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灯の兄

ども、まーまるです。最近、家族に書きすぎてるからやめなさいと言われました。



「そろそろ行くか。あぁ、灯と話すと時間があっという間に過ぎてくなぁ。俺、会計しとくから、準備できたら、外出てて。」


「あっ、うん。わかった。」


 えっと、知らぬ間にそんな時間がたったのかな?っていうか、今何時だ?

 えっ、さ、三時半?!もう一時間半もたってんの?!

 うそ・・えーー?!ホントに?!

 何度確認しても三時半だ・・・。

 二時に入店したと思ったら、もう三時半だ。一時間半も兄と話していたのか。めちゃくちゃあっという間だったぞ!

 スゲー。兄ちゃんと話すだけでここまで時間が短く感じられるのか、スゲー!!

 っていうか、やはり、今日の兄ちゃんはどこか変だ。絶対変だ。こういうのも悪いけどここまで兄ちゃんが凄いと感じたことは今まで記憶にない。

 家での兄ちゃんと俺はもっと互いの中に入ろうとはしないが、その周辺で接するみたいな関係だ。



 それがどうだ。今日の彼は別人だぞ!



 俺の事を細かく聞いてくるが行き過ぎない質問、彼のことも自分から話してくれる。自分が話し始めると、ウンウンと相づちをうち、しっかりと話を聞いてくれる。



 なんだ、この異世界空間てんごく!!

 なんだ、この理想型兄にいちゃん!!!



 俺も、二人でいると浮き上がっていきそうなくらいだ。いや、マジでここにいればわかるって!


「ゴメンナ、待たせちまって。おっ、なんか一段と暑くなってきたな。」


「ううん。そんな待ってないから大丈夫。」


 実際、一分いっぷんも待ってない。謝られてもこっちも困る。

 っていうか、本当にめちゃくちゃ熱くなってきたんだけど。こんな中、歩き回るの俺、ヤだな。


「暑くなってきたからな。近場にするか。」


「うん!!」


 俺のテレパシーが通じたのかな?いや、そんなことないか。多分、兄ちゃんも本当に暑い中歩くのが嫌だったんだろうな。


「灯。はぐれないようにな。」


「大丈夫だよ~。」


 いくら何でも、俺を見くびりすぎだ。俺を何歳だと思ってるんだ。もう、十三歳だぞ。俺はもう中学生だぞ。そんな、幼稚なことを、俺がするわけ・・・・

 

 って、あれ???兄ちゃん???

 ッへ??兄ちゃんはどこ???

 ねえ、兄ちゃん。どこだよ、兄ちゃん!兄ちゃん!!!



 体中が騒ぎ出した。体中が・・・。



「っふ。ふはははははははは。やっぱ、まだ子供だな、灯は。はっはははは。」


「えっっ。」

 

 えっ。なに。

 声が、声が聞こえた。

 急に、聞きなじみの声が聞こえた。

 その方を振り向いてみると・・・、先ほどまでの兄ちゃんが立っていた・・・。


「・・えっ、えっと、どこにいたの??別に、少し離れたところさ。俺が、迷子になるな。って言った後、めちゃくちゃどや顔で独り言ってたから、からかいたくなっちゃって、つい。」


「ついじゃないよ!めっちゃ、ドキドキしたんだからね!!」


 めっちゃ焦ったー。めちゃくちゃ焦った。

 大げさじゃなくて、本気で焦った。背筋が凍るくらいだ。

 


 よかった。

 


 って、あ、あれ、なんだ、これ。

 なぜだか、冷たいものが頬をぬらして落ちてきた。


「いや、ゴメンって、だからそう泣くなって。」


「な、泣いてなんかない!!」


「はははは!面白いな、灯は。」


「からかうなって!!!」


「はははははははは!!」


「もう~~~~!!!!」


 実際問題、俺はめちゃくちゃ泣きたかった。泣きじゃくっていたかった。

 いなくなった、どこかへ行ってしまったという恐怖から、一瞬で救われてような感触だった。怖く一人でおびえてたのに、瞬き一つしてみれば、もうここは平和だった。楽園だった。

