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妄想─喜劇病─
不意に思ったのさ
俺の人生は喜劇で
俺はその王様なんだ
かの喜劇王には敵わないが
それでも
笑われることが役目だから
それも悪くないと思っていた
馬鹿にされても
嗤われても
うまくいかなくても
どうせ喜劇なのだ
観客が笑えばそれでいい
満足して幕は下りる
そうして生きていたら
いつの間にか
真剣がこぼれ落ちて
気づけば王様ではなく
道化師になっていた
ある日突然
笑いが止まらなくなった
胸の奥で何かがはじけて
理性が服のように脱げ落ちて
裸のまま叫んだのだ
俺の人生は喜劇なんだ!
俺は喜劇の王様なんだよ!
だから笑えよ、笑ってくれよ!
アハハ! アハハ!
脳が蕩けるような快感と
全身が逆立つような興奮が
頂点で
そのまま闇に落ちた
目を開けると
病院の白い天井
身体は拘束され
医者は重々しく告げた
「あなたは極めて重度の喜劇病です」
あのままでいたら
衝動に呑まれて
死んでいたらしい
俺は今、正気に戻るために
『真劇薬』という名の薬を飲んでいる
喜劇の王様という妄想を消して
正気と現実を戻すための
とても現実の苦みがある薬だ




