表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/158

第34話 入学式

「おりゃぁぁぁ!」


 クギャャャャャ!!


 私は今森にいる。合格発表からはや3日が過ぎていた。入学式は明日だ。



 …で、私はそこでスピーチをしなきゃならない。


「やりたくないって!」


 グギィィィィ!!


 という訳で八つ当たりである。


「フィリアちゃーん。そろそろ諦めよ?」

「うぅぅ…」


 私たちは今ランクアップのための依頼を受けているところ。


「もう終わってるんだけどねー」


 そう、もう既に依頼であるゴブリンの討伐は完了している。


「これで128体目だよ…もうやめよ?」


 ゴブリンジェネラルがいた影響でゴブリンが大量にいたので、つい狩りすぎた。ちなみにあれからゴブリンキングなどの目撃情報などはない。


「やだっ!」

「もうフィリアちゃん!付き合う身にもなって?!」

「うぅぅ…」


 もうかれこれ3時間は狩り続けている。


「私も一緒にかんがえるから、ね?」

「……分かった」


 私は渋々依頼を終えた。


「おや、遅かったね」

「うん、フィリアちゃんが狩りすぎたから」

「狩りすぎたって…一体何体狩ったんだい?」

「ほら、フィリアちゃん」


 え、私が言うの?!


「……128体」

「は?!」


 うん、驚くよね。だって依頼は10体なんだもん。


「…なにかあったのかい?」

「フィリアちゃんが入学式でスピーチするんだけど、それをどうしてもしたくないんだって」

「は?!そんなことかい?」


 コク


「はぁぁ…まったく、とんでもない子だね…たったそれだけだろう?潔く諦めな」

「うぅぅ…」

「ほら、フィリアちゃん。魔石出して帰ろ?」

「…うん」


 私はアイテムボックスから魔石を128個出した。


「本当にそんなに狩ってきたんだね…鑑定には時間がかかりそうだねぇ」

「じゃあ明日取りに来るよ」

「ああ…それでサボるんじゃないよ?」

「うっ!…」

「サボる気だったんだ…」


 うぅぅ…だってねぇ?前世でも嫌だったのに…


「じゃ明日またね」

「あいよ、頑張んな」

「…はい…」


 はぁぁ…諦めるしかないか。


 私たちはその後寄り道せずに屋敷に帰った。


「あら?おかえりなさい。どう?原稿は浮かんだ?」

「全然」


 そもそも考えてすらない。


「じゃあ今から頑張らないと」

「…やりたくない…」

「諦めなさい」

「そうだよ!一緒にがんばろ?」

「うぅぅ…ベルぅぅ…」

「あ、ちょ!泣かないで!」


 私は思わず涙目でベルに抱きついた。


「ほらほら、泣いても原稿はできないわよ」


 …もうちょっと心配とかしてくんないの?


「ほらフィリアちゃん。お部屋にいこ?」

「うん…」


 それから原稿を朝までかかって仕上げた。ていうかベルに手伝って貰わなくても良かったかも。だって


「はじめましてフィリアです。好きなことは…」

「ちょっと持ったーーー!」

「ふぇ?!だめ?」

「どう考えてもだめでしょうが!」


 とまあ教室でする自己紹介みたいな文になっちゃう訳。結局私がほとんどやった。てか全部やった。


「出来た…」

「ZZZ…」

「…ずるい」


 私ももう寝よう。私はベルと同じベットに潜り込むとそのまま意識を手放した。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆


 次の日、晴天です。いやぁーこんな日はピクニックとかいいですねー。


「こら、現実逃避しない」


 うぅぅ…やっと来てしまいました、入学式。やだよー帰りたいよー。


「帰るってどこに?」

「村」

「だめ」

「はぁぁー…」

「諦めなさい。原稿も書いたんだから大丈夫よ」


 いや、書いたからって本番はないよ?丸暗記だよ?むりだよ?


「ほら、早く朝ごはん食べないと遅れるわよ」

「「はーい」…」


 私たちはいつも通り朝ごはんを食べて乗り合い馬車に乗り、学園に行った。


「うわぁー!」


 そこには合格した人やその親でごった返していた。


「そういえばパパとママは来るのだろうか?」


 流石に英雄だからこれないかな?ていうか来ない方が緊張しないで済むけど。


「はーい。生徒の皆さんはこっちで出席をとってくださーい」


 またまたあの受付の人が叫んでる。


「行こっか」

「うん!フィリアちゃん頑張って!」

「善処します…」


 私たちは受付で出席をとると、席に案内された。ベルとは隣にはなれなかった。


「はじめましてですわ!」

「う、うん。はじめまして」


 なんかお嬢様が隣に来たんだけど…


「あなた闘技場で一緒に試験受けた方ですわよね?」

「え?!」


 会ったっけ?


「うーん…あ!あの単略詠唱の」

「なんか覚え方があれですけど…まぁいいですわ!これからよろしくお願いしますわ!」

「う、うん。よろしく?」

「何故疑問なのですか?!」

「なんとなく?」


 まぁ何はともあれ仲良くしてくれるのならありがたいかな?


「ではただいまより、アルバート学園入学式を始めます」


 お、どうやら始まるみたい。声がよく響いてるのはマイクみたいな魔道具のおかげかな?


「では初めに国王様より祝辞を賜りましたので、代読させていただきます」


 へー。国王様そんなこともしてくれるのね。要約したら勉強頑張れだった。


「続きまして学園長より祝辞を述べていただきます」


 お、レビンさんだ。


「おはよう!私が学園長のレビンだ。ここに来た人皆が楽しい学園生活を送れることを切に願っている。この学園は歴史こそ古いがまだまだ未熟だ。ここにいる皆でこの学園をより良いものにしていって欲しい。私からは以上だ」


 おおー、堂々としてるね。私もあんな風にできるかな?


「次に今回の入学試験の首席、フィリアさんより入学生代表挨拶をして頂きます。ではフィリアさん。ステージまで来てください」

「は、はい!」


 うぅぅ…いよいよだよー。逃げたい…


「頑張ってくださいまし!」

「う、うん…」


 ふぅぅー。落ち着け、深呼吸だ。


「頑張れよ、フィリア」

「はい…」


 私はステージに上がった。ざっと300人くらいの視線が集まる。


「…皆さん、はじめまして。ただいまご紹介にあずかりましたフィリアです。私は学園長もおっしゃったように、この学園を、ここにいる生徒全員でよりよくしていきたいと思っています。先生方、これからたくさんのご迷惑、ご心配をおかけすると思いますが、これからよろしくお願いします。生徒の皆さんも、お互いを高め合い、仲間として、共に成長していきましょう。これで私からは以上です」


 ふぅぅー…言い切ったぞ!私は急いでステージから降りた。


「良かったぞ!」

「あ、ありがとう…ございます」


 急いで自分の席に戻った。


「流石ですわ!」


 どこが流石なのだろうか。この人の感受性が分からない。


「これで入学式を終わります。生徒の皆さんはその場で待機していてください。保護者の方々はご退場をお願いします」


 さて、次はクラス発表だ!





スピーチって緊張しますよね。かく言う私もスピーチは大の苦手です...。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓↓↓他の執筆作品はこちら!↓↓↓

『異世界転移は定員オーバーらしいです』

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