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第3話 一大イベント

 それからというもの、私は発声練習に明け暮れた。

 なかなか上手く発音出来ないが、それでも形になってきた。


 そして、移動方法についてだが、ハイハイをすっ飛ばしてつかまり立ちを練習している。まだまだフラフラするが、だいぶましになった。


 さて、実はこの家には私と両親の他に、1人の使用人がいる。

 使用人といっても、奴隷と言った感じではなく、それこそ家族のような感じだ。元日本人として、その感覚を親が持っていたというのはうれしかった。


 今更だが、私の新しい名前は、"フィリア"という。

 使用人の名前は、"レミナ"という。

 そのレミナが今部屋に入ってきた。


「フィリア様、オムツをお替え致しますね」


 こればかりはしかたない。そう、しかたがないのだ。


 レミナは慣れた手つきでオムツを替える。しっぽを揺らしながら。


 そう、レミナは獣人なのだ。しかも猫耳。

 …可愛い。前世では1番猫が好きだったので、尚更だ。

 だが、あまり無闇に触れてはいけないらしい。特に猫耳は。

 なんでも、猫耳は番しか触れてはいけないらしい。

 なので、いくら触りたくても、我慢しないといけない。


 ただ、しっぽは親しい間柄なら触ってもいいらしく、只今絶賛もふもふ中だ。


「ふふふっ。フィリア様はしっぽがお好きですね」


 もちろん!

 あ、ちなみに色は黒だ。髪の色も目の色も。


 そして私の容姿についてだが、我ながら、


「(誰?)」


 と、思ってしまった。なにせ髪の色が銀髪だったからだ。たしかに母親であるマリアの髪は銀髪なのだが、私の髪の色は、すこし緑味がかった銀髪なのだ。そう、マリアの翡翠色の瞳のような色が混ざっているのだ。さらに、

 瞳はというと……オッドアイだった。左目はマリアと同じ綺麗な翡翠色で、もう片方の瞳の色は、なぜか、金色だった。


 顔立ちはマリアに似ているが、瞳の色、髪の色がまるで違うのだ。

 そしてまぁ、日本人にはありえない顔な訳で、混乱した。


 あ、肌の色は限りなく白に近かった。

 決して、不健康なわけではない。

 なにせ、マリアも似た肌の色なのだから。



 そして、今日。

 子供が産まれてから親が1番喜ぶ(と思う)行動をすることにした。


 ガチャン


「あ、お2人が帰ってきたようです。フィリア様、お迎えに行きましょうか」


 そういって、私の体を軽々持ち上げる。

 そのまま部屋を出て、両親を迎えにいく。


「おお、フィリア!出迎えにきてくれたのか!」


 この暑っ苦しいのはロビン。

 私の今世の父親だ。


「もう、あなた。フィリアが怖がっているでしょ?」


 この優しい声はマリア。私の母親だ。


 さて、ここでいっちょやりますか!


「あぅ…。まぁまぁ?」


 すると全員が驚いた顔をして、私を見つめる。

 …ちょっと恥ずかしい。


「フィリア…今、ママって言った?言ったわよね!ああ!…」

「フィリア!ほら、パパだよ!パパって言ってご覧!」


 ここはすこし意地悪しよう。


「ばぅ…。れぇみな!」

「…!フィリア様…今、私の名前を…!」

「フィリア!パパ!ほら!パパ!」


 うーむ。うるさいけどさすがに可哀想だよね。

 よし、言ってやるか!


「あー。ろびん」

「何故!?何故パパと呼んでくれない!なぁフィリアほらほら!」

「うるさい」

「ガーーーーーーン」


 おう…。分かりやすく落ち込むなー。

 これ以上はさすがにねー。


「むぅー。ぱぁぱ」

「…っ!ああ!フィリア!」


 思わず抱きついてきたので、手で顔面を押しかえす。


「フィリア…。そんなに嫌いかい?…」


 コク


「ガーーーーーーーん」


 あーあ。また落ち込んだ。


「ほら、あなた。そんなんだからフィリアに嫌われるのよ。ほらほら、さっさとお風呂にはいる!」


 マリア…容赦ない…


 こうして、赤ちゃんの一大イベントを終えたのだった。





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