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『別れ』三詩
1、最後くらい
別れの言葉は軽く
明るい笑みで
しんみりせずに
涙は決して見せず
あなたの心に
どんな小さな影も
残したくないから
そして
最後くらい私の笑顔を
残したいじゃない
「さようなら」は言わずに
2、神ではなく
別れの食事会は
豪華な場所と美しい景色で
最後の乾杯は
静かに調和させ
別れの挨拶は
慇懃なほど礼儀正しく
そして──
去りゆく背中に 冷たい視線を
遠ざかる気配に 嫌味な一言を
別れゆく私たちの道が
二度と交わらんことを
神ではなく悪魔に祈る
3、二度と戻らない
一度傾いてしまった心は
天秤のように
片方を重くしても
釣り合うことも
逆に傾くこともない
そう
人の心の移り変わりは
そんなものだ
だから二度と戻らない
だから彼女は
俺の所に帰らない