表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/158

第96話 ブラックナイトとの攻防

 魔法陣から現れたのは……


「マルティエ、ナ…?」


 マリアが疑問系で確認するのも無理はない。

 姿は確かにマルティエナさんだ。しかし、その、雰囲気というか…目に光がないというか…マルティエナさんであってマルティエナさんじゃない、みたいな?


「マルティエナよね…?」


 少しづつマリアが近づく。

 するとマルティエナさんはマリアを見つめ、そして手のひらをマリアへと向けて…


「…っ!ダメ!」


 私は本能のままにマリアを守る結界を張る。すると、マルティエナさんが手を振った瞬間、その結界に大きく亀裂が入った。


「え?!」

「ママ!下がって!」


 おそらく不可視の攻撃。微量の魔力も感じた。

 ……しかも、あの男や地龍と同じ魔力。禍々しい、気持ち悪い魔力。


「マルティエナ…」


 マルティエナさんの目は虚ろだ。まるでなにも見えていない。

 またしてもマルティエナさんが手を振る。

 私は広範囲に結界を張る。先程より魔力を込めて。


 ビシィッ!!


 それでも結界に亀裂が走る。

 幸いと言っていいのか、魔力は感知できるから、攻撃の予測はできる。

 とはいえ、どうしたらいい?

 マルティエナさん本人であることは間違いない。だから、無闇に攻撃する訳にもいかない。


「うぅ…ワァァァ!!」


 マルティエナさんが叫び出す。それと同時に魔法陣からまたなにかが現れる。


「……っ!ブラックナイト!?」


 マリアが驚きの声をあげる。


 ブラックナイト。それはゴースト系の魔物。ただし、甲冑を身にまとっているため、魔法が効かない。物理しか効果がない。しかもナイトなので、剣まで持っている。魔法を切る事ができる剣。


「分が悪い…」


 確かにマリアとリーナには分が悪い。マリアは多少格闘術が使えるから身を守ることは出来るだろうけど…リーナは分からない。


「ガルマ!」


 ひとまずガルマを呼ぶ。


『どうした?』

「リーナやレビンさん達を守って」

『承知した』


 これで大丈夫なはずだ。ガルマは魔法を使うけど、爪や牙だって立派な武器だ。問題ない。


「オラァァ!!」


 ロビンが斬り掛かる。しかし、その攻撃は剣で防がれた。

 さらに1体1じゃない。複数のブラックナイトがいる。

 戦っているロビンの背後からもう一体のブラックナイトが襲いかかってきた。


「させないっ!」


 私はロビンの背後に回り込むと、ブラックナイトの攻撃を受け止めた。

 ガギンッと重い音が響く。


「っ!フィリア!」

「こっちは任せて!」


 身体強化を施し、剣を押し返す。


「あぁ。助かる。マリア達はマルティエナを頼む!」

「分かったわ!」


 さてと。どうやって倒そうか。

 ブラックナイトはその胴体の中心に魔石を持っている。なのでそれを破壊すればいい。だけど、そんな簡単にやらせてもらえるわけが無い。


「はぁあ!」


 慣れていない西洋剣で戦うのは、正直しんどい。

 とりあえず武器にゴースト系の弱点である聖属性を付与してみる。

 でも、大して効果はないみたいだ。


「くっ!強いな」


 ロビンが苦痛の声を出す。でも、その言葉はあっている。

 このブラックナイト達は、あの禍々しい魔力を纏っている。その結果通常のブラックナイトよりも強くなっている。

 ブラックナイトが振り下ろしてきた剣を横っ飛びで躱すと、その剣が地面に浅い亀裂を作る。

 それだけ強い。


「どうしようか、な!」


 考えながらヒットアンドアウェイを繰り返す。

 いくら攻撃しても効果は薄い。甲冑に傷を付けてもすぐに再生する。

 私が言えたもんじゃないけど、チートだよね。


 ブラックナイトは全部で4体。うち2体を私とロビンが。もう1体はドノバンさんが。そして残りの1体はガルマが。それぞれ戦っている。


 ドノバンさんはブラックナイトの攻撃を盾で受け止めると、そのまま押し倒してバトルアックスで襲いかかった。

 切断するというより、叩き切るに近いバトルアックスは、甲冑を大きくへこませた。でも、それだけだ。すぐにへこんだところは元通りになってしまう。


「厄介だなっ!」


 イラつきがちにドノバンさんが叫ぶ。同じ気持ちですよ。


 ガルマはブラックナイトの振るってきた剣を咥えて止めると、そのまま奪い取った。

 そして後ろ足で思いっきり蹴飛ばす。ガランゴロンと転がったのち、壁に衝突してバラバラになった。


 ……けど、そこで終わるような魔物じゃあない。

 すぐにそれぞれのパーツがひとりでに動き、元通りになる。剣は取られたままだけど。


『主!手強いぞ!』


 分かってるよそんなこと。

 私はガルマが奪い取った剣を回収しておく。また使われたら厄介だからね。


「さてと。じゃあ私もやりますか」


 剣を持っている右腕の甲冑の隙間を狙って剣で切る。というより、はじき飛ばした。

 左も同様にする。そして、無防備になった胸のところに剣を突き刺……せなかった。


「硬っ!」


 オリハルコンで出来た剣が刺さらなかった。いくら押し込んでも無理。その間に両腕が復活する。

 そしてまた剣を振るってきたので、躱す。


「どうやって倒そうか…」


 剣は刺さらない。

 どれだけ攻撃してもすぐに元通り。

 オマケに案外動きが早い。

 今は4体だから何とかいってるけど、増えないという保証もない。


「どうしたら…!」


 とりあえずブラックナイトが剣を振るってきたので、その剣を弾き飛ばして、回収する。

 すると攻撃手段は拳になる。

 弾き飛ばさないほうが楽だったかも。


「あ、いけた」


 でもとりあえず拳の攻撃は結界で防げたので、ひとまず安心。

 剣だったら結界ごと切られるからね。


 そして、このブラックナイト達でただひとつ、分かっていることがある。

 それは、このブラックナイト達が魔力でマルティエナさんと繋がっているということだ。

 正確には、マルティエナさんの()()()繋がっている。

 だから、マルティエナさんさえ何とか出来れば、勝機はあるはず。

 マリア達が頑張ってくれるのを期待して、私はそれまでブラックナイトの相手をしよう。







 ……でも、なるべくはやくね。












あれ?終わらなかった…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓↓↓他の執筆作品はこちら!↓↓↓

『異世界転移は定員オーバーらしいです』

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