とある村で
ここは、北の外れにあるワッカナ村である。
村は、村人達が農業や狩猟をして生活する小さい村である。
この村の端に若い夫婦、夫のリック、妻のリンが住んでおり、ある日の朝、二人の間に男の子1人が生まれた。
リックは、優しそうな顔をリンに向けた。
リック「元気な男の子だな。リン、お疲れ様。リンに似て可愛い子だな」
リンは、笑顔でリックの方を向く。
リン「元気な男の子ね。あなたに似てかっこいい顔立ちしてるわ」
この夫婦は、角砂糖より甘いラブラブ夫婦だったのである。
生まれた男の子以外にも、弟妹が何人も生まれるが、それは別の話である。
リック「名前を決めなきゃな。」
リン「そうね。どんな名前が良いかしら?」
リック「男の子らしくモルドレッドなんてどうだい?」
リン「いい名前だわ。あなたの名前はモルドレッドよ。」
こうして、ラブラブな両親に祝福されながら、モルドレッドは誕生した。
それから、時は過ぎ、モルドレッドは3歳になった。
リン「モルちゃん、アサちゃんが来てるわよ」
モル「今、行くね。」
モルドレッドが外に出ると、茶色の麻のワンピースを着た金髪、金色の瞳で目がぱっちりの小さい女の子が笑顔で立っていた。
この女の子が、モルドレッドの幼なじみのアサ3歳である。
アサ「モル、遊ぼ!」
モル「いいよ!遊ぼ!母、行ってくるね」
リン「行ってらっしゃい」
モル&アサ「「行ってきます。」」
二人は手を繋いで、家の近くの丘に走って行った。
モル「いつもの英雄ごっこやろ!」
アサ「いいね!やろ!」
英雄ごっことは、英雄が世界征服を企む邪悪な魔獣を倒すおとぎ話を基に、チャンバラをする遊びで、二人はいつもやっている遊びだ。
モル「俺は、勇者役!」
アサ「私は、剣姫役ね!」
そして、二人は木の棒を持って、チャンバラを始め、二人はひたすら打ち合い、アサがモルドレッドの胴を打つと、モルドレッドは丘の草の上に横に倒れた。
モル「痛たぁー!アサ、強すぎ。今日も負けちゃったよ。」
アサ「モルも良かったけど、私のが強いね!でも、モルは叩かれても、痛いくらいですんじゃって、私なら泣いちゃうよ。」
モル「毎日、アサに叩かれてるから慣れたんじゃない?そういえば、来週には、村の教会で神様から何か言われる何かがあるって、父が言ってたけど、アサ知ってる?」
アサ「私も父様から聞いたよ!何か神様が何か言って、何かくれるんだって!大きくなったら必要な物なんだって!」
モル「何が貰えるか楽しみだね!早く来週にならないかなー」
二人は仲良く話しているのだった。
教会に行く前日、モルドレッドは、父のリックから教会の儀式について話を聞いていた。
リック「モル、明日は教会に行く。神様からお前にスキルというプレゼントがあるんだ。」
リック「俺は、神様から槍使い、弓使い、解体、罠設置、気配察知をもらった。今はスキルのおかげで、猟師の仕事や魔獣から村を守れるんだ。モルも神様からすごいスキルが貰えるといいな!」
モル「うん!俺は勇者みたいなスキルが神様から貰えるといいなぁー!」
この世界でスキルは持っていれば、その名前にのっとって、能力が上がり、スキルを持っていない者に比べて能力が上がりやすいため、スキルをもらったら、それに合わせて能力を伸ばし、将来の仕事を決めるのが常識であった。
リックとモルは、どんなスキルを貰えるか盛り上がりながら、時間は過ぎて行った。
まさか、モルドレッドがあんな事になるなんて思いもせずに・・・