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第21話 テンプレですねー

 馬車で揺られることはや3日。あるかなーあるかなー、と内心ワクワクしながら待っていると、とうとう"それ"が来た。


 …え?何が来たのかって?盗賊だよ!異世界定番のやつ

 !

 まあ、まだ襲われた訳じゃないけどね。というのも、私が常時展開している半径500メートルの気配察知に引っかかっただけなのだ。


「まだ、3人は気づいてないなー…」


 でも、それは仕方の無い事なんだよね。だって普通気配察知は半径300メートルが限界なんだから。


「とはいえ、このままだと少し不味いか?」


 今のところ襲ってくる気配はない。恐らく向こうもこちらと同じで気づいてない。もしくは、こちらが寝ている時を狙っているかのどっちかだろう。可能性としては前者が高いね。さっきも言ったように300メートルまでしか探知できないんだから。しかもそれはかなり凄腕だったときの話だしね。


「でも、このまま放置する訳にもいかないしな…」


 どうしたものか?っと考えていたら、どうやら別の盗賊がこちらに向かって来ているようだね。


「2人とも!盗賊よ!数は5、距離は大体200、森の中にいる」

「「分かった!」」


 さてさて、3人の中で、ミーナさんは索敵に優れているらしい。しかも200メートルを探知できるのは中々だね。


 現在私たちの馬車は森のなかの道を走っているため、左右を森で覆われている。こんな状況で頼りになるのが、気配察知だ。


「2人は馬車の中で待っていてくれ」

「え!私たちも戦えますよ?」


 そう言ったのはベルだ。確かに私たちだけで倒すことはできると思う。けどね…


「それじゃあ俺たちが雇われた意味がないだろ?」


 そう、この人たちはお金を貰って私たちを護衛している。言うなれば私たちは依頼者であって、シャガルさんたちは私たちを守らねばならない。だから私たちは出てはいけないのだ。


「でも…」

「ベル、ここは任せよう」

「…フィリアちゃんがそう言うなら…」


 うん、いい子だね。


「大丈夫だよ。シャガルさんたちなら勝てるから」

「へ!期待してくれんじゃねぇか!おい!そこに隠れているのは分かってる!さっさと出てこいよ!」


 勝てると言ったのは能力的な面でだ。てゆうか、わざわざ気づいてるって教えちゃうんだ。まぁ、奇襲されるよりマシか。


「ちっ!おい、野郎ども!殺っちまえ!」

「「「「おお!!」」」」


 わぁお!ぞろぞろ出てくる。ステータスで言うならば、リーダーらしき人物はベルがステータスプレートを貰った時のステータスより、少し低いくらいで、他はその半分くらい。


「よし!やるぞ、ビーン!」

「まったくお前と言う奴は…ああ、やるぞ!」


 近接は2人の役目らしい。ミーナさんは魔法で援護するみたいだけど…


「どうやら、この盗賊団はさっき見つけた盗賊団の1グループみたいだね」


 思わず声に出てしまった。で、何故そう思ったのかというと、連絡役と思しき人がその盗賊団と接触したからだ。


 …で、どうやらこっちに向かってきているみたい。数は30以上。


「接触まであと10分後ってところか…まあ任せるしかないね」


 決して死んでもいいと思っている訳じゃない。危なくなったら助けるつもりでいるよ?


「おらぁ!」


 ザシュッ!


「グハァ!」


 …分かっていたけど、やっぱり目の前で人が殺されるのを見るのは結構きつい。あ、別に顔を出してる訳じゃないよ?透視で見てるだけ。


「これで終わりだ!」


 グサッ!


「くっ…!」


 最後の1人、リーダーのような人が倒れた。


「ふぅー…結構きつかったな」

「よく言うわ。この状況にしたのあんたでしょうに」

「ハハハッ!ちげぇねぇ」


 なんだかんだでこの人達結構仲いいよね。そりゃ仲良くないとパーティは組めんか。


 …で、疲れきってるとこ悪いんだけど、まだ30人くらい残ってるよ?