 もう、この人はなんなんだろう。この兄はなんなのだろう。

 どんどん、不安と期待が同時に高まってきている。



 知りたい、兄ちゃんの事をもっと知りたい。



 もっと知って、そして、いつか・・・。





「どうだ、灯。楽しかったか。」


 俺と兄ちゃんは、電車に揺られながら、帰路についている。


「うん。すんごく楽しかった。」


 喫茶店を出て、俺たちは色々なことをした。例えば・・・


「そうか。それなら良かった。灯は何を買ったんだっけ?」


 近くにあった本屋に行った。例えば、近くの服屋に行った。買い物だけだとつまらないからと言って、近くの観光名所を巡った。疲れたからといって、近くの温泉にも行った。

 温泉は、俺の中でも一番今はまっているものだった。海に遊びに行った後の温泉。それはもう極楽だった。

 だけど、今日行くとは知らずに、ドッキリみたいな感じの温泉も新鮮で気持ちが良かった。


「えっとねー、漫画と小説を二冊ずつに服は・・・あとお寺で・・・、凄いでしょ。それで、兄ちゃんは?」


「俺のは、家帰ってから見せてあげるよ。」


「えー、なんでよーー。」


「秘密を残した方が、家での楽しみが増えるでしょ?」


「まあ、一理あるけどさー。」


 あぁ、帰りたくない。あぁ、終わらせたくない。

 もう、少しここにいたい。もう少しだけでもこの感覚を味わいたい。ああ、もう少しだけでも・・・・。

 これが、最初で最後の兄ちゃんとのお出かけになるかもしれない、もうこの楽しい空間は味わえない、と思うとキュウっと胸が締め付けられ痛くなる。



 あぁ、神様、どうか時間を止めてください。



「ところでさぁ、お腹、空いてない?」


「・・ふえ?・・・・・・う、うん。空いてる。」


 これはまさか・・・。まさかの・・・・・・・・。


「やっぱり、俺もなんだよねぇー。どうする。家帰る前に何か食べてく?」


「うん!!!」


 や、やったーーーー!!願いが届いた!!最後に思いが通じた!!よっしゃ!!!まだ、居れるぞ!!


「何が食べたい??」


「んーっと、ラーメンかな。」


「ラーメンか・・・。んじゃ、俺のおすすめのとこでいいか?」


「うん!!!」


 兄ちゃんとラーメンを食べるなんて、久しぶりだ!!それに外で!!!めっちゃ嬉しい!!!!


「ついでに、父さんの分も買ってくか。」


「そうだね!!」





 その後、俺たち二人は最寄り駅で降り、そこの近くのラーメン屋で夜ご飯を食べた。

 兄ちゃん曰く、トッピング、特にチャーシューが美味しいということなので、普通のではなく、チャーシュー麺を頼んだ。その味は、兄ちゃんの言葉どおり、めちゃくちゃうまかった。

 味はもちろんだが、俺にとっては、なんと言っても、店の雰囲気が良かったのだ。食券で買ってからではなく、全席カウンターで厨房の人と会話をしながら注文し、作っているところが間近に見られる。

 そして、内装だ。落ち着いた雰囲気も感じつつ、ラーメン屋のような、熱い感じも出している。照明と窓の位置も工夫されていることがわかった。

 

