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第143話 無限の壁

 身を隠したことで攻撃が止んだということは、……索敵は視覚にだけ頼っているのかもしれない。

 ……でも、その視覚が何処にあるのかが分からない。前の敵と同じなら、何処かに眼があるはず。けれど、先程攻撃してきた時も眼らしきものは見えなかった。


「…ガルマ」

『…すまぬ、主』


 名前を呼んだ瞬間、ガルマから謝罪の言葉が聞こえた。


『どうやら邪魔されているようだ。出られない』

「…そっか。分かった」


 まさか翡翠に続きガルマまで姿を出せないとはね……ガルマに先行してもらって弱点を探そうと思っていたけれど、それは無理そうだ。


「…考えてる暇は無さそうだね。はぁ…」


 突然世界地図(ワールドマップ)に増えた敵の反応。その正体は……パラサイ・カラモス。それも一体ではなく…三体。そのどれもがあの木の付近にいきなり現れた。


「…待てば不利になるのはこっちのほうか」


 パラサイ・カラモスが突然現れたことから、おそらくあの木は親玉で確定。だとすると、まだまだ出てくる可能性がある。

 一体であれだけ厄介だったんだから、集まられたらどれほど大変か分かったもんじゃない。


「…まてよ?視覚に頼っているのなら…」


 私は光学迷彩を展開する。その後気配隠蔽も展開し、壁から出る。


「げっ」


 壁から出た瞬間、ギョロっとした瞳と目を合わせてしまい、思わず声が出てしまった…幸い、気付かれた様子はない。ほっ…


 どうやら私の予想は当たっていた様で、パラサイ・カラモスが襲ってくる様子もこちらに気付く様子もない。

 ……じゃあさっきまでの私の苦労は一体…。


 まぁ気付かなかった私が悪いし、過ぎたことは仕方ないので割り切る。とりあえずいつ襲われても対処出来るよう準備し、木の元へと向かった。


「……うわぁ」


 またしても思わず声が出てしまった…けれど、仕方ないと思う。だって…木の枝に丸い実のようなものがぶら下がっていて、それが地面に落ちるとうにょうにょと触手を生やし、あっという間に見覚えのある姿へと変化したんだから。

 どうやってパラサイ・カラモスが増えていたのかは判明したけど、肝心のどうやって止めるべきかが全く分からない。


(……ひとまず攻撃してみるか)


 光学迷彩は私に触れているもの全てに働く。なので、無論手に持っている翡翠も同様に相手には見えなくなっている。

 その翡翠を普通に真正面からオレンジ色の眼へと突き刺す。


 キシャァァァァ!!


 カラモスが断末魔のような鳴き声を上げながら燃え尽きていく。


(おっと)


 その様子を見てなのか、親玉が枝を私が悪い倒したカラモスの周りに叩きつけ始めた。

 ……この行動で分かることは、それなりの知能があるということだ。そうでなければ、見えない敵を攻撃するなんてことはしない。そもそも、知能が高く無ければ、見えない敵の存在自体を()()()()()()のだから。


 空歩を使いながらその場を離脱すると、親玉の攻撃が止んだ後に他のカラモス達がその場へと集まり、胴体ごとその大きな眼を動かして何かを探すような仕草をする。おそらく、何かしらの痕跡を探しているのだろう。

 ……となると、このカラモス達は親玉の命令を聞いて行動することができるようだ。一斉に同じ行動をしたという点から推測できる。


(…こいつらを倒しても、また増えるだけ)


 倒すべきは親玉のみ。


(…距離は、いけるか)


 聖火の矢を数十本創り出し、木の幹の周りを囲む。

 すると危険を察知したのか、枝が動き矢を弾き落とそうとしてきた。けれど、そう簡単には弾かせない。


「いけっ!」


 第一、第二と同じだけの矢を創り出し、それぞれがバラバラの場所を狙う。さすがにこれは捌ききれないはず……


「………嘘でしょ」


 捌ききれないと木が判断した後の行動は、とても素早かった。

 まるで枝を繭のようにして壁を作り出し、それで全ての聖火の矢を受け止めたのだ。

 聖火の矢の貫通性能はあまり高くない。燃やすことが本質だからだ。その為、枝の層を撃ち抜けない。


 枝は何層にも重なり、燃えたところから切り離されていく。まるで自動修復型の要塞だ。


(…魔力は、まだある。けど…)


 このままではジリ貧だ。


(……いや、寧ろこれはチャンスかもしれない)


 木が防御に徹しているのならば、こちらに攻撃はこない。しかも、本体に眼があるのなら今の状況では周囲の把握が出来ないはずだ。


 とりあえず残っていたカラモス達を聖火の矢を使って燃やして倒す。もしかしたら、感覚共有などで視界を共有できる可能性があったから。


「さて」


 私は木の眼が本体にあるのかを確かめるため、わざと光学迷彩を解除する。

 ……すると、本体を覆っていた枝の一部が動き、いきなり私へと襲いかかってきた。





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