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第57話 その頃のベル

「ふわぁー…」


 うーん…まだ眠い。学園は休みだけど、こういう休みの時でもちゃんと起きないといけないとお父さんから言われてるから、ちゃんと起きないと…


「…よいしょっと」


 ベットから起きて顔を洗う。着替えは…今日は依頼を受けたいから、動きやすい服にしよっと。


 下に降りて、いつもご飯を食べる部屋にいくと、セバスチャンさんしかいなかった。


「おはようございます、ベル様」

「おはようございます。あの…フィリアちゃんやカトリーナ様は…」

「フィリア様とカトリーナ様はもう既にお出かけになられました」


 お出かけ?


「どこに行ったんですか?」

「フィリア様の精密検査のために学園に向かうと聞いています」


 あ、そう言えばそんなことを言ってた気がする。


「いつ帰ってくるか分かりますか?」

「日暮れまでには帰ってくると聞いています」


 日暮れかぁ…じゃあフィリアちゃんとは今日一緒にいけないかな。


「朝食にいたしますか?」

「あ、お願いします。あとお昼ご飯を2人分お願いできますか?」

「はい、もちろんでございます」


 セバスチャンさんが朝ごはんの用意をしてくれて、食べている間にお昼ご飯のサンドイッチの用意もしてくれた。私はフィリアちゃんみたいに収納魔法が使えないから、リュックに入れられるように蓋付きのバスケットに入れもらった。


「ありがとうございます!」

「いえ、お気をつけて」

「はい!行ってきます!」


 ポーションやお昼ご飯、矢、弓、短剣などを持って、ある場所へ。


「すいませーん。シリル君いますか?」


 私がやってきたのは孤児院。なんかいつの間にかフィリアちゃんの弟子になったシリル君を迎えに来た。シリル君はこの孤児院の子達のために一生懸命頑張ってて、今日はランクアップの依頼を受ける予定なんだよね。もともとフィリアちゃんと一緒にやる予定だったんだけど、フィリアちゃんは予定が出来ちゃったし、私1人で依頼をうけるのもなんか寂しいので、ついでにやることにした。


「あ、ベルお姉ちゃん!いらっしゃい!」


 この孤児院には何回かきてるから、私の事を知ってる子達がいっぱいいる。フィリアちゃんは子供が苦手だとかいって来ないけどね。フィリアちゃん自身も十分子供だと思うけど。


「シリル君呼んでくれる?」

「分かった!シリルお兄ちゃーん!ベルお姉ちゃんがきたよー!」

「あ、分かった!今行く!」


 奥の方からシリル君の声が聞こえて、その直後に走ってくる足音が聞こえてきた。


「悪ぃ、待ったか?」

「ううん、今来たとこ」


 シリル君のランクはまだG。私とフィリアちゃんはEランク。でもシリル君もそれくらいの実力はあると思う。じゃあなんでGなのかっていうと、フィリアちゃんがする依頼にシリル君を強制参加させてるから。それはシリル君が依頼を受けてる訳じゃないから、依頼達成にカウントされなくて、ランクが上がらない。経験を積ませるためらしいけど、もう十分積んでると思う…。


 シリル君が使うのは剣と盾。フィリアちゃんが言うには、シリル君は動きはいいけど、いざって時に動けなくなって避けるのが下手だから、盾を使わせてるんだって。だからタンクの人が使うような大盾じゃなくて、金属で補強された木製の取り回しやすい小さめの盾を使ってる。魔法は魔力はあるんだけど、適性が少なくて、雷と無属性しか使えない。基本は剣で攻撃する。


「じゃ、いくか…って師匠は?」

「ぷっくく…」


 フィリアちゃんが師匠って呼ばれてることがなんか面白くて、つい笑っちゃった。


「お、おーい」

「あ、ごめんごめん。フィリアちゃんは予定が出来ちゃって、来れないって」

「そうか。なら2人だけか」

「そうだよ」

「あ!お兄ちゃんデート?」

「んなわけあるか!」


 そう言ってシリル君はデートと言ってきた男の子の頭にゲンコツを落とした。


「いったぁ!」


 うわぁ、痛そー…って、デートか…そう言われるとなんだか恥ずかしいなぁ…


「ったく。じゃ、いくか」

「う、うん!」


 とりあえずシリル君とギルドに向かう。


「うーん…受けるのはこのあたりかな」


 ランクアップのためにFランクの依頼を受ける。ゴブリンの討伐依頼あたりがいいかな?シリル君もう既に1人で倒せるし。


「ゴブリン討伐でいい?」

「ああ、ベルはどうすんだ?」


 一緒にゴブリンをやってもいいけど、それだとシリル君のためにならないから、別の依頼を受けるんだけど…


「うーん…いいのがないなぁ」


 もうだいぶ依頼の数は無くなっていて、私1人でできるちょうどいい依頼がないから、薬草採取にしようかな。


「私は今日は常時依頼にする」

「そうか。じゃあ俺は依頼受けてくるな」

「うん。出口で待ってるね」


 シリル君は受付に行ったから、私はギルドの出入口で待つ。


「おいおい、こんなとこに可愛い嬢ちゃんがいるぜ」

「ほんとだぜ。なぁ嬢ちゃん、俺たちとイイコトしないか?」


 待っていたら、知らない2人のおじさんに絡まれた。前にもこんなことはあったんだけど、それはフィリアちゃんが蹴散らしてくれた。どうしよう…


「なあなあ」


 そう言って近づいてくる。


「やだ!来ないで!」

「おい!お前らなにやってる」


 あ、シリル君が来てくれた…


「あん?なんだ、この嬢ちゃんの知り合いか?」

「そうだ!その子から離れろ!」

「へ!いっちょ前な口ききやがるじゃねぇか!」


 2人組がシリル君に襲いかかった。だめ!逃げて!


「うーん…師匠に比べたら全然だな」


 シリル君がそう言って、あっという間に2人組を手刀で気絶させた。

 …凄い。


「シリル君、大丈夫?!」

「これくらいなんともねぇよ。師匠のほうがよっぽど怖ぇぜ」


 …フィリアちゃん、一体なにをしたんだろ?


「あ、ありがとう…」

「おう。じゃあいくか」

「うん!」


 おじさん2人組はギルドの人に引きずられて行った。多分オハナシがあるんだと思う。


 …それにしても、シリル君かっこよかったなぁ…あの時のシリル君を思い出すと、なんかこう胸の中が暖かくなるというか…なんなんだろ?この気持ち。



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