 いや、ラーメン屋のことはもういいだろう。そんなに長く話しても、何も始まらなそうだからな。

 ラーメン屋の後、俺たちは家へと向かった。途中でコンビニなども寄ったが、特別なことは起こらなかった。

 まぁ、そうだな。この日の一大イベントと言ったら、これからのことであろう。



 俺たちは、無事に家に着いた。




「たっだいま~~。」


「家に誰もいないよ?」


「いいんだよ。これが俺のスタイルだからな。」


「ふーん。別にいいけどさ。」


 そんなスタイル、初めて聞いたぞ。十三年も一緒にいて。

 っていうか、父さんは?どこ行ったのだろう。せっかくの持ち帰りラーメンが冷めちゃう。


「ねえ、今日、父さん遅いね。」


「確かにな。メールでも見てみるか。・・・おっ。」


「なんだって?」


「今日は、母さんのそばにいたいから、夜は俺たちだけだけどよろしく、だってさ。」


「なんで、今日に限って、母さんのそばなのさ。別に、反対してるわけじゃないけどさ。」


 父さんは、時々って言っても年に二、三回程度だけど、母さんと一緒に夜を過ごすために病院へ行くんだ。

 一緒にいたくてもいられない二人っていうのは、切ない、つらいどころではない、と思っているから、俺たち二人は、いつも父さんには苦労をかけないようにしている。


「父さんなりの事情があるんだろ。まぁ、俺にとっては好都合だからな。」


「っへ?なんで?」


「父さんいたら、灯に話づらいと思っててな。」


 なんだろう。こんな、真面目に話し合ったこともなければ、喧嘩もしたことがない。なのに、改まってどうしたのだろう。


「まぁ、父さん帰ってこないなら、焦んなくてもいいか。灯。話はあとでするから、まずお風呂入っておいで、沸かしてあるから。」


「えっ、うん。」


 うちの自慢と言っては何だが、結構最先端な家のつくりをしている。スマホで何でも電子機器を遠隔で操作することができ、ガス使わず、IHであり、電気は我が家で作れるため、サイクルができている。

 って、だめだだめだ。独り言が多すぎる。悪いのかいいのかわからないが、とにかく変な癖だ。独り言が多すぎる。

 家の自慢をしても仕方がない。早く入ってこなければ。


「いや、灯。やっぱ待て。やっぱ先に話をしよう。」


「えー。なんでよ。」


「こっちの気が変わったもんでな。」


「別にいいけどさ。」


「簡単な話からしようか。」


「うん。」


 なんだろう。別に、話し合うことなんてないと思うんだけど。

 風呂の時間も変更されたし・・・。そんな大事なことなのかな?


「今日は楽しかったか?」


「ほへっ。そんなこと。なんだよ、身構えて損したよ。」


 もっと深刻そうな話だと思ってたんだけど。無駄な気構えだったな。


「で今日の感想だっけ?それはもう、楽しいの一言だよ。」


「そうか。それはよかった。具体的にはどういうところが良かったんだ?」


「具体的にはねぇ。」


 具体的?

 具体的か・・・?

 あれっ、具体的て言われてもあんまりはっきり浮かんでこない・・・。いや、浮かんではいる。そりゃあ、観光とか温泉とか覚えてる。

 だけど、なんか大事なことを見落としているようなこの感覚。



 変だ。おかしい。



 なんで。なんで?

 あんなに楽しかったのに。あんなに心地よかったのに。


「・・・、んーっと、なんか、そこまで具体的って言われても、出てこないんだけど、いや、出てきてはいるよ。観光とかさ、温泉とかラーメンとか。だけど・・・」


「だけど、何か違和感がある、みたいな感じか?」


「えっっ。なんでわかったの?!」


 兄ちゃんコッワ!俺の考えがわかってんの?!怖すぎだろ!!


「まぁ、なんとなくだな。」


「なんとなくってどういうこと?!」


 それじゃあ理由になってなっくない?!


「その理由というものは、いったん置いておこう。いいか、今からは俺が語るのが多くなる。が、灯にとって、人生を変える話かもしれない。」


「・・・うん。」


「灯は今日、俺のことはどう思った。いや、めっちゃ気持ち悪いな。言い方を変えよう。今日の俺はいつもと何が違った?」


「っそ、そうだな。今日の兄ちゃんは、確実にいつもの兄ちゃんとは違ったと思う。何がどうこうとは説明できないけど。なんか、俺は滅茶苦茶快適だった。うーん、こんなんでいいのかな??」


