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孤影・孤独
【孤影】
風が吹き 熱が消えた
雨が降り 愛が流れた
陽が輝き 涙が零れた
陽が暮れ 恋は消えゆ
夜が更け 影が揺れた
月が陰り 姿が霞んだ
星が囁き 別れを告げる
君の名を呼べど 応えはなく
指を伸ばせど 温もりはない
名前さえ 虚空に消える
夢の中で手を伸ばしても
もう届かぬ君は幻か
夜明け前の蒼い闇に
ただ独り立ち尽くす
そして時は巡れど
その時の失恋は
永遠に残る
【孤独】
助けが必要な人ほど
その負を出せず
その負を隠し
周りに言えず
周りに隠し
孤独になる
抱える負は
少しずつ大きくなり
静かに潰されていく
あるいは突然
糸が切れたように
落ちていく
あるいは爆発して
己の不幸や不満を
他人への危害に変える
でも――
本当に孤独な人は
身内もいなくて
友人もいなくて
ではなく
根本的に己の周りに
「助けて」と言える
環境も人もないのだ