まさかのハプニング?!?!
すみません。今回は多めです。
これは、一昔前の帰り道のことだ。
「ねぇ、灯。高校でもアカペラやるの?」
「当たり前だろ!何でそんなこと聞くんだ?」
「ううん。いつか灯とやりたいな~、って思って。」
「よし。じゃあ、次会ったら一緒にやろうな。」
「うん!」
響きのいい声と、飾りのない百点満点の笑顔と共に、俺たちは、約束した。
「「「ともるーーーーーーーーー!!!!!!」」」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんn・・・・。」
やばい、やばい、やばい・・・・・・。
これは、あの入学式の寝坊よりやばいかもしれないぞ。なんだこの三人からの訳のわからん圧力は!なんで、これほどにも、人をおびえさせることができるのか。
みんな笑っているのに、誰一人目が笑っていない!いや、もう雰囲気というかオーラがやばさを増している。
何でこうなってんの?!?!
俺何も してないよ!
ん、くわーー、っと今日は何曜日だっけ?毎日がハチャメチャすぎて曜日感覚がなくなってきた。えーっっと金曜日か。色々あった入学式からもう三日が経っているな。早かったなこの三日間。
うん、一瞬のように過ぎていったものだ。
【それは、お前が年をとったからだな。】【いや、三日というものは誰にとっても一瞬だぞ。】【た、確かに。】【つまり、お前は当たり前のことを、めちゃくちゃ恥ずかしく言っているだけなんだ。】【な、なるほど。】・・・・なるほどじゃねーよ!!いや、でも正論過ぎて何も言い返せねー!!くっそーー!!
そっ、それよりも、・・・なんだこの身体の重さは!これもお前らの仕業か!
【ばかか。】【いや、こいつはホントにバカだた、確かに。】確かにじゃねーー!!おい、天使くらい俺の味方をしろよ!天使だろ!
【あぁぁーー、差別だーーーー。】【そうだそうだ。】・・・くっそ、こいつらに口論勝てる気がしねぇ。ちくしょうーー!!
俺がこいつらに話を振ったのが間違いだった。そうだ、オレが悪いんだ。
はぁ、朝から俺は何をしているんだ、こんなのをしてるから疲れるんだ。もう、やめよう。
【そうだそうだ。】【た・し・か・に♥】・・っぐぬぬ・・・・・。
ふー、よし、よく耐えたぞ、灯。さすが俺だ、いつもの俺なら言い返してたんだけど、よく返さなかった!オレの成長を感じる。エライぞ。
話がそれすぎて何話してか忘れちゃたじゃねえか。
何だっけ・・・。えっと・・・・・・・そうそう、オレの身体が重いということだ。そうだ、すっかり忘れてた。でも本当に何でだろう?思い出した途端に体が動かないほどになった。
昨日まではめちゃくちゃ軽かったのに、一日でこれほどにまで変わるのか。
昨日何かしたのだろうか・・・。いや、別に何もしていない。だけど、なぜだろう、何だろう、このヤな感じ。これはやばいぞ、俺の勘は大体当たるのだ。昔から、ホントによく当たる人だったのだ。
そんなこと考えてたら、本当に当たっちゃうかもしれないから、朝ご飯食べて早めに行こう。冷蔵庫に何かあったかなぁ。・・・ガチャ・・うわ・・やっべ、・・なんもねぇーーー。
うん、じゃ、とりあえずシャワーかな・・。
「はい、じゃあこれで説明終わりにするね。なんか質問がある人いる?」
すーすーす・・・。
「いないなら、これで授業も終わりね。ハイ、じゃ号令係も寝ているから解散ということで。神井さん明石君を放課後に職員室ね。」
「かしこまり~。」
・・・・・ガヤガヤ、ごそごそ・・・・ほえ?・・あ、あっやっべ、寝ちった。ふあ~ぁ。あの先生の声なんか寝やすいんだよ。オレは悪くない、・・・はず。
で、今何時?よかった、まだ一時間目だ。一時間目なら、まーどうせ、いつもみたいにあの先生のくだらない恋愛話でもしてたんだろ。ホントあの先生学活という時間を何と勘違いしてるかわからないが、いつも一人の語りで始まりそして長々と話し、終わってくんだ。まともに学活やったのなんて昨日の委員会や係を決めたときくらいだ。この前なんか・・・
と俺が言い訳と共に先生を愚痴っていたら
「おはよー、灯、今日もいい寝顔だったね!」
と、目覚めの人にはまぶしい太陽のような笑顔とそのままどこかへ逝ってしまう前に聞こえる声を携えた月が、ぴょこぴょことやってきた。今日はなぜだか雰囲気が違う・・・。
「おはよー、月。お前なんか今日雰囲気違うな。」
「えっ!!やっぱり灯にはわかるんだ!!今日は、髪型を少し変えてみたんだ~。結んでいる目を少し高めにしたんだよ!」
「へー、そうか、だからなんか違く見えたのか。」
「ね、ねっ、どう、なんか感想は?」
「うん。めっちゃアクティブに見えてに月に合ってると思う。」
「えへへ~~~。照れるな~~。」
「だ・か・ら・・・」
「「海、シャラーーーーップ!!」」
「俺、まだ一言も言ってないんだけど?!」
もう、こいつの登場の仕方は一パターンしかないいのか?
