仮面選びと打ち合わせ(後編)
大きな家だな。
「大きな家ですね〜」
同じことを思ったのかツキサも呟いた。
玄関に行こうとしたがインターホンがどこかわからず、ドアをドンドンした。
「すみませーん。菊田さんと一緒に来ました。クロメです。」
すると、後ろからクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「ゆ、、、く、クロメ。ここにあるぞ。あははっ」
とショウハ(翔)は馬鹿にするように笑い、ボスも
「わっはっは。すまぬ、クロメ。」
とインターホンの場所を指差しながら笑った。
「さ、先にいえや!!」
全く恥ずかしいわっ!
_ガチャ
「菊田様と例の皆様ですね。お待ちしてました、こちらについてきてください。」
とショウハたちと同い年くらいの若い男性が出てきて、応接室みたいな部屋に案内された。やっぱり大きな家なだけあって、この部屋も広い。
すると、なにかハッとしたように男性が話した。
「申し遅れました。僕は桃華様付き執事の一人、とうまです。よろしくお願いいたします。」
「クロメです。」「ショウハだ。」「ツキサで〜す。」
とそれぞれ自己紹介した。
そして、護衛対象の桃華は今、ピアノのレッスン中らしい。
なので、とうまさんと桃華について話をきいた。
「僕、実はバイトで執事をやってまして…桃華様とは小さい頃からの中でして、正直まだ”様”呼び慣れてないんですよね。」
と色々話していくと、実は同じ学園の生徒で先輩など、親が借金を抱えており、返済のためにバイト先を探していたところに桃華が「じゃあ、私の執事になって働きませんか?」と言われ、住み込みで働いているらしい。
「桜樹家の一人娘で、才色兼備。小さい頃からいろんなこと習っていたらしく、僕や兄、近所の子と遊びたかったのか、早く終わらせれるように頑張って、鬼ごっこやかくれんぼをしていました。」
昔のことを思い出して懐かしく思ったのか、とうまさんは穏やかな笑みで語った。いつの間にか、桃華呼びで
「桃華はやっぱりお嬢様だから、色々つらい思いをしてるんでしょうね」
と困ったような悲しいような顔をした。
「あっ!もうそろそろで終わる時間なので、呼んできますね。」
と部屋を出ていった。
リンゴジュースとだされたお菓子を食べながらしばらく待っていたら、桃華と執事さんがきた。
「お待たせしました。私の名前は桜樹桃華といいます。今回はよろしくお願いしますね」
と桃華がきて、また自己紹介をした。
「桃華、覚えてるか?小さい頃、3回ぐらいお前の爺さんと会いに行った菊田だよ」
「覚えてますよ、菊田おじさん。お久しぶりです。」
ニコッと可愛らしい笑みを浮かべ、「では、本題に入ろうか」とボスが護衛の話をした。
学校には基本安心して通学できるようウチらの三人、もしくは誰かが近くに隠れて見ていることと、通学途中に連れられないよう車に乗っていることなど、常に近くにいることを話した。
「ということで、以上だ。何か質問はあるかい?」
「いいえ、ございませんわ。」
「じゃあ、そろそろ帰るぞ。またな、桃華」
「ええ、また…」
ゾクリと背筋が凍るような気がした。
前と後ろから。
_パリーンッ!!