「そうか、では、なぜ、灯は快適に感じられたんだ?」


「う、うーんん、そういわれても・・・。」


「ごめんな。別に意地悪してるわけじゃないんだ。」


 っと、言い終えると、なんか急に目つきを変えて真面目な雰囲気となった。


「灯。俺は今年で高三だ。もう来年には、ここにいないと思う。」


「えっっっ・・・。な、なんで。」


「俺は、海外の大学を受けようと思うんだ。」


「なんでよ!!なんで一度も話してくれなかったんだよ!!!俺だって、そっちに行くよ!!!」


「灯。ごめん。本当にごめん。こればっかりは俺が悪い。だが、話を最後まで聞いてほしい。お前には迷惑をかけるが、やはり父さんと母さんの近くには俺たち二人の片方が必要だと思うんだ。俺は、あっちでやりたいことを終えたら必ずこっちに帰ってくる。だから、その間はこっちにいてくれないか。」


「なっ、急にそんなこと言われても、俺はどうすればいいかわからないよ・・。」


「ごめん、灯。・・・その話はまた後でしような。今日はとりあえず先へ進むぞ。」


「う、うん。」


 俺の頭の中は、混乱でいっぱいだ。

 兄ちゃんが何を言っているのかが、わからない。

 俺が何を言われているのか、わからない。

 急に、いなくなるとか言われても・・・。何が起こっているのかが・・・。

 わからない。


「だから、俺は来年、この家にいない可能性がある。だから、ここで、俺から伝えられることは今のうちに伝えておきたいんだ。」


 兄ちゃんは俺の気持ちは、たぶんわかってくれているだろう。だって、今日の兄ちゃんは、俺にとてもやさしかった。それでも、話を先に進めているんだ。

 それほど、兄ちゃんが話したいことなのだろう。俺は、その兄ちゃんの気持ちに応えなければ。


「うん。いいよ。」


「俺は、昔からどちらかといえば暗いほうだったと思っている。子供のころから、外で遊ぶよりも家にいたほうが俺にとっては楽しかったし、過ごしやすかった。外でサッカーや鬼ごっこ、買い物とかをしているよりも、家で読書したり勉強したり、趣味をしたりしたほうが、充実した生活を送れている、と思っていたんだ。そのまま俺は、小中と進み、二、三年前、俺は高校に入学した。その時は、これまでと同じように過ごしていけば、楽しく一日が過ごせると思ったんだ。」


 うん。うん。俺もそう思う。兄ちゃんは、どちらかというと内気な性格だったし、その考えも俺はあっていると思っている。

 別に、普通のことを言っているんじゃないか?


「しかしだ。しかし、俺の目の前に、一つの大きな壁が立ちはだかったんだ。それは、高一の時の先生だ。名前は菅野昴すがのすばるといったな。あいつは、すごかった。すごかったし、ある意味恐ろしかった。でも、俺にとっては俺の人生を変えた、俺を作った偉大な人だ。」


 菅野か・・・、どこかで聞いたことあるような苗字だけど・・・ってああああ!!!あの先生だ!

 な、なにも関係ないといいな。っていうかないよね?!

 ッっは。俺は馬鹿か。いや、馬鹿だ。そんなことあるわけ無い!こんな大切な話の最中に何てこと考えているんだ!!しっかり話に集中しよう。


「あの先生は、なぜだか、生徒全員のことを見ていたんだ。見ていたというのは何か誤解を生ましそうだ。あの先生は、生徒を観察・・していたんだ。それは、ある人限定というわけではない。生徒全員・・・・だ。それがわかったのも最近なんだけどな。その頃の俺は、何か見られてるな~、みたいな感じにしか思わなかった。それもあのころまではな。俺は、ある出来事があったわけでもなければ、すごいきっかけがあったわけではない。小さなきっかけを一つひとつ集めて行って、だんだんとだんだんと大きくなった。一つ目の小さなきっかけが一番大きいかもしれない。九月くらいだからの二学期初旬のことだった。」


