭とか、うんことか言ってバカにしたりする。


僕は怒った方がいいんじゃないかと先生に言うが、本当の事だからしょうがない。それに今はいろいろ問題があるので強くは言えないんだよとたしなめられた。


うんこ先生もうんこ頭も大して言ってることは変わらない。ただ親しみをこめて言うか悪意があるかの違いでしかないんだと僕は思った。


先生はよく授業中に面白いことを投げかけてくる。


この前はうんこ味のソフトクリームとソフトクリーム味のうんこ、食べなければならないとしたらどっちというものだった。


クラスのみんなはソフトクリーム味のうんこがいいと手を挙げたが、僕だけはうんこ味のソフトクリームを選んだ。


見た目がうんこでも目をつぶって食べたらソフトクリーム味なんだからそっちの方が美味しいに決まってるとクラス一丸になって言ってくるので僕は反論した。


「ソフトクリーム味でも実際はうんこなんだから何百兆の細菌や細菌の死骸がおなかの中に入って病気になったり下手したら死ぬこともあるんだ」


僕は勝ったと思った。


その発想はなかったわという顔をしてみんな黙りこんでしまった。


僕は調子に乗って「苦いのさえ我慢すればそれはソフトクリームなんだから何も問題ないんだ」と言うとみんな顔を見合わせて言った。


「苦い?」


先生はとても感動してくれて、僕を褒めてくれた。間違ってないと思ったら自分の意見を貫くのが大切なことなんだと纏めて授業を終えた。


次の日から僕のあだ名はうんこイーターになった。


僕は職員室に行き先生に文句を言いに行った。先生が授業中に余計な事をやりだしたから僕のあだ名はうんこイーターになったんだと怒った。


科目の内容にもっと集中してくださいと他の先生もいたので聞こえるように大きな声で言った。


あの時の先生の決まりの悪そうな顔を、僕は今でも忘れられない。


卒業して二十年たった。まだ先生は教員をしているというので菓子折りを持って当時の事を謝りに言った。


「そんなことあったか?」と先生は素っ気なく言ったが本当かどうか僕にはわからない。


先生のうんこ頭は加齢で白くなりふわふわに柔らかくなっていた。


今担当しているクラスの生徒からはソフトクリーム先生と呼ばれているそうだ。


おわり





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