少しはコミュ力向上させろよな。
「海君、あなたねぇ、少しは学習しなさい。」
「そうです。もうちょっとは、綺麗な心を持って挨拶してください。」
瑞木と土屋さんのお出ましだ。
瑞木は相変わらずの、クールビューティーの女王みたいな圧倒的なオーラを出している。土屋さんもそれに負けないほどのロリパワー?を発揮しているようだ。
変なうめき声を上げながら海が目の前で四つん這いの姿になっているが、土屋さんが持ち前の技で海をK.O.にしてしまうのはもう慣れてしまったので、ほおっておくことにした。
「よっ、二人とも。」
「おはよう。灯」
「おはようです。明石さん。」
「ちょっ、みんな俺に対する反応ひどくね!?俺がかっこいいことを恨んでも仕方がないことなんだよ!?」
「くたばれ。」
「どっかいって。」
「うう~ん」
「もう吐きそうです!」
・・・海。お前メンタルやべーな。これは、もしやナルシストではなく、ドMなのでは・・・・。それがどうであれ、これは海の自虐としか言い様がない。
が、土屋さんが一番心に刺さる人なのに、さっきから一番刺さりそうな言葉を発している。うん。これは同情せざるを得ない。
「ところで、月。髪変えたのね。」
「そうなの。わかる?」
「かわいいですよ!!」
「やばっ、あやねちゃんに言われるとめっちゃ自信になるんだけど!!」
「はいはい、どうせ私は無感情ですよ。」
「瑞木、ゴメンって~。冗談だから~。そんなにすねないでよ~。」
「冗談だったんですか?!」
「もう、二人ともめんどくさ~い!!」
・・・この三人は海はもともといなかったように会話をしている。まじかよ、こいつら、鬼か・・・。やばいな、俺も一歩間違えたらあの立場になり得るのか・・・。
いや、一歩じゃまだ大丈夫か。
「あ、そうだ。灯、なんか後で職員室に来いって琴ちゃん言ってたよ。」
琴ちゃんって・・・、あの先生やっぱりなめられないようにするって無理だよなぁ。
「えー、マジかよ、また説教かよ。んで、今日、先生何話してたんだ?」
一応、大事な話かもしれないから内容は聞いとかなくては。
「何だっけ。瑞木覚えてる?」
・・・おい。忘れんの早くね。まあ、寝てた俺が言えたことじゃないんだけど・・・。
「あなた、そんなのも覚えてないの?ニワトリみたいね。えーっと、確か・・、部活動の説明だったわよ。」
なるほど、部活か。意外と重大な話のようだったな。
「それで、先生はなにを言ってたの?」
「んーっと、『・・・皆も知っているようにこの学校は、部活動に対しても力を入れています。だが、他の高校と違う点では、兼部・新設が自由ということだ。兼部は、各顧問の先生に許可を取るようにしてください。あと、新設には五人以上の部員が必要となります。各自それも頭に入れて、部活を選んでください。・・・』のような感じで言ってたわよ。」
「そうです。そんな感じです。瑞木ちゃんって、ものまねが上手ですね。」
「初めて言われてのだけれど・・・。でも私、モノマネなんて、あなたの方が上手い気しかしないわ。」
「ねえねえ、瑞木とあやねちゃんは何の部活にするの?」
「私は、まあ・・・・。」
モノマネの話はどうでもいいこととして、部活のことだ。とは言ってものの、俺が入る部活は元々決まっている。
それ以上に気になることを言っていた。
〝兼部・新設〟が許されるだと!!
