やっと、水希の登場だ!!
よろしくお願いします。
「おっし、じゃあ作戦会議するか。」
俺は、いや、俺たちは月曜の昼休みに集まっていた。集まっていた、といっても俺たちはいつも集まってるんだけどな。
まぁ、今日は特別に、俺が言いたいことがあってな。
「え~。なになに。」
「題して・・・
アカペラ部の結成を申請しようの巻ーーーー!!!」
「「「「・・・・・・・」」」」
「えっ、なんでみんな無言なの?」
俺は別に変なことを言った覚えはない。ただ、真実を言ったまでだ。・・・そ、そうだよね?!
「そんなの、ひとりでやってよ。」
「そうですよ。私たちただ、無駄な時間過ごしてただけじゃないですか。」
「ばっかじゃないの。」
「ぼっちがさみしい子犬さんみたーーーい。」
なんだよみんな。俺に対してひどくないか?って、おい。誰だ子犬とか言ったやつ。けっ、そういうこというのあいつしかいないだろうからな。
って、あれ、何か一人足りなくね。えっと、月にあやね、火花に・・あっ、
「なあ、月。瑞木知らないか?」
そうだ、瑞木だ。あいつと月は常に一緒にいる。
なのになんで、今日はいないんだ。
「ああ、瑞木なら・・・・」
「何?呼んだ?」
・・・・・おおぉぉぉぉぉぉぉぉおぉx-----------!!!!!!!!
なんて素晴らしい!!!なんだ、今日は誰かの誕生日か?????それともなんだ、今日は俺が頭おかしい日なのか?!?!?
【【お前はいつもおかしいだろ!】】・・・・・・・・・・
【おい、なんか俺たちの突っ込みが聞こえてないようだぞ。】【まっ、あれを見たらそうなるだろ。】・・・・・・・・
なっ、なぜ、瑞木、森瑞木は神々しい女神のような、私服姿で教室に入ってきたのだ!!!!!!!!
「なっ、なんで瑞木私服姿なの??」
と、月が瑞木が入ってきた瞬間に声を上げた。
が、
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁっぁあぁあーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
と、喚き散らかすクラス中の女子と
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「うおおおおおおおおぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
と、夥しい遠吠えをするクラス中の男子に消されてしまった。
俺も、三年前だったらそうなっていたのかもしれない。いや、マジでよく考えてみろよ。この、彩りが少ない質素な教室にいきなり、
〝白のワンピースを着た、学校を代表する美少女の一人がいきなり現れた〟
のだから。
「なんでって言われても・・・ねー。話せば長くなるんだけど」
周りの連中がうるさすぎて、マジで耳に入ってこねぇ。ちょっとは落ち着けよって言っても無駄か。しょうがないよな。だって、
メチャクチャ美しいんだから。
「なによ!言ってみなさいよ!」
なんで、こいつは喧嘩腰なんだ。何かあったのか。まあ、あったとしてもたいしたことないからな、こいつらは。よくあることだ。
「そのワンピース、ホントは私のものでしょ!!」
ほらな。そんなことだろうと思った。
「だって、勝手に服持ってっていいって言ったの月じゃない。」
「学校に着てくるなんて思わないでしょ!!」
「学校に着てくると困ることでもあるの?」
「大ありよ!!!」
「なによ、言ってみなさいよ。」
「・・・・っ、い、言えないわ。」
「ほらね、なんでこの子はこんなにやっかむのかしら。」
「っ、むぅーー!」
「何?不服かしら?」
「むうううぅぅぅぅぅーーーーーーー!!!!」
やっと、いったん収まったらしい。
まず、友達で服を貸し借りしているのがおかしいと感じているのは俺だけだろうか。それも高級そうな白のワンピースを。
こいつらの関係友達以上だろ・・・。
まあ、そんなことは、それだけ仲がいいと言うことで済ましてしまおう。
なんなんだこいつら、瑞木も瑞木だよ。別にそのままあしらえばいいのに、わざわざ月をあおるから面倒な方向に進むんだよ。
「おい瑞木、その辺にしとけ。こいつ泣き虫だからな。」
「へえーー、月ちゃんって泣き虫なの~?」
なぜだか、あやねもこの話題に乗ってきた。別に俺そんなこと望んでなかったのに・・・。ほどほどにしろよ。
「それも月らしさじゃないのか。」
おいおい、火花まで。あんまり言い過ぎるなよ。こいつのメンタル貧弱だからな。
「ガキみたいだな。」
・・・海の一言が余計なんだよな。マジで、バカなんだよな。
俺もあおったのは悪いけど、他の三人の軽いジャブも月に効いたらしく、下で小さくうずくまっている。
はあ、何やってんだよ、こいつ。
っドゴ!!!!ボキ!!!
