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風鳴りの忘却
忘れゆく風に
あなたの影が混ざる
遠ざかる思い出に
あなたの涙が混ざる
離れゆく気配に
あなたの姿が混ざる
すべては
アンダンガルデ山脈の
冷たい風鳴りに消えていく
もういい
もういいの
許されていいの
あなたは罪と呪いから
解き放たれたのだから
もう眠りなさい
孤独こそが
あなたの渇望で
唯一の解放だった
だからこそ
ひとり
この山脈の奥で
冷たき雪の中で
眠りなさい
もうあなたを
覚えている者はいない
もうあなたを
責め立てる者はいない
もうあなたを
憎み恨む者はいない
そして──
あなたを生み育てた
この母も忘れましょう
この愛おしさ
この慈しみ
このやさしさ
この悲しみ
この嘆き
あなたに抱く
様々な感情も思い出も
記憶そのものを
非情なる決断を持って
すべては終結となる
ああ……
この涙の意味さえも
消えていく
忘れゆくこと
それがあなたの
解放なのだから
だからこそ
真っ新な眠りを
永遠に──
さようなら
私のただ一人の愛しい子