そうなると、少し話が変わる。多分、俺のやりたいことは、部活動になかったはずだ。いや、普通の高校ではどこでもないだろう。
もう少し後でもいいと思っていたがここは、急いで人集めをして、すぐに申請したほうがいい。早くて悪いことはないからな。
部活として活動が許されるのならば、俺らの練習時間が増えるぞ!!よっしゃ!!!燃えてきたぞ。
「ねえ、やっぱり灯はハンドボールにするの?」
俺が一人、頭の中で盛り上がっていたことも知らず、月が首をちょこんとかしげながら俺に質問してきた。かわいらしさが異常だ。今すぐにでも倒れそうだ。
「ああ、まあな。この高校は、ハンドボールも強いってきくからな。そのために入学したと言っても過言ではないな。」
「灯さん、ってハンドボール得意なんですか?」
「何?知らないの?まぁ、マイナーだし当然か。灯はね、この県で無名だった中学校をたった一人と言ってもいいくらいで全国ベスト16にまで行かせた人よ。」
改めて他の人から言われるとめちゃくちゃ嬉しい。あの時はもう俺の無双ゲーだっったもんな。
「そうだったんですか?!スゴいです!!!それほど上手なんて!!」
ぐはははは。スゴいぞこれ。土屋さんから褒められるとスゴく気持ちがいい。天に上っていきそうな心地だ。
「そうよ。灯、あの時全国で優勝できるんじゃないかってぐらい強かったんだから。」
「えへへ~。何か照れるなぁ。」
「でも、それなら、色々な高校からオファーが来たんじゃないですか?ここより強いところもあったと思うんですけど・・・。」
うん。そうだ。確かにここは強いとは言っても去年の成績は県で準優勝。十分強豪校だが、全国優勝まではまだ遠い。
「俺はハンドボールに人生かけている分けでもねえし、それに下克上ってのがたまらないんだよ。」
これは、俺の本心だった。この日本という国は、サッカーやバスケのように○○リーグってのがないんだ。だから、ハンドボールだけで生きていくのは、不可能ってことだ。
それでも、全国ベスト16のプライドがあって、やめるなら他のやつをぶっ倒してからやめる、と決心したのだ。
「なんだよ、お前ら。みんな楽しそうにしやがって。俺も混ぜろよ。」
地面から不可解な声が聞こえてきた、まさか、モンスター?!んな訳がなく、ただ海が生き返ってきただけだ。
「「「いy・・。」」」
「おーーーっと!!まてまて、もう海を潰さないでくれ。今からみんなに大切な話をするから。」
これ以上海を、死んだままにすると、一向に次の話題に進めなくなってしまう。頼むから、海を人として接してやってくれ。
「何ですか。灯さん。急に大声出して。」
「そうだよ、灯、まさかこいつともうできて・・・」
「るかーーーーーー!!!!!ったく、月、バカなこと言ってんじゃねぇよ。」
「なに、灯、大切な話って?」
「うん。それはだな・・・。
アカペラ部を新しく作ろうと思う。」
「「・・・えーーーーー!!!!」」
「「へー、いいんじゃない。」」
俺が「実は女なんだ」と告白したときくらいの驚きを見せた土屋さんと海、そして、俺がこう言う、ということをわかっていたようなリアクションをした、月と瑞木。
・・・お前ら、わかりやすすぎるぞ。
「ななな、なんでそんなに、二人とも驚いてないの??」
「えっ、それは・・昔から音楽というか歌うのが好きだったのよ、灯は。」
「そうそう、私たちが友達になったきっかけもそうだったもんね。」
「で、ど、どうすんだよ灯?」
海は、まだ動揺を隠しきれないのか声を震わせたまま話している。
「どうするって何を??」
「いや、俺でもそんなことしないのに、一人でやる気かよ。」
「「「バカなの?!」」」
俺と月と瑞木のハーモニーが教室に響きわたった。それより・・・新しい発見だ!!海は、ナルシストということは知っていた。
だが、今のでわかった。こいつは〝バカだ〟。さっき、瑞木が大事なことを言ってたじゃないか。
「いいか、バカイ。新設には五人以上の部員が必要なんだ。さて、ここで問題、ここには何人の人がいるでしょうか?」
「おいてめぇ。バカイって言ったの取り消してもらえる?!」
「はーいはーい。」
「はい、月。」
「無視すんじゃねぇ!!」
「四十一人。」
「違いますよ、月さん。先生も合わせて四十二人です。」
こいつら・・・ド天然じゃねえか!!知ってたけど・・。いや、俺の質問が悪かったのか?!