「っぐ、ウグ。」
「ちょっといらついたから、いいサンドバックにしてもらったわ。ありがとう。」
おいっ。やり過ぎだろ!!聞こえたぞ!!なんだよ、「ボキ!!!」って!!あばらでも折ったんじゃねえか?!
って、やったの俺なんだけどナ。まあ、軽く絞めたくらいだから大丈夫だろ。
「それで、瑞木、なんで私服なの?」
「ああ、それはね、水希が理由なのよ。」
な、なるほど。ヤンか。
「「誰、その人??」」
「そうか、お前ら二人は知らないのか。ほら、一の三って、一つ空きの机があるだろ。」
「うん。」
「ああ。」
あやねと火花がそろって返事をした。返事の仕方も個性が出るようだ。・・・当たり前か。
「その持ち主が、水希ってわけ。」
「へえええ。」
「でも、なんで、その人が関係しているんだ?」
「それは、こいつらは・・・・」
「まって、灯。私が言うから。」
「お、おう。」
珍しいな。こいつが自分から話すなんて。
「私たちは、昔からの知り合いで、何かあることに二人で共有し合ってたのよ。それが、昨日、あの子事故に遭っちゃって、大けがをしたの。その手続きをしてたのよ。あの子家族いないから、私が勝手に家族名乗ってるわけ。」
「へーー、そんなことがあったのか。大変だったな。」
「おい、瑞木、嘘はヤメヨウ。」
「あら、私、別に嘘なんて・・・。」
「おいおい、また同じこと繰り返すのか?瑞木サンよ~。」
ったく。何考えてんだよこいつ。過去から学べよな。こいつらとは、これから過ごしていく仲なんだ、隠しきれる分けねえっつうの。
「っっつぅ。・・・・それもそうね。いいわ、あなたたち、誰にも言わないって約束できるかしら。」
やっぱ、俺か説明した方がいいんじゃねえか?!
「するする。私、約束破ったことないモン。」
ゴメン、大抵の人はそう言うんだあやね。
見る(?)からにこいつ怪しいぞ。
「ああ、もちろんだ。」
さっきから気になってたんだが、こいつ、ギャルの姿しときながら、さっきから言い切りの形が騎士みたいだ。
「はあ、久しぶりだわ、誰かに話すのなんて。・・・・。端的にいうわ。私とあの子は、
兄妹なの。」
「「へーーーーそうなんだーーーーーーーーー。」」
「「・・・・・・って、ってえええええええええええーえーーーーーえーえーーー!!!!!!」」
こいつら、気づくタイミングが一緒なのが面白いな。海は、なんでこいつらがこんなリアクションをするのが不思議みたいな顔をしている。
こいつはやはりバカだな。
「なんで、兄妹が一緒のクラスなの?」
「もしかして双子なのか?」
「いえ、そうじゃないわ。水希は、
一年、留年してるのよ。」
「「「・・・・・・・・・・」」」
「あ、あの、そう固まられるとこっちも困るんだけど。」
「・・・あ、っつ、そうなんだ。」
「なn、何か事情があるのだな。」
「へ、へーー。それで、なんで?」
ざ、どどどど、バコ。シュシュ、ドーーーン。
「う、ぐっ、ぐっへ・・・・・。」
今、目の前で起こったのが見えた者は少ないだろう。動体視力が優れている俺でさえ、目で追えなかったからな。
まあ、その点、いつのまに回復した月は簡単だっただろう。
「な、なあ、月。何が起こったんだ?」
「えっ、見えなかったの?あのねあのね、海が吹っ飛んでったの。」
「そこじゃなくて、何が起こったの??」
「あー、それはもうわかるでしょ。あの海が、デリカシーのないことを言っちゃったから、あやねと火花が一瞬のうちにコンボをかけて、そこから、あやねの足技ね。飛ぶ寸前に足を引っかけて、わざと重心をずらし、火花のフル力で爆裂パンチ、それで終わりと思いきや・・・・・。」
「もういいもういい、もうわかった。ありがとう月。よく見えたな。」
なぜそこまで、見えるのだ。いくら月とはいえ、流れまでも見えたとは。どこまで凄いのだ。
というか、その速度で技をかけられたあの二人のほうがおかしいと思うのは俺だけだろうか。
俺は、怒らせないようにしないとな。
「別にいいわよ。理由なんて、私は言うつもりだったのだけれど。」
瑞木はそう言うと思った。だって、俺らに対しても、そうだったもんな。
「そういう問題じゃないのよ。瑞木。」
「そうだ。礼儀というものだ。わかったか、海。」
「・・・ふぁ、ふぁい。」
「あ、あの、そろそろいいかしら。」
「あ、ごめんごめん。」
「話してくれるのならば、聞きたい。」
