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夢想神伝重信流伝書 現代語訳  作者: 七志草
神伝流秘書 真伝流居合極秘書
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刀名所之説

○刀の各部分の名称についての説明

・太刀とは蛇を象ったものである。スサノオノミコトがヤマタノオロチを斬った際に、剣を得た伝説に(太刀の各部分の名称は)基づいているものである。

 「一の足」「二の足」(太刀を佩くための太刀緒を通す、鞘に付いた金具。足金物)というのは、スサノオが踏んだ、という意味である。

 「一の責」「二の責」「三の責」(鞘が割れないよう、鞘に嵌める輪っか状の金具。責金物)というのは、スサノオがオロチを腹から尾の先へ斬り責めて剣を得た伝説に基づくものである。


・柄頭とは、オロチの頭を象ったものである。


(はばき)とは、刃を巻く、という意味である。


・柄とは、つかむ、という意味である。両手を揃えてつかむものである。


・栗形は勝栗である。勝つという言葉は武器には特に用いられるものである。


・折り返り(鞘が帯から抜け出ないように鞘につける()()。折金。返り角)のことを蛭形(ひるかた)というのは、ヒルが肌について離れない様子からの名前である。

 折り返りは、鞘がぐらつかないように堅めるために用いるものであり、この折り返りがあるからこそ、鞘より帯に引っ付いて離れないという意味である。


・太刀の柄頭に猿手という金具がある。猿の手が繋ぎあわされているように見えることから付けられた名前である。

 猿は柿や栗を持ったとき、その猿を打ち殺したとしても、柿や栗を手放さないことから、武士もまた、柄に手をかければ死んでも離さない意気込みを忘れるべきではない。


・下緒は万事様々なことに使えるものである。


・鐔は刀のバランスを整えるものであるが、身体を守る囲いになるものでもある。


・鯉口とは、鯉は水上へ昇ろうとするとき、水を一口呑み込んで、水の流れを割って進む。同様に、居合も敵に相対したときは、敵の気勢を呑み込んで、鞘より刀を抜き放ってかかるものであるから、これを鯉口というものである。


・また一説には、鯉は水中で泡を吹き出したり吸い込んだりするが、それは何らこだわりもなく自由に行われる様子から、太刀も自在に抜き差しせよという意味であるともいう。


・刀の大小のこじりをそれぞれ方形と円形にするのは、陰と陽とを合わせるためである。


・刀とは、昔の剣を片刃にしたものであるため、そのカタハという言葉が(なま)ってカタナと言われるようになった。

 また、草薙剣に寄せて名付けられたものであり、両刃の草薙(クサナギ)に対して片刃の片薙(カタナギ)とし、略してカタナとしたという説もある。


・目釘については、もともと目釘という名称はなく、目貫と取り違えたものだという話がある。

 昔は目釘のことは目貫と呼び、目釘の頭に金をかぶせ、家紋等を彫り込んだその上に柄糸を巻いたのである。

 このように刀身が柄から抜けないようにしていたため、昔は目釘と目貫は不可分のものであったが、後世になって柄から刀身を自由に抜き差しできるように、目釘と目貫を分けて使うようになった。

 昔の目貫は柄から刀身が抜けないようにしていたものであるが、今の目貫は手の内が締まるようにするために使っているものである。

 源平盛衰記にも、筒井の浄妙が敵の兜を撃ち割った際、刀が()()()()の根本から折れたと書かれている。


・目釘を二つ打つ、二つ目釘は悪く、一つだけ打つ一つ目釘が良いと林六太夫守政先生に本阿弥が教えていた。

 銑鉄をねじ切ったものを目釘にすることは大いに悪く、刀を打ち合わせた時に振動が伝わって、からりと抜けてしまう。これは鉄に鉄を組み合わせたためである。

 二つ目釘の場合は、(なかご)の先まで伝わった振動の力の逃げ道がなくなり、茎が割れてしまう。

 一つ目釘ではそのようなこともなく、茎の先は()()()()()()て力を逃すので茎が割れることはない。

 この手の起源説は鵜呑みにできないものですが、発想が面白いですね。

 目釘については茎の形状によるところも大きいでしょうし、真相が見極め難いところがあります。

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