ウチゎ〜ネコにゃん!名前ゎまだにゃい!
ウチゎ〜ネコにゃん!名前ゎまだにゃい!
てか、名前とかいる?ウチみたいにカワでパーフェクトな存在は、ありのままで十分にゃん。飼い主のアキちゃんは「みゃーちゃん」とか呼ぶけどさ、正直それでウチの全てが表せるとは思わないワケ。名前ってただのラベルでしょ?人間たちが勝手につけた都合のいい記号にすぎないにゃん。だから、本当の意味ではウチに名前ゎにゃい!
ウチは毎日、アキちゃんとその彼氏ユウキが住むこのアパートの一室で人間たちの行動を観察してる。朝から夜までバタバタ動き回って、やれ仕事だの、筋トレだの、恋愛だの……。ウチから見ると、それ全部「なんのため?」って思っちゃう。人間って、本当に不思議な生き物だよね~。
朝。人間たちは一斉に起きる……なんてことはにゃい。アキちゃんはアラームが鳴ってもベッドでゴロゴロしながら「あと5分だけ……」って言ってるけど、その5分が何になるの?起きるならさっさと起きればいいし、寝たいなら寝てればいいのに。ウチが顔に乗っかって「早く起きるにゃん!」ってプレッシャーをかけるんだけど、それでも効果にゃし。
一方でユウキは、朝からプロテインを振り回して「今日も限界突破!」って言いながら筋トレ。マジで謎。「朝ごはん作るとかあるでしょ?」ってウチは内心思うけど、彼はプロテインをシェイクして「これが朝食!」とか言っちゃうタイプ。マジキモい。
昼間、アキちゃん達が仕事に行くと家は静かになる。窓辺で外を眺めてると、道を歩く人間たちが見える。みんな服や髪型が違って、なんだか「自分だけ違う」って顔してるけど…、実際にはみんなスマホを見て俯き、同じ方向に歩いてる。
「個性」ってなんだろうね?ウチには模様があるし、他の猫とは違う毛並みだけど、それが本当の「個性」なの?もしウチが真っ白だったら、それでもウチはウチ?……人間たちの「個性」って、ただの見かけだけにしか思えない。
夜、アキちゃんとユウキが帰ってくると、家はまた賑やかになる。アキちゃんが「今日マジで最悪!」とか言って愚痴を言い、ユウキが「それな」って適当に相槌を打つ。それでまたスマホいじりながらお菓子とかスイーツ食べてる。ダイエット中と筋トレ中なのに、スイーツは食べちゃうの意味わかんにゃい。
そんでアキちゃんとユウキはよく喧嘩する、よくわかんにゃいけど、しょーもないコトで。必死に金切り声を上げるアキちゃんと、耳が壊れちゃうんじゃないかってくらい怒号のユウキ。どうせ明日になれば仲直りしてるのに、ループにゃん。
でさ、ウチは最近気づいたんだ。人間たちの「愚痴」とか「不満」って、ある意味、楽しみみたいなものなんじゃない?足りないものばかりを気にするのが、人間の生きるエネルギーなのかもしれない。ウチには理解できないけどね。ウチはそこにある日向とサーモンがあれば十分。
そんなある日、ウチは近所の池を見つけたんだ。キラキラ光る水面が、何かすごく魅力的に見えた。
「ウチも行ってくるにゃん!」
衝動的に窓から飛び降りて、その池まで向かった。風を切る感覚が、なんだか自由そのもので、ウチの胸は高鳴ってた。ドキドキ冒険タイムにゃ。
池のほとりに着くと、水面にはウチの姿が映ってた。でも、揺れる水のせいでウチの顔は少しずつ形を変える。その歪んだ姿を見て、ウチはふと考えた。
「これが、これが本当にウチにゃの?」
ウチが「ウチ」だと思ってるものも、ただの揺れる影みたいなものなんじゃない?本当のウチって、どこにいるの?もしウチを誰も知らない世界に行ったら、それでもウチなの?ウチの性格が変わったら、以前のウチは死んだの?生きてるの?ウチがウチだと思うこの思考は、本当に存在しているの?ウチはなんのために生まれてきたの?自己とはなに?もしこの世界が全部幻だったら、ウチの存在も幻なの?ウチは、ウチは—————
答えが出ないまま、ウチは池に足を滑らせた。
冷たい水が体を包み込む感覚。ゆっくり、ゆっくりと、引きずりこまれていく。でも、どうして? 不思議と怖くなかった。むしろ、初めて感じる静寂に包まれて、心が落ち着いていく。
揺れる水面の下、ウチの意識が徐々に薄れていく中で、最後にこんな考えが浮かんだ。
「ウチって、本当は誰だったのかにゃ?」
そしてウチは、静かに水の中へ消えていく————その瞬間
「みゃーちゃん!!!!!!」
人間の手が、ウチをすくい上げた。よく知っている匂い、アキちゃん。ウチの脱走はバレていたみたいにゃ。
「みゃーちゃん、危ないでしょ!!」
アキちゃんはウチの名前を呼ぶ、名前? 名前…名前だ、ウチは名前を呼ばれたと感じたにゃ。みゃーちゃん、みゃーちゃん、これは名前にゃ。アキちゃんが付けてくれた、ウチの名前にゃ。わかったにゃ、ウチはなんなのか、それはまだわからにゃい、わからないにゃ、でも、たった一つ確かな事があるにゃ
ウチゎ~ネコにゃん!名前ゎみゃーちゃん!