第31話 六大英雄と不安と...
私は行きと同じように身体強化を使って街に向かった。程なくして城壁が見えてきたから身体強化を解除し、普通に歩いて門を通る。
そこから真っ直ぐギルドに向かっていった。
ギルドに着くともう既に人が増え始めていた。私は人混みを避け、カウンターへ向かう。
「お、嬢ちゃんじゃないかい。早かったねぇ。もう終わったのかい?」
またしてもカウンターにいたのはチェルシーさんだった。なんでこんなに会うんだろうか?
「うん!これゴブリンの魔石ね」
私はカウンターの上に魔石を5個置いた。
「お、キレイに取ってきたねぇ。どれどれ…よし、依頼達成だね。ギルドカードをだしな」
「はい」
私はチェルシーさんにカードを手渡した。すると依頼を受けたときと同じように機械に入れてカチャカチャして返してくれた。
「ほい、これで依頼達成が記録されたよ。それと評価が溜まったから、また今度にでもFランクの依頼を受けておくれ」
「あれ?もう?」
まだハンターになって3日くらいなんだけど?確かに入学試験までの間ずっと暇だったから依頼は受けてたけど…
「あんたらの依頼達成率とかからかねぇ。まぁ私はよく知らんよ」
確かに受付の人がそこら辺に深く関わってるとは思えないものね。
「分かった。今度はベルと来るね」
「あいよ。またね」
「うん!」
私はギルドカードを受け取り、そのままギルドを後にした。
私は軽く身体強化をしながら走って屋敷に帰った。
「おかえりなさいませ、フィリア様」
「うん、ただいま。リーナは?」
執事の人に返事をして、リーナの居場所を尋ねた。
「カトリーナ様でしたら今頃書斎かと」
「分かった!ありがとう」
「いえ、当然の事でございます」
私はリーナの書斎に向かった。リーナの書斎は2階にある。
コンコン
「…はい?」
「フィリアだけど、開けてくれない?」
ガチャ
「あら、随分早かったわね。まだベルちゃんはかえってないのよ?」
「え?!」
まじ?!どんだけ時間掛かってるの?もう私が帰ってきてから3時間以上経ってるんだけど?まぁそれはいいや。とりあえず…
「大事な話があるんだけど…今いい?」
「…ええ、いいわよ?」
私はリーナの書斎に入る。両側にでっかい本棚があって、真ん中にソファとかあるまさにThe書斎ってかんじ。
「それで?大事な話って?」
あ!忘れるところだった。
「あのね…さっきゴブリン討伐の依頼でね…ゴブリンジェネラルを見つけたの」
「…っ!…本当に?」
まぁそら信じられないよね。
「うん…収納にゴブリンジェネラルが入ってる」
「え?!…今出せる?」
「ここだと狭い」
「あ…そうね、私としたことが…。裏庭に行きましょうか」
私たちは書斎をでて裏庭に向かう。この屋敷の裏庭は周りを高い柵で囲われていて、周りからは見えないようになっている。広さは村の家の庭の3分の2くらい。
「ここにだしてくれる?」
「分かった」
私は庭にゴブリンジェネラルをだした。両腕と首とともにね。
「な!…まさか本当に…しかも無駄な傷がひとつもない…これ、フィリアちゃんが倒したの?」
「…うん」
これあれか?規格外認定か?
「これはちょっとギルマスにも相談しないと…フィリアちゃん、これ持って行っていい?」
「もちろん」
「ありがとう…怪我しなかった?」
今更そこなのね。
「私がやられると思う?」
ちょっとドヤ顔で言い切った!
「…ふふふっ。ええ、そうね。ロビンとマリアの子供だものね」
私もつられて笑う。
「とにかく、私はこれから忙しくなると思うけど、学園がんばるのよ?」
「うん!でもなんで忙しくなるの?」
いくらゴブリンジェネラルが出たからって、なんでリーナが忙しくなんのだろうか?
「うん?ああ、言ってなかったかしら?私もロビン達と同じなのよ?」
えっと…同じ?ってことは…
「…英雄?」
「そういうこと。私たちは"六大英雄"って呼ばれてるわ」
六大英雄?あと3人?
「私とマリア、ロビン、レビン、それとあと2人ね。この2人はあなたに会いたがっていたから、直接会ってみるといいわ」
「え?!」
まさかレビンもだとは…いや、兄が英雄ならありえるのか?
「それにしてもベルちゃん遅いわね…」
もう既にリーナの話し始めてから30分以上経っている。明らかに遅すぎる。
「カトリーナ様!!!」
そんな話をしている時、リーナを呼ぶ声が聞こえた。
……私たちの答えは、その声の主から聞くことになるのだった…