第73話 オ・ハ・ナ・シ
遅れてすいません…
これから2〜3週間ほど予定がありまして、更新が不定期になる可能性があります。
その間に他の作品を読んでいただけると嬉しいです。
「ふわぁー…」
今日は学園を休んでいいって言われたから、ついつい寝すぎた。
コンコン
扉からノックする音が聞こえた。
「フィリアちゃん?起きてる?」
そして、扉の向こうから、リーナの声が私の耳に届いた。
………そうだった。今からオ・ハ・ナ・シがあるんだった…
私はモゾモゾとベットから起き上がると、ゆっくりと扉へと向かった。
「…起きてるよ」
そう言いながら、私は扉を開ける。扉の前にはリーナが待っていた。
「起きてたのね。朝ごはん…もうお昼だけど、食べる?」
「うん」
「じゃあ着替えてきて?いつもの部屋にいるから」
そう言ってリーナは下へ降りていった。
「はぁ…」
パタンと扉を閉めて、溜息をひとつつく。
「とりあえず、着替えちゃおう…」
普段着にパッパと着替えると、部屋を出て下へ降りる。そして食事室へと向かった。
「おはよう」
「…おはよう」
部屋ではいつもの席でリーナが待っていた。
「じゃあ食べちゃいましょうか」
時刻的にはお昼過ぎ。そんなに寝てたんだ…だとすると、この食事はブランチに当たるのかな?
「どうぞごゆっくり」
いつものように、セバスチャンさんが用意してくれた。スープにサラダ。パンにステーキ…またステーキ。まぁ美味しいんだけどね?さすがに飽きてきた…これはそろそろ日本食をお披露目するべきかな?本来は卒業したらの予定だったんだけどね…まぁそれは後で考えとこ。
「そう言えば、リーナは学園休んで良かったの?」
忘れがちだが、リーナは私の担任だ。先生がそう簡単に休んでいいのかな?
「大丈夫よ。国から許可を貰ってるわ」
く、国から…
「な、なんで国から?」
「森の破壊原因を調査するためよ。そのためなら何時でも休んでいいっていう許可ね」
そ、そうなんだ………うん?それって私が犯人だってバレてない?
そんな思いでリーナを見ると、ニッコリと笑って見つめられていた。
じー…
「…てへ?」
「そんな顔してもだめよ。後でみっちりと聞くからね?」
うっ!勘弁してぇ…
いつもの倍ほどの時間を掛けて、食事を食べ終わった。
「じゃあ話は私の部屋で聞くわ」
「は、はーい」
とぼとぼとリーナの後をついて行き、リーナの部屋へと向かった。
「さぁ、入って」
リーナが扉を開けて招き入れる。
「そこのソファに座って」
言われた通り、ソファに座る。おお、柔らかい。
リーナは机の上にあったものを整理して、どこからともなく紅茶を用意した。
「よし。じゃあ話して貰えるかしら?」
リーナは羽根ペンを片手に、私に詰め寄った。
「わ、分かったって。でも、何を話すの?」
「あの森を破壊したのって、フィリアちゃんよね?」
あ、もう確定なんだ…
「…うん」
「なんで壊しちゃったの?まさか、あのローブのやつらと戦ったとか?」
「それは違うよ」
「じゃあなんで?」
…これって神獣が原因って言っていいの?
ー大丈夫だよ。でも、私の使徒だってことは黙ってて欲しいなー
なんで?
ーちょっと色々とあるのー
ふーん…まぁいっか。
「あのね…驚かないでくれる?」
「そんなの今更じゃない」
そ、そうなんだ。
「…神獣の怪我を治したから」
「…は?」
うん、情報が少なかったね。
「神獣が怪我してたんだけど…治そうとしたら戦うことになったの」
「そ、そうなの…」
驚きながらも、その事を紙に書いていくリーナ。さすがです。
「そういうことなんだけど…なんで紙にまとめてるの?」
「あ、ああこれ?国に報告するためよ」
「なんで報告するの?」
「森があそこまで破壊されたのよ?何か凶暴な魔物が住み着いたとかの憶測があってね。その真意を伝えるためよ」
なんかとんでもなく迷惑を掛けていたらしい…確かに、辺り一面焦土と化したからね…
「…ごめんなさい」
「いいのよ。いや、良くはないけど。好きでやったんじゃないんでしょ?」
「うん」
当然だ。私はそんなことする気はなかった。原因は神獣の性格だ。
「で?その神獣は?」
「あ、そのことなんだけど…」
神獣は、神獣自身が強さを認めた者に付き添うと言われている。
…………つまり、
「私、契約しちゃった」
そういうことです。
「は!?え?神獣と契約したの?」
「うん。呼ぶ?」
一般的に、契約した魔物または神獣とは、常に繋がっている。名前を付けることで契約が成立し、その名前を呼ぶことで、どこにいても呼び出すことができる。
ちなみに神獣と魔物は、全く違う生き物だ。魔物は魔石を持つが、神獣は魔石を持たない。簡単に言えば、神獣は地球の生き物とほぼ変わらない。違いを挙げるならば、言葉を喋れたり、魔法を使えたりすることかな。
「…いや、後ででいいわ」
「そう?」
うーん…ま、それならいいや。
「はぁ…もうなんだか疲れたわ…そろそろベルちゃんが帰ってくる時間だし…今日はここまでね」
今日は、なのね…まぁいいや。
「もうそんな時間?」
「ええ。とはいえ、今日も学園のダンジョンに潜っているはずだから、帰ってくるのはもう少し後かしらね」
「そうなんだ」
「それじゃあ先に食事室で待っていましょうか」
「はーい」
私はリーナと一緒に食事室へと向かい、そこでベルが帰ってくるのを待った。
…………………だが、何時まで経っても、ベルが帰ってくることはなかった。