そうだな、俺が悪いんだ。でも、このグループには、まともなやつが一人しかいないのは危機的状況だ。
「・・・・・瑞木・・・・頼む。」
「はいはい。つまり、ここにいる五人でやるってことね。」
「さすが瑞木だ。その通り!」
「はーー!!冗談じゃねえよ。俺もう部活決まってんだよ!」
「だ・か・ら、兼部オッケーだって言ったじゃん。」
「だからって・・・。俺、歌だけはそんなに上手くねぇし・・・。」
おっ。こいつの弱み、見つけたぜ。あっちからくれるとは、こいつは、バカなのか?
いや、そんなわけじゃねえか。ただ、本音だったんだろう。
が、俺もそこまで優しくはない、やられたならやり返すしかないしな。
「えっ、海って、顔マジでイケメンで、日本で一番って位にルックスがいいのに、歌がダメなのか~。へー、歌がね~。もったいねえなー。歌上手かったらもっと有名になれんのにな~。まあ、本人がやりたくないって言ってるならな。じゃあ、しゃぁねえな。他の人誘うわ。」
女子勢三人組が俺を雪のように真っ白い目で見つめている。これは、まさか俺の今の言葉に惚れて・・・。
「「「はぁ~~。」」」
おっおい、そんなに大きなため息つくなよ。俺も困っちまうだろ。でも、この方法がこいつには一番いいと思ったんだよ。少しは大目に見てくれ。
だから、その目を瑞木にされると、めっちゃ心に響くから、やめてくれよー!
「べ、別に俺はやりたくないんだけど!!と、灯がどうしても、って言うなら入ってあげてもいいけど・・。」
や、やめろーーー!!その、ツンデレテンプレ発言!!お前がやると、くそ気持ち悪いから~!!そういうのは、女子のかわいい子がやるっていうお約束なんだよーー!!
「なになに、あの海っていう男子。」「なんか、かわいいんだけど・・・。」「えっ、あの、かっこよさでかわいいとか・・・。もう神じゃん!!」・・・・なんでだーーーー!クラス中の男女問わず、生徒たちが、ガヤガヤと海のことでうるさくなっている。いや、普通はそこ引くところだろ!!俺に、こいつに勝てるものはないのかよ!
まてまて、忘れてた。たぶんこの女子三人組は、大丈夫だろう。俺のだちだからな。
「海、これからそっちのキャラでいなさい。」
「先ほどの、あなたよりましです。」
「そうね。これは、義務ね。」
・・おいおい、こいつらまでこいつの味方かよ。そりゃ-ね、さっきのキモシストよりはいいけど・・・ねぇ・・。こんな美男子が・・。
「俺別に、そんなこと考えてねぇし!俺にはかわいいよりカッコいい方がふさわしいからな。」
おい、やっぱこいつ何も考えてねぇな。そ・れ・も、ツンデレ発言なんだよ!
