学校での護衛
今日から、護衛と学校が始まる。
けど、ちょっと気まずいな。だって、昨日お嬢様叩いちゃったんだもん。
いくらなんでもやり過ぎたかな…。
月曜だからなのか、昨日叩いてしまったことへの申し訳なさのせいなのか、学校に行くのがすごく嫌だ。
うん。ものすごく嫌だわ。
「はあ〜」
まあ、ため息ついたところで何も変わらない。重い足を引きずりながら学校へ向かった。
クラスにいくと、桃華がもう着いていた。
ウチに気がついた桃華が近寄ってきた。
「お、おはようございます、夢歌さん!あ、あの…連絡先交換してください!!」
ともじもじしながら言ってきた。
周りからの視線がなんか痛い。ひそひそと言っているつもりなのか結構聞こえる話し声。
「まあ、桜樹さんに声かけられてる。」「どこの子よ?」「ご令嬢なのわかってないのかしら?」など色々聞こえてくる。
言ってくるのは、どこかのお嬢様っぽい方々。
多分、桃華と親しい人であろう。
「いいよ」と言いながら周りの反応を見ると、「いいよですって。」「タメ口で話してるわ」と返答の仕方に文句を言われている。
そんな彼女はすこし嬉しそうだった。
「ありがとうございます!」
なんか昨日叩いちゃた相手に連絡先聞かれるのって複雑だな。
しかも、桃華はウチがクロメなのを知らないから余計に…。
けど、こうして見ると普通のお嬢様なのかもしれないな。
そう感じていると、先生が来て朝の会、授業が始まっていった。
___
昼休み。
昼ご飯を食べてから翔に会いに行く。
場所は人気のない屋上への階段。
翔曰く、屋上は閉鎖されてるから入れないけど階段までは閉鎖されてないらしい。
「なんか怪しいやつとかいたか?」
「いなかったよ。そっちは?」
「執事がいただけだ」
執事、とうまさんのことか。
「クラス、一緒になったの?」
と聞くと「今年からな」とめんどくさそうに頭を掻きながら言った。
「バカ女からなにかきたか?」
「さっき連絡入れたけど、なにもないってきたよ」
「そうか。じゃ、教室に戻るか」
と言い、翔と別れ教室に戻った。
ツキサには、『周囲警戒をちゃんとしてね!翔は朝やったから、帰りはツキサに任せた!!』と返信しておいた。
*****
今日から護衛してくれる人がクロメさんだと思っていた。
朝、準備をしている段階では。なのに、来たのは鬼の仮面をした男性。
「ショウハ」と呼ばれていた人だ。
というか、この方…一言も話しませんわね!!
鬼の仮面も相まって、余計に怖い。
「きょ、今日はクロメさんではないのですか?」
「わからん」
会話が続かないですわっ。
まあ、無理にする必要もないですし、別のことを考えましょう。
窓の外を見ると、桜が満開に咲いている。
ふと、あの子のことを思い出す。
黒井夢歌。子どものように無邪気に笑い、入学式の日は私を「桜の妖精」と呼ぶ。
そして、大人びた表情をする。
彼女は、私がお嬢様だと知っても普通に接してくれるだろうか?
それとも、お嬢様として接するのだろうか?
そういえば、連絡先を聞いてない。
よし、今日は夢歌さんの連絡先を聞こう。
そして、帰りはクロメさんになることを願いながら学校へ向かったのだった。




