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第64話 久しぶりの授業

 1人でお風呂に入っていると、ベルが入ってきた。いつもは私の後で入るんだけど…


「どうしたの?」


 まぁなにが目的かは何となく分かるけどね。


「…今日のことで、ちょっと…」

「…とりあえず、入ろ?」


 さすがに自分だけ浴槽に浸かったままで話を聞くわけにはいかないからね。ベルはお風呂に入ると、ゆっくりと話し出した。


「…ねえ、フィリアちゃん…」

「なぁに?」

「…私、あの時どうするのが良かったのかな…」


 それはつまり、シリルが怪我しないためにはどうすべきだったか、ということかな。


「…ベルはどう思うの?」


 これは自分で考えないといけないこと。私が無闇に答えを出していい問題ではない。


「…分からない。でも…シリル君を止めたほうが良かったのかな…」


 私は何も答えない。


「それとも…シリル君が怪我しないようにサポートすれば良かったのかな…」


 私は何も言わない。その代わり、ベルの背後に静かに近づいて、後ろから優しく抱きしめた。


「…ベルはどれが正解だと思う?」

「…どれも…でも、出来なかった」

「そうだね。でも、そう考えることが出来るようになっただけでもいいんだよ。1回真剣に見つめ直すことが大切なんだから」

「…うん。ありがと、フィリアちゃん」

「私も反省するとこはあったしね。お互い様だよ」


 私が反省しなければならないこと、それは周りを頼ること。なんでも1人でやってしまっていたからこそ、今回の問題に直面した。だから2人の問題は私が作ってしまったとも言える訳だ。


「今回、思ったこと、感じたこと、それをどうするのかで、ベルは変わっていけるよ」

「…できるかな?」

「それはベル次第だよ。後悔するのは自分自身なんだからね」

「…うん。そうだね。分かった!やってみる!」


 そう言ってベルはいつもの笑顔を浮かべた。やっぱりベルはそうでなくちゃね。


「のぼせちゃうから、私は上がるね」


 私はベルより先にお風呂を出た。あとはシリルだけど…ベルがいい感じのストッパーになってくれると思う。

 …恋仲っぽいし。


「…そういえばベルは卒業したらどうするんだろ?」


 村に帰るのかな?まぁ私も一旦村に帰るけどね。その後この世界を見て回りたいって思ってる。一人旅もそれはそれでいいけど、やっぱり誰かと行きたいなぁ…あ、シリルは却下。


 そんなことを考えながら、私はベッドに潜り込むと、意識を手放した。


 ーーーーーーー


「ふわぁー…」


 ベットから体を起こし、大きく伸びをした。今日は久しぶりの学園だ。


 テキパキと制服に着替え、下に降りる。いつもの部屋には、もう既にリーナとベルがいた。いつもは遅いのに…


「おはよ」

「おはよ!」

「おはよう」


 2人と朝の挨拶を交し、席に座る。すると直ぐにセバスチャンさんが朝食を用意してくれた。


「ありがとうございます」

「いえ、ごゆっくりお召し上がりください」


 と言われたが、正直そんなにゆっくりできないので、ちゃっちゃと食べる。


「今日は久しぶりの学園だけど、居眠りとかしちゃだめだからね?」

「はーい」


 朝食を食べ終わり、カバン(中身はカラ)を持って、屋敷を後にした。そしていつもの乗り合い馬車に乗り、学園へ。



「おえぇぇーー…」

「また…フィリアちゃん、大丈夫?」


 前よりかはマシになってるけど…それでも酔う。なんでだろうね?


 ある程度回復したら教室へ。教室に入るともうキャサリンが座っていた。キャサリンと会うのは3日ぶりだね。


「おはよー」

「おはよ!」

「おはようですわ!」


 いつもの席に座って授業を待つ。


「そういえばキャサリンは3日間なにしてたの?」

「わたくしは領地に行っておりましたわ」


 領地?


「領地なんてあったの?」

「公爵家ですから。とはいえそこまで大きい領地ではないのですけど」


 いやいや、領地を持ってる時点で凄いから?!


「はーい、みんな席に着いてー」


 キャサリンと話しているとリーナが来たようだ。


「さて、今日は校外学習の内容についてまとめてもらうわよ」


 あー、なんか前世でもそんなんあったな。


「ギルディア魔国で見たものとか、興味をもったものとか、なんでもいいわ。それを今から配る紙にまとめてね」


 そう言って配ったのはA4ほどの紙。これにまとめるらしい。


「まとめ方は自由よ。ただ、書いたものは貼り出されるから、しっかり書くのよ」

「「「えぇー!?」」」


 貼り出されるのかぁー…紙にまとめるのって苦手なんだよなぁ…


「キャサリンはなに書くの?」

「そうですわね…やはり体験授業のことでしょうか?」


 うーん…確かにポーション作りは楽しかったし、やってみたいっていう思いもあるんだよね。


「ベルは?」

「私はいっぷく亭!」


 …まぁいいのかな?今のところあそこでしか食べれない訳だし。


「フィリアさんはどうするのです?」

「うーん…」


 なんかあのローブ男たちの印象が強すぎるんだよね。


「…私は学園の造りの違いにしようかな?」


 アルバート学園とシュラーク学園の校舎の造りはかなり違うからね。


「なるほど。確かにこの学園とはちがいましたわね」


 ということで、そのことについてまとめる。どうまとめようかな?


「うーん…まず校舎の色とか建材の違いでしょ?あと広さとか…」


 あー…航空写真が欲しい。それ張っつけたらすぐ終わるのに…


「言葉だけじゃ伝わりにくいよね…絵心皆無なんだけどなぁ…」


 まぁ上からの見取り図みたいなのだったら大丈夫かな?

 紙の下のほうになんとなくそれっぽいのを描く。


「フィリアさん?それ、なんですの?」

「これ?学園の見取り図みたいなの」

「凄いですわね…」


 そうかな?ただ四角とか丸とか描いただけなんだけど…


「はい!もう時間よ!」


 え、もう!?時間が経つのは早いね…


「フィリアさんはほとんど完成してますわね」

「うん…ちょっと物足りない感じがするけど、これでいいかな?」

「もうそれで十分だと思いますわ」


 キャサリンがそう言うならいいのかな?とりあえず提出する。


「おー!なかなか上手くまとめてるわね」


 カトリーナ先生からのお墨付きも貰えたから良かったのかな。


「今日はここまでよ。明日から通常授業だからねー」


 わーい!午前中で終わった!じゃあ帰ろっかな?


「フィリアさん、あの約束覚えてるよね?」


 うん?ミシャちゃんと約束…あ!


「も、もちろん!」

「じゃあこの後、闘技場に来て。先生に許可は取ってるから」


 むっちゃ用意周到!?なに、逃げ場なし?!


「わ、分かった…」


 そう答えると、満足そうな表情をしてミシャちゃんは去っていった。


「フィリアさん、頑張ってくださいまし!」

「フィリアちゃん!頑張って!」

「う、うん…」


 2人からそう言われちゃうとなぁ…


 私は荷物ないけどを持って、闘技場に向かった。












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