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第109話 弟子2号?できました

「そっちからどうぞ?」

「……分かった」


 なんでこうなるんだ……そもそも俺、男だぞ?力の差だってある。例え年上だとしても……仕方ない。一撃で終わらせよう。


 縮地スキルを使って、一気に近づく。そして胴体目掛けて…!


「でも遅いね」

「なっ!?」


 これを受け止めるのか!?しかも遅いって……。

 俺が驚いていると、木剣を押し返された。なんて力だよっ!?


「くっ!」


 後ろに飛び、思わず距離をとる。どこからあんな力が出るんだ!?


「じゃあいくよー」


 今度はあっちからくるつもりらしい。姿が掻き消えるなんてことは無く、走ってきただけだったが、俺は油断せず構え……


「っ!?」


 しっかりと構えたはずなのに、危うく木剣が弾き飛ばされるところだった。


「おぉ。これ止めるか」


 ……その声で分かった。まだこれは本気ではない。

 だが、俺だって勇者の称号を持ってるんだ。ここで負けるか!


「おっと」


 全力をもって押し返したが、体勢を崩すことすら出来なかった。


 そして何かしらの力の圧を感じて……意識を失った。





 ◆◇◆◇◆◇◆◇



「……そうだったよな」


 目を覚ますと見慣れた天井が目に入り、ベットに寝かされていたのが分かった。

 そこで自分の記憶を整理したが……今でも信じられないよな。


「はぁ…」

「すぅ…」


 ビクッ!


 いきなり自分のものではない寝息が聞こえ、体が強ばる。

 寝息が聞こえた方を見ると……俺のベットに頭を乗せて寝ているフィリア……いや、お姉ちゃんがいた。てかなんでいるんだ!?


「え、ちょ、これ…」


 ど、どうすんだよこれ。

 窓の外をみるともう日は昇っていて、それなら起こした方がいいんだろうけど……


「いや、でも…」


 お、女の子だぞ?実の姉だって分かったけど……そ、それでもなんか、こう…


「どうすんだ…」

「ふふっ…」


 わ、笑った?今笑ったよな!?お、起きてるのか?

 思わず顔を覗き込むと、瞼が開き、2つの色の違う瞳が現れた。


「起きてたのかよ…」

「ごめんね。アッシュが起きた時にはもう起きてたんだけど、ちょっと独り言が面白くて…」


 そう言ってまたしてもクスクスと笑い出した。

 あー!恥ずかしい!


「と、ところでなんで俺の部屋にいるんだよ!」


 恥ずかしくて、早く話題を変えようとする。


「起こしに来た」


 ……寝てたら意味ないだろうが。


「まぁそうなんだけど…気持ちよく寝てる顔を見て眠くなって…」

「だからって寝るなよ!?」


 なんで俺は朝からこんなに叫んでるんだ…。


「叫んでるのはアッシュだけどね」


 そうだけどな!?その原因は誰だよ!

 ………ん?俺、なんで叫んでるんだって声に出してなかったよな。その前も。


「とりあえずそれは謝るから、早く降りてきてね」


 そしてお姉ちゃんは走り去って行った……って、やっぱり心読まれてるよな!?



 ーーーーーーー


 アッシュの反応が面白かったので、つい久しぶりに読心眼を使ってしまった。おそらくアッシュは私が心を読んでいたことに気づいただろう。まぁ気づかれても大して問題ないけど。


「おはよー、アッシュ」

「……おはよ」


 下に降りてきたアッシュに改めて朝の挨拶をかける。ちょっと機嫌悪い?心読まれたからかな?


 あ、そうそう。昨日アッシュが私のことを異性として見ていたのは聞いたけど、よく考えたらそこまで気にしなくてよくね?って思ったんだよね。

 だって見られてたのは私であって、それに私は気づいてなかったし、そんな気持ちもないからね。

 ………まぁアッシュはどうか分からないけど。


「おはよう、2人とも。朝ごはんたべちゃって」

「はーい」

「……うん」


 アッシュと向かい合わせに座り、朝ごはんを食べる。

 ……会話がない。


「あ、ママ、パパはいつ来るの?」


 さすがにアッシュに話しかける勇気はないです。


「さぁねぇ。いつになるかは分からないわね。聖剣が直らないことには」


 それもそうか。一日二日で直るような代物ではないからね。


「聖剣…?それがどうしたの?」


 あ、そうか。アッシュは知らないのか。


「ちょっと壊れちゃったから、直してるのよ」


 理由は教えないつもりのようだ。まぁ言っても理解するのは難しいだろうしね。


「そう、なんだ……」


 ………………………………

 ……………………………

 …………………………


 またしても無言の時間が流れる。

 何時まで続くのーーー!!




「……なぁ」


 その沈黙を破ったのは、意外にもアッシュだった。

 その問いかけは多分、私に対してだろう。


「なに?」

「……僕、いや、俺に剣を教えてくれないか?」


 私は思わず目を見開いた。だってアッシュからそんな頼み事をされるなんて思ってもみなかったから。

 マリアをみると、同じような顔をしていた。


「なんで?」

「……」


 恥ずかしいのか、アッシュが顔を逸らす。


「…強く、なりたいから」


 小さな声。強くなりたい、か……


「どうしよう?」


 私はマリアに目線を向けて助けを求めた。


「うーん、いいんじゃない?」


 軽いな!まぁアッシュが強くなるのはいいんだけどさぁ。私、教えられる?


『大丈夫じゃない?』


 いや、私使うの刀だし。祝福(ギフト)で武器の申し子ってのあるけど、勝手に動くから教えられないし。


「…だめ、か?」


 今にも泣きそうな顔で振り向きながら尋ねてくるアッシュ。うぅ……


「……分かった。でも、我流になるよ?」

「それでいい……ありがとう」

「感謝するのは早いよ。じゃあ、今からやろうか」

「えぇ!?今から!?」


 なんかこの反応久しぶりだな。そう言えばシリル元気にしてるかな?今度会いに行ってみよう。ベルと一緒に、ね。


「はい。さっさと出る!」

「ちょっ!蹴るな!」


 さてさて。どう調きょ…ゲフン!特訓しようかな?












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