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心のささくれ

心のささくれ~ダンスの時間とバスケットボール台~

作者: 山本大介

 こんなんがありました~。

 

 あれは小学校4年生の二学期だった。

 この学期に父の仕事の都合で転校してきた私は、初日早々、担当の先生に連れられて教室に入ると教壇付近でドリフばりにずっこけて、クラスの笑いをとった。

 おかげでクラスメイトとのコミュニケーションは上手くいったのだが、この学校には演奏会があり、途中参加の私は全く出来なかったので、苦痛でしかなかった。

 演奏曲目は「宇宙戦艦ヤマト」・・・山本なのにできない・・・ピアニカの鍵盤を息も吹かず、ただ押す。

 ただ押して時間を潰す、そんな毎日がしばらく続いた。


 新しい学校にはダンスの時間があった。

 二時間目終わりの休憩時間、校庭に裸足で生徒は飛び出し踊る。

 「ジンギスカン」(なんで、この曲なんだろう。今、YouTube動画で歌詞付きを観ると・・・)や「YMCA」が流れる中、思い思いのリズムで踊る。

 はじめは、ちょっとしたカルチャーショックを受けた私も次第に慣れてきて、にやがって(ふざけて)ノリノリに踊ったものだ。


 校庭の一角に子ども用の小さなバスケットボール台があった。

 ゆうても1m50㎝くらいはあっただろうか、普段は台のところにはコの字の金具を金槌で打ち込んで固定しているのだが、行事があって(記憶が定かでない)たまたまそこが外れていた。


 その日のダンスの時間、いつものように生徒たちは、校庭に飛び出す。

 私もバスケットボール台の下に陣取り、ノリノリで「ジンギスカン」を踊っていた。

 突如、周りから悲鳴があがった。

 ドンっ。

 そこからの記憶がない。


 私は軽い脳震盪から目覚める。

 頭が熱い・・・額がヒリヒリする・・・血がだらだら流れていた。

 気付いたら女の保健の先生からお姫様だっこされ、車に乗せられていた。

 病院へ直行。

 額を4針縫う怪我だった。

 怪我の痛みはさほどでもなかった・・・けど、妙な高揚感があったのを覚えている。

 明日の演奏会行かなくていいかも・・・と。

 そんな邪な心。


 学校関係者から家へ平謝りに来る。

 母が対応している。

 私は安静にということで、部屋で寝ていた。

 翌日の演奏会は休み。

 私はシメシメと喜んだ。


 後で話を聞くと、クラスメイトがバスケット台に乗ったことで、台が倒れて私の後頭部を直撃、地面で額を割ったそうだ。

 一歩間違えればと思うとゾッとする。


 翌日、頭に包帯を巻いた私は登校する。

 名誉の負傷とばかりに、ちょっぴり誇らしげに。

 クラスではバスケットボール台に乗ったクラスメイトが目を腫らしていた。

 私ははっとなる。

 先生は朝礼で軽くそのことに触れ、授業がはじまった。


 子ども心になんだか、チクッときた。


 周りが大変だったろうな。

 

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