「とりあえず、ここを離れませんか?この盗賊だって仲間がいるかも知れませんし」


 わざわざ教える必要もないことは教えなくていい。余計混乱させるからね。


「ええ、確かにそうね。さぁ2人とも?もう行くわよ」

「「へいへい」」


 殺した盗賊は装備品で質が良いものだけとり、後は全て魔法で作った穴に埋めた。


「よし、じゃあ行くか!」

「そうはいかない」

「な!」


 うん、知ってた。もう間に合わないって。


「よくも俺のかわいい部下を殺してくれたな」

「ちっ!親玉かよ!」


 その親玉の後ろからぞろぞろ人が出てくる。


「うそ!私の気配探知に引っかからないなんて…」


 それは仕方がない。なぜなら、どうやらこいつら、そう言う妨害系の魔道具を持っているらしい。私には効かないけどねー。


「ふん!そこの女は生かす。後は殺せ」


 わー、The盗賊だねー。


「殺されてたまるかよ!」


 シャガルさんが突っ込んだけど、多分無理だ。


「はぁ…仕方ない。ベル、いける?」

「もちろん!」


 そうだね、さっきから準備してたもんね。私はアイテムボックスから剣を取り出す。この前ロビンから貰った剣だ。


 そして、私たちは馬車から飛び降りた。


「…っ!2人とも!なぜ出てきた!」


 まあ、そう言う反応になるよね。


「シャガル!今は前に集中しろ!」


 ナイス!ビーンさん!


 私は剣を引き抜き、足に力を入れて、一気に近づく。


 ピコン!


 すると、一瞬で間合いを詰めることができた。


「なっ!」


 盗賊の人…ああ、もう盗賊Aでいいや。そのAが驚いてる。


「ふっ!」


 私は小さく息をはき、剣を振るう。


 ザシュッ!


「グキャァ!」


 狙ったのは膝。歩けなくなれば、それは戦力にならない。


「まず、1人…」


「おらぁ!」


 私の背後から剣を振りかぶって襲ってきた。まぁ、見えてるんだけどね。私はその攻撃を受け流…そうとした。


 ヒュ!ブス!


「グワァ!」


 ベルが放った矢が、剣を持っていた右腕に突き刺さっていた。


「流石だねぇ…」


 私はそんなことを吹きながら、後ろにいた人の膝を切り裂く。


「ギャャャャャ!足がぁぁぁぁ!」

「うっさい」


 私は頭を蹴飛ばして気絶させた。


「よ、容赦ねぇ…」


 シャガルさんがそんなこと言ってるけど、容赦はしてるんだよ?殺してないし?まぁ、足が使えなくなってる時点で、死んだも同然だけどね。


 ヒュ!スコ!


 …ベルの矢が盗賊の頭に命中した。まさかベルが人殺しを戸惑いもなくできるとはね…


「まぁ、生かしたとしてもろくな事にならないんだけどね」


 私もいつかは覚悟しておかないといけないかもね。


「クソっ!お前ら一体なんなんだよ!」

「ただのハンターと依頼者だよ!」


 依頼者は余計。


「おらぁ!」

「グワァァァァ!俺の腕がァァァァ!」


 シャガルさんが親玉の右腕を切り飛ばした。盗賊の数も半分くらいになっていて、もう大丈夫だろう。



 ……人はこれを油断という。


「フィリアちゃん!」


 ベルの叫びで気がついたときには、もう目の前で剣が振り下ろされていた。


「もらったー!」


 私、また死んじゃうのかな?


 ガキン!


「…あれ?」


 あれ?当たったよね?

 目の前で剣を振るったはずの人は、()()()の剣を持ったまま立ち尽くしていた。


「えっとー?」


 とりあえず膝を切り裂いた。


「フィリアちゃん!大丈夫?」

「え、うん。なんともないよ?」


 地面をよく見てみると、キラキラした破片が散らばっていた。


「これって…」

「多分、剣だと思う」

「え?!」


 どゆこと?砕け散ったってこと?


「剣がフィリアちゃんに当たった瞬間、砕け散ったの」


 意味が分からない。一体なにが…あ!女神のシリーズの、他からの物理攻撃無効の効果?こんなに強力だとはね…


「大丈夫?」


 ミーナさんだ。


「うん」

「本当に?」

「うん」

「そう…ならいいわ」


 周りを見てみるともう既に動ける盗賊はいなくなっていた。


「あの現象をみたもんだから、全員硬直していて、倒すのは楽だったわ」


 あらあら。戦場での思考停止は1番やってはいけないことなんだけどね。


「とにかく、まだ生きている盗賊は縛って、その他は穴に埋めるぞ」


 シャガルさん達は慣れた手つきで盗賊達を縛ると、死んだ盗賊を魔法で作った穴に埋めた。


「もう、日も落ちてるし、ここは血の匂いがあるから離れたところで野営をしよう」


 血の匂いに誘われて魔物とかが寄ってくるかもしれないからね。


 私たちはそこから600メートルほど離れて野営をした。私たち女性は馬車の中で、男達はテントで寝る。


 私は薄い毛布を被ると、すぐに意識を手放した。



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