「さっきから、あんたたちピーチャラうるさいわね。あれのどこがいいのよ。・・・・あっ。」
向こうの方の一つのグループから、我が強そうな女子の声が聞こえてきた。いや、詳しく言うと、クラスにいた人全てがそちらを向くほどの音量だった。この女子グループは、それに気づいたらしく、なぜか固まっているが・・・よかったーー。俺にも味方がいたんだ。
【おい、灯。そこじゃねえって。】【あの人の高校生活終わっちまうぞ!】・・・やっべ、そうだな。やっぱ、なんだかんだ言ってこいつらは必要だ。
「だよなー、こいつのどこがいいのかさっぱりだよなー。瑞木たちがドウカシテル。」
「「なんですって~~~!!!」」
よし、思惑通り。天然コンビは乗ると思ったわ。あとは、こうなるだろうから、俺はここでこうして・・・。
って、何か、そのグループから一人立ったぞ。
あいつが発言者か。・・なるほど。
髪はロングでクルクルしていて、少しピンクがかっている。
顔立ちも非常に綺麗で少し化粧もしているらしい。
足はスラッと長い、というのもスカートが他の生徒よりも短いからそう見えるのかもしれない。
爪なんかも、色はついていないが、なんでかキラキラしている。
・・・・これは・・
・・〝ギャル〟か。
まさかのギャル系美少女か。俺人生で初ギャルかもしれねえ!それに、こんな、かわいい子!やっべ、テンション上がってきた。
「おい、灯。お前、いい加減にしろよ。」
・・・っへ?俺、今大切なこと考えてたのに!あれ、なんだか空気が・・・。
・・・まさかの、海のガチギレ???これは想定してなかった!やめてやめて、今は演技だから!!ゴメンって、あとでラーメンおごるから~~、って頭で考え目と心で伝えてたら、俺の思いが届いたのか海がスっと身を引いてくれた。
俺、スゴくね。俺も「目」が冴えてんのかも!!それに、海もさすがだ。こいつはバカだが、空気だけは読めるようだ。
「あなたも、なんだかんだ言って、この人のことかっこいいとか思ってるんじゃないの?」
瑞木が珍しくアホな質問を投げかけている。こいつがぼけるとは・・・あれ、何か変じゃね?
瑞木には〝目〟がある。特殊能力があるわけではないが、それでも普通の人よりは、発達しているらしい。
どう発達しているかはわからないが、こいつが今日に限って、そんな質問をするということは・・・。
「は、は、はあぁー!!!何言ってんの?!?!あ、あたしがそんなこと思ってるわけなくね?!
そ、そいつを、か、か、かかかっこいいなんて?!?!」
・・・。な、なぜだーーー!この世には、俺の敵しかいないのか!俺を裏切ったな貴様!!それに、よりによって、ギャル系の美少女だと思ったら、にわかギャルのツンデレじゃねえか!!!一瞬でも期待した俺がバカだったよ!
「ねえねえ、あなたもそんなこと考えてんの?」
「私たちは、たださっきよりはましと言っただけですから。いいとは言ってません」
「あなたは、タダのツンデレよ。」
偽ギャル美少女が固まってしまった。・・何かを考えているように見える。この子がしゃべりやすいように、この沈黙を解いてあげようか。
「君はあれだろ。ホントは海のことかっこいいと思ってたけど、恥ずかしくてつい逆のことを言っちゃったんだろ?」
「な、なっ、なぜ私が・・・・。」
と言い始めた瞬間、瑞木が人差し指を一本立て、それを彼女の口元に持ってきた。そして、小さく首を横に振り、クラスのみんなの方を見た。こいつなりに、俺の考えを解釈して、協力してくれているのだろう。
彼女もそれに気づいたらしく、ハッ、とした顔になり
「・・・ば、バカ。そんなこと素直にいえるわけないし。」
と一言言った瞬間、クラスのピリピリした空気感が薄れていった。彼女が、どう反応するか皆も気になっていたらしい。・・よし、これで一安心。こいつの高校生活が初めからのほうからオわることは避けられた。瑞木のおかげだぜ。やっぱ、こいつが・・
「やっぱ、俺のかっこよさには誰にも負けぬようだな。」
最後もで言わせろヤーーーー!!!!海の言葉は一つ一つがいらついてしょうがない!
