モルドレッド、小学校入学する
クロス達が村を旅立ってから、3年が経とうしていた。
モルは、毎日、ミサと遊び、クロスから教えてもらった訓練も繰り返した。
モルは、身長が伸び、幼児から小さい男の子どもといった感じになった。
ミサもモルと同じように小さい女の子になった。
ミサ「春から小学校だね。王都嫌だなぁ。はー。」
モル「ミサは推薦組だもんね。しばらく離ればなれだね。俺はサッポの小学校だから入学したらしばらく会えないね」
ミサは、スキルを15個所有しており、過去に英雄が持っていたライトニングセイバーという超レアスキルを持っていた事で、王都トキヨのエリート小学校に推薦され、入学する事が決まっていて、入学後は寮に入り生活する事になっていた。
モルは一般の子供が通う小学校だった。
モルの住むホカイのエリアには、サッポという街に一つだけ小学校があったが、ワカッナ村からは遠く、入学すると寮に入って生活することが決まっていた。
この国ジャパの教育について説明しておこう。
ジャパでは、7才になる歳に小学校に入学する。
それから小学校で6年過ごし、13歳から中学校に入学して3年過ごして卒業する。
小学校と中学校は、読み書き計算、魔獣との戦い方、戦闘訓練、政治体制等必要な勉強をする。
学費、食費、寮費等小、中学校生活で必要なお金は国から出るため、個人が払う事はない。
貧乏人だろうと何だろうと子供は年齢がくれば、学校に入学する事が義務なのである。
小学校と中学校は、各領地の主要都市にあるため、子供達は生まれた領地にある学校に行くのが一般的である。
例外として、ミサのように優秀なスキルを授かると、王都のエリート達が通う小学校に入学する事がある。
王都のエリートが通う小学校に通う子供は、スキルの能力が高すぎて、地方の小学校では浮いた存在になり、イジメの対象になるため、そうならないようにレベルを合わせる事と英雄候補達を早く育て、戦力にする事が目的のためである。
中学校を卒業した後は、国の軍に入っても、冒険者をしても、商売をしても何をしても良い。
中学校を卒業したら、一人前の大人という意味である。
ミサ「私もサッポの小学校が良かったなぁ。モルと一緒が良かったよ。」
モル「俺もミサと一緒が良かったけど、しょうがないよ。中学校卒業したら一緒に冒険すればいいよ!」
ミサ「長ーい!ま、しょうがないよね。」
モル「それじゃ、これから何して遊ぶ?」
ミサ「決まってるじゃん。英雄ごっこだよ!今日も負けないからね!」
モル「今日は勝つからね!」
そういって二人のチャンバラ遊びは始まるのであった。
そして、春になり、ミサが先に王都に旅立っていった。
モルドレッドは、寂しい気持ちになったが、その気持ちを押し殺した。
モルドレッドとミサは、月に一回は手紙を出すことを約束した。
この手紙の約束が二人の支えだった。
モルドレッドは、ミサより1ヶ月遅く、村を出発した。
両親と離れるのも寂しかったが、我慢した。
ワカッナ村から主要都市サッポまでは、馬車で3日かかり、途中乗り換えもあった。
なんとかサッポご見える丘まで来ると、目の前には、人の身長の何倍もあるレンガの壁に大きな門があり、真ん中の方にはとても大きな城が見えた。
モルドレッドは、初めて見る光景に驚きを隠せなかった。
門の前に来ると、馬車を降りた。
鎧を来た衛兵さんが門に並んでいる人に声をかけていた。
衛兵に声をかけられた人は、衛兵に通行料を払って門をくぐって街の中に入って行った。
衛兵「坊主!一人か?親はどうした?」
モル「俺は小学校に入学するためにきた。遠くから来たから親は来てないよ。」
衛兵「そうか。もうそんな時期か。入学する子供の通行料は免除されているから通って良いぞ。」
モル「ありがとう!」
衛兵「小学校は、真っ直ぐ行って噴水を右に曲がって真っ直ぐ行くとある。門の前に衛兵がいるから声をかけろ。案内してくれる。これからがんばれよ。」
モル「分かった。ありがとう。」
モルドレッドは、衛兵にお礼を言うと、街の中に入った。
街に入ると、モルドレッドの前には建物がところ狭しと並び、石畳の道が四方に伸びていた。