「その日も俺としては自分のいつも通りの生活をしようと思っていた。」





「おはよー。」


「よお。今日も眠そうだな。」


 俺が教室に入ると必ずといっていいほど、最初に俺に話しかけてくる。朝だけでなく、各休み時間もだ。

 別に人とコミュニケーションをするのは嫌ではないので、俺は毎日、こいつと話している。いや、こいつが一方的に話しかけてくる。


「オッハー、ヒカルン!」


 こいつは聞いてねえ。なぜか俺にまとわりついてくる、女子だ。一学期から、俺たちはよく話している。

 というか、・・・。


「だからその呼び名やめろって。」


「えー、なんで、いいじゃんいいじゃん、ピッタリだよ。」


「確かにな。」


「確かにじゃねえ!本人が嫌っつってんだよ。」


「おい、明石。」


 俺たちが、楽しく話していた所にある女性が入ってきた。この女性は菅野昴すがのすばる、俺たち一年五組の担任だ。

 この先生は、これまでの流れだけだと、異様な人だということだけわかった。異様というのは誤解を与えてしまうかもしれない。少し言い方を変えると、な人だ。

 変なところで抜けていたり、変な場面でいなくなったり、そっちの意味で変な人だ。だけど、そういう面が生徒には合っていたらしく、この学校では好評だ。

 なんだろうか、この先生が、俺に話しかけることは滅多になく、当番や日直のときくらいだ。

 変なことでもしたのだろうか。


「なんですか。」


「放課後、ちょっと数学準備室に来い。」


「わ、わかりました。」


 なぜ、数学準備室?となんで俺?という二つの疑問が同時に生まれた。言うまでもなく、菅野tは数学の先生なのだが、別に数学で悪い成績を取ったわけでもない。


 なんだろうか。


「へえ、なにかやらかしたのか?」


「珍しいわね。」


「なんだよ、明石もやっぱ怒られたりするのか。」


 周りの連中が好き勝手に言ってやがる。ちょっと言い過ぎではないのかと思う反面、なんでこんな人が集まってんの?と思っていた。


「おいおい、俺は何もしてないぜ。」


「ホントか~?」


「スバルンからの呼び出しなんて。お説教しかないじゃない。」


「確かに~~!」


 はぁ。どいつもこいつも、声が大きい。周りの人のことを考えた方がいいんじゃないかと思ってきた、いや、いつも思っているのだが、今日は一段と思えてきた。

 おい、なにやってんだよ。こいつら人の机に座ったり、椅子を動かしたりしてんじゃねえか。非常識にもほどがあるんじゃね。

 おいおい、大丈夫か、俺の周りはーーーー。




「やっときたわね。私の仕掛人ターゲット。」


「せ、先生。それ、意味、真逆な気が・・・。」


「あなた。今日、これから予定あるの?」


「ここで、無視するんですか。まあ、別にいいですけど。っというか、俺予定無いからいいですけど、その言葉は、呼び出すときに言うんじゃないですか。」


「ふっ、口答えが多いわね。予定がないなら、今日だけいいから、私に付き合いなさい。」


「・・・というと?」


「今夜は私の家に来なさい。」


「先生。冗談はやめてください。俺にはわかりますよ。」


 そう。俺にはわかる。俺は、陰キャの方だから暇なときは人間観察をしている。この先生は、大体嘘をつくときに眉をピクッと動かす。

 このように浅く広くみんなの情報をゲットしているのだ。これが、思ったよりも楽しいんだ。ついつい、みんなに対してやってしまう。

 別に変なことでは無いと思うぞ。暇な人はみんなやってんじゃないか?


「つくづくつまらない男ね。まったく。この後、私も帰るから、一緒に帰りましょ。車だから、ばれないと思うわ。」


「ゴメンナサイ。帰ります。」


 危機的状況だ。

 これは、嘘を言ってない!この人は嘘を発してない!本気だ!

 先生と一緒に帰るなど、言語道断!

 決してしてはいけないことだ! 

 俺は、ダメなことといいことはきっちりと分けておきたいタイプだ。

 ダメなものはダメなんだ。


「それでは、な!!何をする!うっ・・ううう・・・うぅ。」


 ドサッ。


「っふ、やっぱ、まだまだガキねぇ。」


・・・・・


書きやめるわけねえッつーの。

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