「「「「ッチ!」」」」
女性陣四人の舌打ちが、美しい?ハーモニーを作り上げた。お前ら、もう、十分仲いいじゃねえか。これも海のおかげか?・・・ったく、海は何も学んでないらしいな。まぁ、放っておこー。
・・・・・あ、あれ???
「あれ?君って・・・もしかして・・あの時の?」
何だろう、この胸のざわめき。ドクドクしていて俺には耐えられない。なんだか、この子には既視感があるんだよ!以前から彼女の名前は知らないでいた。まあ、俺はもうみんなの顔と名前は一致しているが・・・。
「う、うん。明石。久しぶり・・・。」
「「「「「・・・・・え、・・・・・・え、えええええええーーーーーー!!!!!」」」」」
この場にいたこの子以外の人が驚きの悲鳴?をあげた。マジかマジかマジカマジカマジか・・・・!!あの火花が、ここに?!?!?!なんで、なんで、なんで?!?!どうして、どうして??ホントにあの子かよ!嘘じゃねえよな!!!!マジで夢じゃないよな!!!!なんで、俺今まで気づかなかったんだよ!!雰囲気変わったとはいえ・・・俺としたことがーーーー!!!気づいてたらもっと早く仲間になれたというのに・・・。
言い訳させてくれ。俺はあの時、あの子の名前を聞き忘れてしまったんだ。だから、この一週間気づくことができなかったのだ。
・・・・・ふ・・ふふ・・すげーすげーよ、すげーよ。だって、俺、あの、女の子と再開しちゃったんだから。
「ええ、ええーーっと、灯こちらの女の子は?」
俺が、驚きで固まっていると、急に月から質問が飛んできた。
「ちょっ、ちょっと待てよ。そ、そうなるのもわかるが、俺は今頭が追いついていないんだ。」
「早く教えなさいよ。灯」
「わかったから、瑞木、少し待ってて。・・・すーふーすーふー。よし。」
ええっっっと、名前は、自己紹介の時に言っていたなぁ。確か・・・。
「この女の子、小夜火花は俺の・・・。」
「「「「俺のーーーー????」」」」
「俺の・・・初恋の人だ。」
「「「・・・・・・・・・・」」」
「おい、ためといてそんなことか・・・ぐ、ぐ、ぐふぅ。」
「「「黙って・・・。」」」
「ひゅー、ひゅ、ひゅい。」
海は、今言ってはいけないことランキング、第三位くらいのことを普通に言ってしまったために、三人から一気にボコボコにされてしまった。
海、乙女心って難しいモンな。しっかり、こいつらで学ぶんだぞ。でも、さすがにここまでやられるとは・・・俺に対しても・・・。
「ねえ、それって本当????火花さん。」
「ええ、本当ね。確かに、灯は私にこ、こ、ここここ恋をしていたわ!!」
「「「ともる~~~~!!!!私、そんな話聞いてないんですけど!!!」」」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんn・・・・。」
やばい、やばい、やばい・・・・・・。
これは、あの入学式の寝坊よりやばいかもしれないぞ。なんだこの三人からの訳のわからん圧力は!なんで、これほどにも、人をおびえさせることができるのか。
みんな笑っているのに、誰一人目が笑っていない!いや、もう雰囲気というかオーラがやばさを増している。
何でこうなってんの?!?!
俺何も してないよ!
俺悪いことしてないのに、反射的に、謝った方がいいと脊髄からの指令がきたんだ。それに、刃向かおうとした結果・・。
「でも、話を・・・」
「「「うるさい。こっちの女に聞くから。」」」
もうだめだ・・・。俺の味方が誰一人いない。神様、どうか僕に新たなる助けを呼んでください。お願いします、お願いします、お願い・・・。
でも、ホントに変なことしてないから!!!
もう、部活のことなんて、後ででいいか・・・・・・・・・・・。
あれ、何か忘れてね?・・・あ、あ、ああああああーーーーーーー!!!!!職員室行くの忘れてたーーーー!!!!
えーっと、読んでいただきありがとうございます。
今回は「あやね」に続き「火花」を登場させてみました。
ぜひ、感想を!