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第38話 初めての授業は...

 次の日、私たちは昨日と同じようにご飯を食べて屋敷を出た。


 馬車に揺られ、学園に着く頃にはまた酔った。でも前よりましにはなってきている……と思う。


 教室に入るとまたキャサリンが同じ席に座っていた。


「おはようですわ!」

「おはよ!」

「おはよ。朝から元気だねぇ」


 私は前世もそうだったが、朝はとても苦手なのだ。だからキャサリンみたいに朝から元気な人はいいなーって思ってた。


「だっていよいよ今日から授業なのですよ!しかも!あの6大英雄のカトリーナ様から教えて貰えるのですよ!」

「う、うん。そうだね…」


 どんどん顔を近づけながら話してくるもんだから圧が凄いよ…。でもカトリーナってそんなに人気があったんだね。街に出かけてもそこまで騒ぎにならなかったから、気にしてなかったや。


「はーい、席についてね。出席とるよー」


 リーナ…じゃなくて、カトリーナ先生が入ってきた。昨日と同じで私からだった。


「はい。全員いるね。じゃあ早速授業を始めるよ」


 前にも言ったけど、この教室には黒板がない。じゃあどうやるのかとカトリーナ先生にきいたら、


「魔力を使って空中に字を書くのよ」


 とのこと。実際目の前でやっている。文字の色は白色、なんかふよふよ浮かんでて面白い。


「では今日は地理からよ。皆さん教科書を出してね」


 そう言われたので、みんなカバンから教科書を出し始めた。このカバンは学校が支給しているもので、中が魔法で拡張されている。カバンに付いている金属のプレートに自分の血を1滴垂らすことで、その本人にしか使えなくなるんだって。私はアイテムボックスに全部入っているけど、注目を引きたくないので、カバンから出すふりをした。


「では1ページを開いてね」


 教科書は前世でよく使っていた教科書によく似ている。開けてみると写真ではなく絵などが描かれていた。7歳ってだけあって、本格的にやるのはまだ先らしく、簡単な説明書きしか無かった。



 …今更だけどいつもの口調に戻ってるね。



「今日は4大陸についてよ。私たちが今いるメルギヤ大陸の他に3つの大陸があるわ。まず1つ目は『カタリナ大陸』よ。ここには獣人族とエルフ族が住んでいるわ」


 へー、その2種族が主に住んでいるのね。獣人族はあまり人間にいい感情は持っていないらしい。何故かというと、昔人間が獣人族を奴隷として使うためによく誘拐していたから。今は大陸間で協定が成されて奴隷制度は廃止になったけど、まだ奴隷は後を絶たないし、昔の溝はそう簡単には埋まらない。


 エルフ族は魔法に秀でた種族で、争いを嫌う。長寿で有名だが、エルフの血を飲めば長生き出来るという根も葉もない噂がたち、長寿を求めた人間と争いになったことがある。その争いはエルフの勝利だったが、被害はとても大きく、今でも人間を恨んでおり、友好関係は宜しくない。それでも少しずつ関係は回復してきている……らしい。





 ……これだけ聞くと人間がいかにバカで自己主義なのかが分かるね。



「カタリナ大陸には争いを嫌い、逃げてきた人々もいるわ。そういった人々を受け入れることは滅多としてないけれど、心が綺麗だと判断された場合は、受け入れてくれたりするわ」


 心が綺麗、か…


「先生、心が綺麗ってどうやって分かるんですか?」


 お、私の斜め前にいる女の子が質問した。名前は確か…"ペトラ"だったかな?


「それはエルフ族に伝わる特別な魔法で分かるのよ」


 そうカトリーナ先生は答えた。確かにエルフだし、そういうことが得意なのかな。


「ただ、この魔法を知っているのはエルフの族長だけで、その族長に会うまでがかなり厳しいから、ほとんど受け入れられることがないのよね」


 …それ、むりじゃない?


「だからエルフ族に受け入れられなかった人は、獣人族の所に行って頼み込むか、何処かに村を作って生活していたりするわ。そこでの生活から認められることもあるわ」


 なるほど。受け入れて貰えなくても自力で生活すればいいのか。ただ、生活用品とかを買うのは大変そうだね。


 …ていうか、さすがSクラスと言うべきか…他のクラスはここまで詳しくはやらないだろうね。



「次は『ヴォルケーノ大陸』。ここには主にドワーフ族が住んでいるわ。この大陸の真ん中には大きな火山があって、その影響で気温が少し高いわ」


 ドワーフ族…あの武器屋の人もドワーフだったね。ドワーフは手先が器用で、防具作りや武器作りを得意としている。まぁ全体的に言えば鍛冶が得意。魔力量は少なく、あまり魔法は使えないけど、技術力はとても凄い。だからこそ、ドワーフの造る物はとてもいい。


「それに豊富な鉱物資源があるわ」


 多分ドワーフがここに住んでいるのはそれが一番の要因だろうね。鍛冶が出来ても材料が無ければなにも造れないものね。


「最後は『トルメヤ大陸』。ここには主に魔人族が住んでいるわ」


 魔人族は魔力量が多く、力も強い。だからこそ、戦争をふっかけようとする国は無くて、平和。意外にも争いを好まない。ただ、戦うならば容赦なく潰すという考え方をしている…らしい。魔人族は総称で、ダークエルフ族とか、鳥人族とかをひっくるめている。鳥人族は獣人族に似ているけれど、体の作りが根本から違うらしく、別の種族となっている。ダークエルフ族はエルフ族によく似ているが、肌が少し黒い。得意とするのは闇魔法で、その威力は魔力量と相まって強力。


「この大陸にはダンジョンが多くあって、そこからとれる魔石を加工して作った魔道具が、主な輸出品よ」


 ダンジョンとは何処かにいきなりできる地下迷宮みたいなもので、中には大量の魔物が生息する。この魔物が一定量を超えると、あの時のようなスタンピードが起こる。だから定期的にハンターが中に入って魔物を狩っている。


 この国にもダンジョンはあるんだけど、そこに入るには最低でもランクがDないとだめらしい。私はこの前ランクアップしたのでF。だからまだまだかな。



「魔人族とは友好関係が良くて、あなた達は中等部になったら行く予定よ」


 え?!それは初耳なんですけど?!


 この学園は初等部、中等部、高等部があり、7〜9歳は初等部、10〜12歳は中等部、13〜15歳は高等部、といった具合だ。だから10歳になったら行くことになる。


 …正直、とても楽しみ。だってせっかくなら色んな大陸に行ってみたいもんね。



「あ、もう時間ね。じゃあ今日の授業はここまでね」

「「「「「ありがとうございました」」」」」


 初等部なのですぐに終わる。来年くらいになると昼までやることになって、学園にある食堂を使うことになる。


「フィリアさん達は、明日からどうするのですか?」


 明日は休み。だから久しぶりにハンターとしての仕事をしたいかな?


「依頼でも受けよかなーって」

「依頼…ということはお二人共ハンターなのですか?」


 あ、そういえば言ってなかったっけ。


「うん。そうだよ」

「そうでしたの(ではわたくしも…)」

「うん?なにか言った?」

「いえ?!ではさようならですわ!」


 そう言ってキャサリンは去っていった。


「私たちも帰ろっか」

「うん!」


 私たちは行きと同じく馬車に乗り、屋敷に帰った。


「おかえりなさいませ」

「ただいま」


 執事のセバスチャンさんと会話を交わして、中に入る。すると…


「フィリア!会いたかったぞ!」







 ……………何故かパパがいた。


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