表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートショート10月〜5回目

真似

作者: たかさば

 とびきりおもしろいものがたりがかけたので、ともだちにみせた!


 ともだちは、「おもしろい」っていってくれた!

 のぞきこんだせんせいも、「もっとよみたい」っていってくれた!


 ウキウキしながらつづきをかいていたら、ひとりのクラスメイトがいった。


「これ、まねじゃん!」


 ヒーローのかけごえがテレビのやつとそっくりだって。

 ひっさつわざがおんなじだって。

 みんなでわらってカレーをたべるのが、ゆうめいなえほんといっしょだって。


 ぼくは、まねっていわれないようなものがたりをかくことをちかった!



 がんばって物語を書いて、友達に読ませた。


 友達は、「おもしろい」と言ってくれた。

 部活の顧問も、「もっと読みたい」と言ってくれた。


 ホッとして続編を書いていたら、部誌を読んだ同級生が言った。


「これ、マネじゃん。オリジナルのアイデアで書けないわけ?」


 異世界転生ものは全部二番煎じなのだそうだ。

 どこかで見たことがある魔法のスペル、エルフや獣人…設定の模倣はみっともないのだそうだ。

 そもそも魔法という考え方そのものがパクリでしかないのだそうだ。


 僕は、誰にもマネできないような物語を書くことを誓った。



 コツコツと文字を(したた)め続け、小説投稿サイトで発表していた。


 読者の皆さんは「おもしろい」という感想を寄せて下さった。

 文筆業に携わるプロの方々からも「もっと読ませて欲しい」というお言葉をいただいた。


 胸をアツくしながら物語を綴っていたら、旧知の人物がメッセージをよこしてきた。


「これはただの真似。唯一無二の物語を生み出せないことを恥じるべきである…」


 推理小説というジャンルに属している時点で、オリジナリティはないのだと。

 起承転結という観念は、誰かの設定を使っているに過ぎないのだと。

 そもそも、誰かが生み出した文字を使って表現するという事こそ、タダでツールを使用して儲けようとする愚かな事なのだと。


 僕は、分かり合えない人とは縁を切って、自分の物語を書き続けている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