8/30
夢を見ていたい
夢は夢でしかない
そこにある幸せや煌めきを
つかみたくて
でもつかめなくて泣きたいよ
圧倒する現実の生活臭
嫌になる
変わり映えのない日々
怠いよ
抜ける気がしない
虚しい灰色
泡沫より
軽くて脆くて汚い
わかっているの
眠りの中に宿る夢は
脳のでたらめでしかない
どれほど鮮明で至福であろうと
所詮は夢でしかない
◆
夢の中で夢幻の花が咲いた
目覚めても不思議と
ベッドに咲いている
ああ──
わたしを蔦で絡みとって
わたしを香りで酔わせて
わたしを食らっていいから
とにかく夢を見ていたいの
現実を脱いで 恍惚を纏い
陶酔で髪を結い 魅了で着飾り
理想の化粧を施して
誰にも邪魔させない
わたしだけの完璧なわたし
幸福と聡明と富豪と妖艶と矜持
誰よりも美しくて性格もよくて
頭も賢くてお金持ちで
男にモテて誇らしいの
わたしは幸せ
ああ なんて幸せなの
あれからどれだけが
過ぎたのだろう
時間なんてどうでもいい
わたしは夢に在る
わたしは夢は宿る
わたしは夢に囚われる
永遠に──
◆
あなたはもはや
夢境の住人 世界の一部
己のすべてを
食われ吸われ奪われ
孤独になる
その“絶望”をまだ知らない




