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第84話 今後の課題

 男子生徒と共にダンジョンの5階層へ向かう。


 ……うん。気まずい。なんでかって言うと、後ろからひしひしと視線を感じるから。マリアじゃないよ?さっきの生徒だよ!

 あれからというもの、ずっとじーって見られてる。尊敬と……興味の視線。


「…イライラする」

「自業自得よ。八つ当たりなんてしないでよ?あの子達よりあなたのほうが強いんだから」

「さすがにしないって」


 そりゃ魔法をぶっぱなしてスッキリしたいけど、流石に彼らに向かってやるつもりはない。


「そーいや、お前ら何年だ?」


 唐突にレビンさんが喋りかけた。確かにそれは気になる。


「2年です」


 簡潔にそう答えた。私は1年だから、先輩にあたるんだね。


「そうか。じゃあフィリアのひとつ先輩か」

「…え?!」


 レビンさん…ちょっとは気遣いってものをさぁ!?

 さらにじーって見られる。あー!もう!


「フィリア!抑えて抑えて。魔力が漏れてる」


 おっと。あまりのイライラにすこし魔力を漏らしてしまった。

 濃度が高い魔力を空気中に流すことは、威圧みたいな効果を与えるの。実際男子の顔色が悪くなっちゃった。


「すいませんでした」


 元はと言えばこの男子が原因ではあるけど、さすがに罪悪感があったので、頭を下げて謝る。


「あ、あぁ…大丈夫。だけど…凄いね」


 恐らくさっきので私の魔力量がどれほどのものか、大体分かったんだろうね。


「当然だ!なんたって…」


 ストーーーップ!!


「はぁ…」

「フィリア、ナイスよ」


 危うくロビンが口走るところだったので、私はその前に、ロビンの周りを一瞬で防音の結界で覆った。傍から見たら、口パクしてるようにしか見えない。これで彼らに読唇術(どくしんじゅつ)があればヤバいけど、どうやら分かって無さそうなので、問題なさそう。

 本当は張り倒したかったけど……流石に六大英雄を張り倒すところを見られるのはまずそうだからやめた。


「フィリア、入れて?」

「はーい」


 防音に特化した結界とはいえ、一応誰も入れない結界の役割も兼ねている。なので、他の人が外から入るには、術者、今回なら私だね。その人が結界に穴を開ける必要があるのよ。

 なので私は結界に穴開けて、言われた通りにマリアを中に入れる。ついでに外から見えないようにして…


「フィ、フィリアちゃん。マリアを中に入れないほうがよかったんじゃ…」

「だってマ…リアに言われたんだもん。断れないでしょ?」

「……後で大変よ」


 それは…うん。ロビンの自業自得だ。ご愁傷さまです。


 しばらくして、コンコンと中から結界を叩く音がしたので、結界を解除した。

 ……そして、どこかスッキリしたような様子のマリアと、目が死んでいるロビンが顕になった。な、なにしたの?!


「はぁ…まぁこれはロビンも悪いしね」


 ていうかロビンだけ悪い。もうちょっと口が固くなって欲しい。


「さぁ、行きましょうか」

「は、はーい」


 念の為ロビンに回復魔法をかけておいた。すると目に光が戻った。


「あぁ、フィリア…ありがとう。そして…すまなかったな」

「大丈夫。未遂だから。それより行くよ」


 ロビンを起こして、攻略を再開する。


「あ、あの…ちょっといい?」

「へ?私?」


 突然後ろから尋ねてきた男子に、自分を指さして聞き返す。すると、うんうんと頷かれた。なんだろ?


「君はホントにこの学園の1年なの?」


 あ、その質問ね。


「そうですよ?」

「中等部の?」

「いえ、高等部です」


 そう言うと、目を見開いて驚かれた。あれ?さっきレビンさんが私のひとつ先輩だなって言ってたよね?


「その…すまなかった。ちょっと身長が…」


 ………ぶん殴っていい?


「フィリア!殺気抑えて!」


 は!またやっちゃった。男子たちは気絶寸前。あわわ!


「ご、ごめんなさい!!」


 魔力を漏らすのとは訳が違う。殺気のほうが強力なのよ。それだけで人を殺すことが出来るくらいに、ね。


「だ、いじょ、ぶ…」


 その言葉を残してバタンっと気絶してしまった。やっちゃった……


「はぁ……ちょっとはフィリアも感情の制御くらいしなさい。私でもキツかったんだから」

「うぇ?!ママでも?!」


 それは驚きなんだけど!?…魔力なり殺気なりを当てる対象は、制御出来るようにならないといけないかも…


「そうよ。力あるものはその力を制御できないといけないわよ?」

「はい……」


 それは今後の課題。最近感情が少し揺れ動いただけで、魔力とかが漏れてしまっている気がするし。


「とにかく起こして行かないと」

「あ、私が起こすよ」


 かつてベルとキャサリンにやった方法で…


 パチッ!!


「「「ぎゃあ!」」」


 静電気優秀だわ。


「全く…もうちょっと穏便に起こしないさいよ」

「まぁダメージは無いし?大丈夫だよ」


 それに揺すっても起きそうになかったからね。1番効率的な方法だと思う。


「じゃあ降りるか」


 ドノバンさんを先頭に、階段を降りていく。このダンジョンの階層を繋いでいるのは階段なんだけど、他のダンジョンはスロープだったり、ハシゴだったり、様々なんだって。


 階段を降りていくと、デカい扉にぶち当たった。


「これの先にゲートキーパーがいるのよ。5階層はこの部屋しかないわ」


 ほぇー。ゲートキーパー用の階層なんだ。


「じゃあ開けるぞ」


 そう言ってドノバンさんが扉に触れる。すると扉はひとりでにその巨体を動かし、私たちをその奥の暗闇へと(いざな)った。さぁ、ボス戦だ!!









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