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第92話 マリアの戦術

「主〜。まだ?」


 痺れを切らしたのか、翡翠が声を掛けてきた。かなり集中してたからあんまり感じなかったけど、どうやらだいぶ時間が経ってしまっていたみたい。


「…よし。もう大丈夫」


 目を開けて体調を確認する。魔力もだいぶ回復した。瞑想をやめたことで減り始めたけど。


 ピコンッ!


 うん?なんか久しぶりに聞く音。ステータスを見てみる。


 名前:フィリア Lv.6


 種族:??#∀(現在:人間族)


 職業:女神の使徒


 称号:転生者 神を救いし者 女神の友達 女神の使徒 女神の血縁者 世界を救いし者 殺戮の天使 英雄の娘 ゴブリンキラー 無慈悲なる者 ゝΣ●エ₩☆



 HP:11600 魔力:85943/94400 防御:13100 魔法抵抗:14500 攻撃:15700 魔法攻撃:16400 速さ:18700


 スキル:Lv.10 全言語理解 気配隠蔽 気配察知 光学迷彩 魔力操作 魔力制御 弓術 射撃 空歩 全属性魔法 状態異常無効 刀術 受け流し 縮地

 Lv.8 挑発 直感

 Lv.5 手加減 思考加速 魔力急速回復 威圧 体術

 Lv.1 魔力消費軽減 瞑想



 祝福(ギフト):女神の加護 女神の目 女神の歌声 女神の使徒 無詠唱 魔法行使力大幅強化 武器の申し子 検索 世界地図(ワールドマップ) スナイパー 種族転化 アイテムボックス



 あー…うん。新しく取ったスキルは分かった。だけど…なんか文字化けがあるんだけど?


 ーき、気にしないでー


 え、なんで?そう言われると気になるんだけど。


 ー……時期が来たら話すー


 …そっか。分かった。とりあえず新しく手に入れたスキルを見てみよう。


 魔力消費軽減:魔法を行使する際の魔力消費を軽減する。


 これは有難いかも。ずっと魔力を消費し続けたことで習得したのかな。

 スキルの習得は反復練習が基本。まぁ例外もあるけど。

 それが次のスキル。


 瞑想:目を閉じ、心を無にすることで、魔力回復を促進する。


 うん。予想通り。もともと瞑想はそのためのものだって知ってたからね。やったのは今回が初めてだったけど。1回で取れちゃった。たまにこうやって1回で習得できることもある。ランダムでね。


「あーるーじ」

「あぁ、ごめんごめん」


 部屋を見回して、魔石の取りこぼしが無いか確認する。大丈夫そうだね。


「じゃあ進もうか。斥候よろしくね」

「うん!まかせて!」


 ドンッと胸を叩く。自信満々だね。

 私たちが来た方とは違う穴へと入っていく。マリア達は大丈夫だろうか…


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


 フィリアは心配だけど、あの子ならなんとかするはずという謎めいた確信があるのよね。まぁその通りだとは思うけど。とりあえずライトは使っておきましょう。


「フィリア、結界残したまま…」


 あのフィリアが私だけに結界を残すとは思えない。つまり、全員に結界が張られたままだということ。全く、また無茶を…


「遅延型とはいえ、それなりに消費するでしょうに…」


 結界には2つの種類がある。今張られている遅延型。そして、速攻型。

 遅延型は攻撃を受けた時に魔力を大きく消費する。一方速攻型は常に大きな魔力を消費する。

 単発的な防御力でいうなら、速攻型のほうが高い。なぜなら、遅延型は攻撃を受けてから魔力を消費するため、最初の攻撃を防ぎきれない可能性があるから。

 その分遅延型は常に展開することが容易。維持にも多少魔力は使うけど、常に速攻型を張っているより遥かにまし。




 ……ただ、容易とはいえ、6…いえ、フィリアの分を含めれば7つかしら。その数を同時に維持し続けるのは私でも難しい。正に"神のなせる業"ね…


「…あの子が、フィリアが抱え込まなければいいのだけれど」


 女神の使徒とはいえ、フィリアはまだ子供。ただでさえ英雄の娘ということを隠すことで、背負う重荷を少しでも軽くしたというのに…


「今度しっかりと話し合う必要があるわね」


 なんだかんだ色々あって、じっくり話し合えてないもの。

 フィリアは別に英雄の娘ということを公表してもいいと思っているとリーナから聞いた。確かにこのまま隠しておくには、フィリアの力は強大すぎる。今回のダンジョンで痛感したわ。しっかり話し合わないとね。

 ……ついでにアッシュのことも。はぁ。いまから憂鬱だわ…まぁ、元凶は私たちなのだから、その責任は取らないとね。


「…っ!これは…」


 気配を探ると、この先にかなりの魔物がいる事がわかった。それも…かなりの数。絶対に乱戦になる。近接は得意ではないのよね…


「うーん、一網打尽にするには…毒かしら」


 毒は魔法で創れない。でも、水魔法の応用らしいと聞いたことはある。だけれど……原理がよく分からなかったのよね。だから魔法で創ることは出来ない。

 ──まぁ幸い収納に毒はあるのよねぇ。


「…試しましょうか」


 収納から毒が入った瓶を取り出す。たった一滴が肌に触れただけでも、人を死に至らしめる猛毒。扱いには気をつけないと…まぁある程度毒には慣れているのだけれどね。ちょっとかつて色々と、ね…


「さてさて、どれくらいの効果があるかしらね」


 瓶の蓋を開けて、水魔法で毒を操る。毒も液体だから、意のままに操ることは難しくない。


「いきなさい…」


 瓶からまるで蛇のように毒液が出てくる。鮮やかな紫色。それが奥の暗闇へとのびる。

 ……そして、


 グワァァァァァァァ!!!


 耳を劈くほどの叫び声が響き渡る。その叫び声に反応して、フィリアの結界が揺れている。つまり、この鳴き声を聞けばダメージを受けるということ。中々に厄介な魔物がいるのね…


 グル、ワァ……


 しばらく叫び声が響き続け、そろそろ耳が痛くなってきたところで、弱々しい声が聞こえた。そして、その後はなにも聞こえなくなった。


「倒したかしら?」


 十分に警戒してすすむ。そして魔物達がいたと思われる部屋へとたどり着いた。

 そこは、一言で言うなら地獄絵図。相当もがき苦しんだのが分かる。自身の爪が首に刺さっている魔物がいたから。しかもオーガジェネラルにキングまでいた。何も考えず突っ込んでいたら危なかったわね。


「ふーん、倒せちゃったわね。これは戦術として視野に入れるべきかしら…」


 魔物の死体が折り重なる部屋の真ん中で、私はそんなことを考えていたのだった。















中々にマリア、えげついです。フィリアにも引けを取らないかも…?

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