道の脇では、商人達が野菜やら肉やらアクセサリーやらを並べ、商売しており、そこに客が並んでいて、すごい人数の人だった。
モルドレッドは、村では見た事が無い人の数だったので、驚いてしばらく動けなかった。
モルドレッドは、なんとか正気を取り戻し、衛兵に教えてもらった道を進んで行った。
すると、大きな門が現れ、脇には衛兵がいた。
モル「すいません。ここ小学校ですか?」
衛兵「そうだよ。新入生だね。ようこそ、サッポ小学校へ。さぁ、入って!入ったら、そこのベンチのところに他の子供達もいるから一緒に待ってて。そのうち、先生が迎えにくるから。」
モル「分かりました。」
モルドレッドは、衛兵が言ったベンチのところに行くと、そこには3人の子供がいた。
モル「こんにちは。」
3人「こんにちは。」
モルドレッドも他の3人も慣れない環境のため、会話せずに先生を待っていた。
すると、奥の道から黒い上下スーツ姿の20代くらいの女性が歩いてきた。
衛兵「今日は、クレア先生ですか。そこにいる子供達が新入生ですよ。」
クレア「ありがとうございます。皆、初めまして。クレアと言います。皆を案内するのでついてきてください。」
モルドレッド達は、クレアの後ろをついて建物の中に入ると、そこに受付があった。
クレア「皆さん。それぞれ名前を行って寮の部屋番号を聞いて鍵を貰って下さいね。」
モルドレッド達は、一人ずつ受付で名前を言うと、寮の番号を教えてもらい、鍵を受け取った。
クレア「それでは寮に案内しますね。」
モルドレッド達は、また、クレアの後をついていくと、しばらくして左右に大きな建物が出てきた。
クレア「右が女子寮で、左が男子寮です。寮に入ったら寮長が案内します。」
クレアは先に一緒にいた女の子1人を女子寮に案内し、その後、残りの3人を連れて男子寮に入った。
寮に入ると、一人の若い青年が立っていた。
クレア「ここが男子寮です。あとは、寮長が案内しますね。寮長お願いしますね。」
すると、青年は、
寮長「分かりました。ようこそ、サッポ小学校の男子寮へ。規則を守って生活してくれれば、家のように過ごしてかまわない。まず、荷物を自分の部屋に置いて、また、ここにあつまってくれ。番号は、階段の脇に書いてあるのと、ドアにも書いてあるから、それを見て部屋に行ってくれ。」
モルドレッドが渡された鍵には220と刻印されていたので、同じ番号の部屋を探すと2階の端の部屋だった。
部屋の中には机一つとベッド、クローゼットがあるだけで、他には何も無かった。
モルドレッドは、部屋に荷物を置くと1階のロビーに戻った。
すると、ちょうど他の子供達も戻ってきたところだった。
寮長「寮長のグリだ。よろしく。分からない事があれば、俺に聞いてくれ。まず、校内の案内図を渡しておく。そこに食堂や浴場、教室の場所が書いてあるから覚えるまでは持っていた方が良い。次に規則だが、寮は君たちが生活する家だ。基本的には自由にして良い。次に・・・」
寮長が説明した規則は、
7:00~ 食堂で朝食
8:30~12:00 授業
12:00~13:00 昼食
13:00~16:00 授業
16:00~自由時間
風呂は17:00~22:00まで。
寮の出入口
6:00開門
23:00閉門
トイレ、洗面所は各階に1箇所ずつある。
トレーニングルームや訓練所の使用は、16:00~21:00
トレーニングルームや訓練所を使う際は、出入口にあるノートに名前を書く。
といった内容だった。
寮長「当たり前だから言ってないけど、犯罪行為はダメだから。恋愛はしてもらってかまわないが、寮に連れ込むのはダメだから。規則はこのくらいかな。次に1週間後に入学式があるから、それまでは自由。制服は各部屋にあるから確認してくれ。以上だ、質問が無ければ、これで解散だ。疲れてるだろうからゆっくり休んでくれ。」
3人「分かりました。ありがとうございました。」
モルドレッド達は、説明を聞いた後、それぞれの部屋に戻った。
モルドレッドは、部屋に入るとベッドに倒れこみ、疲れからかすぐに眠りについた。




