表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/158

第133話 ロックゴーレムの討伐その弍

 反応があった方向へ走っていると、体長3メートルほどのロックゴーレムが2体現れた。うん、察知した数と同じだね。もう少し奥にも反応があるけれど、それは今はいい。


「さて。どうやろうかな…」


 討伐証明が魔石である以上、それを破壊して倒すことはできない。

 でも生き物…とはちょっと呼べない存在だからね。頭壊しても動いちゃう。

 となれば……


「外殻を破壊して魔石を取り出すのが1番か」

「その方法が大変だから、倒せる人は限られるのよ」


 後ろからマリアの声が聞こえる。どうやら完全に高みの見物をするようだ。

 ……まぁ、別にいいんだけどさ。そんなにジロジロ見ないでよ。やりにくい。



 私の姿を見つけたのか、ロックゴーレムがズシン、ズシンと重そうな足音を立てて近付いてくる。頭の部分には、丸い目のようなものが3つ3角に並んでいる。とりあえずあそこを壊してみるか。


「アイスアロー!」


 トリガーワードを敢えて言った。そっちの方が魔力消費は少なくて済むし。魔力が多いと言っても、少ないに越したことはない……まぁ、本当はマリアの目があるからだったりするんだけど。前にトリガーワードを言えって言われたからねぇ……。


 私の周りに長さ10センチほどの氷の矢が6本出現する。

 うーん…そのまま飛ばすのは味がないか。横回転でも加えてみよう。


「いけっ!」


 高速に横回転が加えられたアイスアローが、私の掛け声で一斉にロックゴーレムの目へと向かう。

 真っ直ぐ飛んで行ったアイスアローは、狂いなくそれぞれのロックゴーレムの目へと吸い込まれるようにして命中する。

 …………そして、アイスアローはそのまま頭を貫通した。


「………」


 後ろからの目線が痛い!い、いや、私だってまさか貫通するとは思わなかったんだもん。


「……これで止まってはくれないか」


 貫通した事で完全にロックゴーレムの目は潰されたはず。でも、真っ直ぐこちらへと歩いてくる。となるとあれはダミーの目。

 ………そうか。魔力を感知して向かってきているのか。


「めんどくさい…」


 目くらましは効かない。でも、頭を貫通できたことを考えると、外殻は案外楽に破壊できそうだ。


「本来そんなに楽じゃないんだけどね……」


 …後ろのマリアの言葉は無視する。重要なのは結果だ、うん。


「とりあえず足止めするか」


 追加でアイスアローを生成し、膝の球体関節を狙う。


 パキンッ!


「これじゃあダメか…」


 アイスアローが砕け散った。ロックゴーレムの球体関節は無傷。確実に威力不足だね。

 …熱して冷やしたら割れるかな。ダメか。マリアに見られたらまたなんか言われる気がする。


「うーん……」

「…魔物の目の前で呑気に悩めるって凄いわね」


 そう言われてもねぇ?ロックゴーレムの動き遅いんだもの。油断してる訳では無いけど、十分に考え事をする余裕はある。


 ……うん。これでいいか。


「…マッドウェイブ」


 地面に手を着いて、思い付いた魔法を行使する。すると、ロックゴーレムの足元の地面が泥濘(ぬかるみ)始める。

 最初は少し足が滑るくらいだったが、次第にロックゴーレムの自重で足が沈み始めた。


「よし」


 砂地獄、いや、泥地獄の出来上がり。


「…相変わらずとんでもない方法思いつくわね」


 え、そう?ロックゴーレムは重いから沈むんじゃないかって考えるのは、結構普通だと思うんだけど。


 とりあえずロックゴーレムが腰の部分まで沈んだところで、魔法を止める。腕は腰より下まであるので、一緒に埋まった。これは嬉しい誤算。

 後は風魔法で魔石がある所をピンポイントで抉って……取れた。


「なんで風で岩が削れるの…?」

「…知らない」


 だってやったら出来ちゃったんだもん。……まぁ、それなりに魔力は消費したけど。


 魔石が無くなったことで、ロックゴーレムが完全に沈黙する。バラバラになったりはしないんだね。ちょっと意外。


「…それはあなたがロックゴーレムの体を固めてるからよ!」

「あ」


 そっかそっか。忘れてた。


「全く……どうしてそういう所は抜けてるのかしら」

「うぐっ」


 自覚は、ある。なんというか…ひとつの事にしか集中できない体質というか。そんな感じなんだよね。


「…まぁ、いいわ。ちゃんと戦えてたし。……倒し方はアレだけど」

「じゃあ本来はどうやるの?」

「本来、というか、決まった倒し方はないんだけどね。でも、少なくともあなたみたいは倒し方は、聞いたことも見たことも無いわ」

「へー」

「…で。その私が知ってる倒し方は、大体ゴリ押しね」

「ゴリ押し?」

「そう。岩には岩をってね」


 あぁ……想像できちゃった。ロックゴーレムに魔法で岩を撃ち込むところ。ゴリ押しってそういうことね……。


「足なんかを壊せば再生するまで時間がかかるから、その間に胸部の外殻を破壊して魔石を取り出すの。でもその時、外殻と一緒に魔石を吹き飛ばしちゃうってこともよくあってね…」

「な、なるほど…」


 前にダンジョンで大爆発を起こした時、魔石は無傷だった。そのことから考えると、魔石が壊れるという心配は要らないんだろう。でも、見失うっていう可能性があるとは思わなかったなぁ……。


「まぁ、アレを見る限り、フィリアにその心配は要らないわね」


 まぁ、ねぇ。直接ほじくり出すから。


「……あれ」

「どうしたの?」

「…さっきまでこの奥にいたはずの、ロックゴーレムの反応が消えた」

「どこかに行ったんじゃない?その場に留まってる訳じゃないし」


 確かにそうかもしれないんだけど……範囲外に行ったというより、いきなり消えた感じなんだよね。

 ……気にし過ぎかな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓↓↓他の執筆作品はこちら!↓↓↓

『異世界転移は定員オーバーらしいです』

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