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第87話 ボス戦パート2

 コンコンと結界を叩いたのは、なんとエルザだったらしい。実際に叩いたのは、魔法で浮かせたそこら辺の石らしいけど。


 ーとりあえず、男の子達には眠ってもらうねー


 そんなエルザの声が聞こえ、バタバタとロイさん達が倒れていった。もうちょっと穏便に…


 ー怪我はしてない。大丈夫ー


 いやそういう問題じゃないのよ?


 ーまぁまぁ。とにかくよろしくね、お姉ちゃんー


 待て待て待て!!何がよろしくだ!

 そんな私の心の中の叫びも虚しく、勝手に結界が解除された。

 ……そして、なにを頼んだのかを一瞬で理解した。


「はぁ…エルザも面倒事を…」


 結界が解除されたことで、地龍が顕になった。

 ……尻尾が再生していくところの、ね。


 確かにこれは、あの魔剣に取り込まれた男と同じかもしれない。それなら倒すことができるのは、恐らく私だけ。


 ーせいかーいー


 …ちょっとここに降りてこい。1発ぶん殴るから。


 ーえ!?ちょっとそれは…ま、まぁとりあえず、お姉ちゃんなら大丈夫だから!ー


 無責任!?


 ー神様のお墨付きだよ?ー


 いや、あんたが神様っていう実感が…


 ーひど!?ー


 じゃあ神様らしいことしなさい。


 ーもうしたんだけど…ー


 え?なにしたの?


 ーマリアに神託ー


「……は!?」


 ちょっと!神託ってどういうことよ!?なんかさっきからマリアに見られてるとは思ってたけど…


 ーそうそう。多分お姉ちゃんが使徒だって気付いたと思うよ。直接は言ってないけどー


 ……はぁ。まぁ言う手間が省けただけでも良しとするか。

 とにかく、マリアを含めて全員を1箇所にまとめて、そこに外が見えなくなる結界を張れる?ついでに眠らせて。


 ーもっちろん!今?ー


 今。


 ー了解!ー


 張り切ったエルザの声が聞こえたと思ったら、一瞬でマリア達が居なくなった。そして、部屋の隅に少し光る結界が現れた。


 ー出来たよ。じゃあよろしくね。今私はそこに行けないから…ー


「はいはい。分かりましたよ」


 後ろのロイさん達も居なくなっていたから、思う存分やれるね。


 部屋の中央の地龍を見据える。敵がいきなり居なくなったからなのか、地龍が喚き散らしていた。

 うわぁー…目が血走ってるよ。


「さて。じゃあ翡翠、よろしくね」

『任せて!』


 アイテムボックスから翡翠刀を取り出す。鞘から引き抜くと、青白い炎が刀身に纏わりついた。


「やっぱり同じか…」


 この青白い炎が出るってことは、あの魔剣男と同じだということだよね…さっきまでは確信が無かったけど、これを見たら確信できた。


「まずは…」


 一気に近付いて、まずは前足に切り込む。


 グワァァァァァァ!!


「おっと」


 あまり深くない傷だけど、青白い炎が触れたからなのか、かなり痛そうに叫んで暴れだした。


「これは迂闊には近付けないな…」


 とにかく隙を見つけては、切り込んでいこう。


 グワァァァァァァ!


 そんなことを考えて落ち着くのを待っていると、突然地龍が口をがぱっと開けて、そこに魔力が集まっていくのが分かった。

 まさかブレス!?


 グルワァァァ!!


 雄叫びと共に、眩い光が地龍の口から放たれた。


「魔刀術・一刀・両断!」


 魔刀術は刀に魔力を纏わせて使う武闘スキル。魔力があることが前提のスキル。

 その魔力を纏わせた刀を、上から下に真っ直ぐ振り下ろす。すると、そこからブレスが真っ二つに分かれ、私の両側を過ぎ去って行った。まだ試したことが無かったけど、上手くいって良かった…

 ブレスを切られた地龍は、ブレスを放った状態のまま、固まっていた。

 …つまり口をポカーンと開けてた。ちょっと笑える。


「じゃあ…刀術・一刀・我流・零式一戦(ぜろしきいっせん)


 これは体術と刀術の武闘スキルを合わせた、私オリジナルの武闘スキル。

 一気に零距離まで敵に近付き、1回だけ切り込む。その後すぐにもとの立ち位置へと戻る。つまり、一撃離脱戦法。ダメージは少ないけど、先手を打ったり、隙をつく、又は惑わせて、隙を作れる。


 グルワァ!?


 思った通り、惑わせることができたみたい。切ったのは口の中。かなり痛そう。


「さて。そろそろ…」


 空歩で空中へ1段、2段と飛び上がる。


「刀術・一刀・天翔空破断(てんしょうくうはだん)!」


 これは高い空中から一気に落ちながら刀を振るう武闘スキル。落下速度により、かなり威力が上がる。本来高く飛び上がるだけだから、そこまで威力は上がらないんだけど、今回は空歩でかなり高いところまで上がったので、威力はかなりのものになる。

 狙うのは…首。


「はぁぁぁあぁ!?」


 ちょっと調子に乗りすぎた…高い!思ったより高い!


「おりぁぁぁ!」


 もうこの際覚悟を決めてやる!


 グルワァ!?


 やっと混乱状態から回復した地龍が、私の姿を探しているみたい。


「上だァァァ!」


 もちろん地龍がそんなこと分かる訳もなく、私はそのまま落下していく。

 そして刀は、迷うことなく地龍の首へと向かっていった。


 ザシュッ!


 グル、ワァァ…


 見事、地龍の首は一刀両断。さすが神器。凄い切れ味だわ。しかも首の太さ刀よりあったんだけど…まぁそこは深く考えないほうがいい気がする。


 首を落とされたことで、流石の地龍も息絶えたらしい。あの男は首落としても生きてたのにねぇ。やっぱりあっちが特殊だったのね。


 ……で、私はというと、


「痛ったぁぁぁぁぁ!?」


 まさか切れてそのまま地面に衝突するとは思わず、顔面からダイブした。

 ……物理無効はこういう時に働いてはくれないらしい。


『主、大丈夫?』

「大丈夫…じゃないかも」


 鼻血まで出てた。絶対今顔ヤバいことになってるよ……


 ーうん、今のお姉ちゃんの顔ヤバいよ。ぷぷ…ー


 笑うな!!










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