この二人の切り替え、異常じゃないか。そこまで早いと海が可愛そうになるぜ。
「あのね、これはあの子が十二歳のころの三月。・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
俺は、内容を知っているからぼーーーーっと聞いていた。
が、隣の二人が「う、うぐっ。そ、そんなことが。」「これは、予想以上だ・・・。」と泣いたり頭を抱えたりしていた。
俺も、初めてその話を聞いたときはそんな風になったからな。それが普通のリアクションだと思う。
簡単に言うと、単なると言っていいのかわからないが、事故だった。
あいつは、小学校の卒業式が終わると、すぐに遊びに行こうと帰ってすぐに家を飛び出した。その直後、あいつはある中学不良軍団に囲まれたんだ。
なぜ、囲まれたのかは、俺はよく知らない。(大体予想はつくけど・・・。)
目撃者によると、人数は一対十くらいだったようだ。
だが、あいつは、なぜだかそんな中でも中学生に挑もうとしたようだ。
なぜ、そうしたのかは俺は今でもわからない。あいつにも何か考えがあったのだろう。
結果は言うまでもないだろう。さすがに『年上相手+人数不利』で勝てるわけがないのだ。
そう、ここまでは、ただのリンチを受けているだけだったのだ。
だが、ここで不運を迎える。
喧嘩をしていたのはよくある空き地だったのだが、その空き地に大型のトラックが突っ込んできたのだ。見渡しがよかったので、中学生は気づいたとたんにすぐに避けた。
だが、あいつは、完璧には避けきれなかったのだ。いつものあいつならばよけられたはずだ。ケガを負ってなければ、あいつも無事だたはずだ。
中学生はあいつを見捨てて自分たちだけ避けたのだ。
自分の命が大切なのは誰にも変わりはないが、十人いたのなら、あいつ一人くらい助けられただろ!!と、今でも思ってしまう。その後、中学生が警察と救急車を呼び、事は終わった。
水希はというと、さすがに、前から大型のトラックが突っ込んできて軽傷なわけがない。すぐに緊急手術が始まり、ホントにギリギリで一命を取り留めた。
ここで、水希にある選択が迫られた。『麻痺している部分を切断して、社会復帰を早めにする』か、『リハビリを長く行い、正常な状態で社会復帰する』かだ。あいつはまだ小学生だ。こんなところで、焦っても意味がないと考えたあいつの両親は後者を選んだ。
あいつは意識が戻るまで一か月近くかかり、そのあと軽い手術やリハビリなどを数えきれないほどやっていたら、一年かかってしまったのだ。
本当ならもう二・三年かかってもおかしくはなかったくらいだったのに、あいつはわずか一年で元の状態になりやがったのだ。えげつない。
だから、、あいつは事故の一年後に俺らと一緒に中学の入学式を受けたのだ。
あっ、ごめ。全然簡単じゃなかったな・・・。まあ、いいか。
「それで、水希が今まで休んでたのは、長期検査ってのがあったらしくて、今日は私が家族として一緒に話を聞いてきたわけ。」
「ああーーーー。だから、ナースをイメージして白のワンピースってわけか。」
「それで、ヤンチャンはいつから来るの?」
「あ~!それ私も気になります。」
「えーーー。みんな俺のボケ無視かよ。」
「へっ、お前のボケなんざでレディーのハートはつかめねえよ。」
ピッキーーーーン。はい、怒りましたーーー!!!あいつをいつか始末しまーーーーす!
「あっ、それなら、問題ないわ。だって今日から来れるわよ。」
「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
・・・・・えええっ、急すぎない?!?!
「はい、じゃあ、皆席について。今日は転校生を紹介しま~~す。」
「おい、なめてんのか!!俺は転校生じゃねえって、何度言えばわかるんだよ!!!」
「はい、じゃあ、名前と一言。」
「おい!!スルーするな!!!・・・・ッチ。ダリぃーナ。へっ、俺の名は斎藤水希だ。これから、って灯じゃねえか!!!お前もここだったのか!!!」
「おう久しぶりだな!よろしくな。」
自己紹介中に俺に挨拶するのはちょっとよくわからないが、俺は久々にこいつと再会できた。あれ、なんか周囲がざわざわうるせーな。
まあ、それもそうだろ。だってこいつはゴリゴリのヤンキー姿なんだからな。
毎日投稿しようとした矢先、そんなの無理だと思い、三日もたってしまいました。
感想よろしくお願いします。