王城を出てから初日終了まで
王城を出ると日が傾いていた。
道なりに歩き続けると城下町につくらしい。
歩きながら少し考えることにした。
異世界もののお約束であるステータス関連について何も聞いていなかったこと。
そしてあれだけテンプレ展開だったのに、それを外れたものがあること。
そして、魔族のこと。
ステータスについては恐らく誰かに聞けばなんとかなるだろう。
テンプレを外れたものは今考えてもわからない。運が良ければいつか答えが出るだろう。
魔族は、見たことないし考えようもなかった。
しばらく歩くと大きな家が並ぶ場所に出た。
城下町ってこんなに遠いものなのだろうか。
振り返って見ると驚いた。王城は崖の上に建てられていた。
なんだろう、見た事のある気がする。アルカサル城みたいな感じ?
もうしばらく歩いた先に商業区らしき場所があったので露天のお兄さんに聞いたところ、大まかな王都の街並みを教えてくれた。
王城を中心に半円状に広がり内側から上級貴族、商業区、平民、下級貴族の順に並んでるらしい。
下級貴族が最も外側なのは有事の際にすぐに行動できるようにとの事だ。
宿屋は平民が商業区の東側に高級宿、西側に安宿があるらしい。
お兄さんに礼を言い、果物を買って西へ歩く。
少し歩いた先に看板が見えてきた。
ベッドとスプーンとフォークのマーク。わかりやすい。
店の名前は【ねこのしっぽ亭】
部屋が空いてる事を確認しとりあえず一泊を頼んだ。
夕食がついているようだが周りで食べてる人の皿の上が
美味しそうに見えなかったこともあり断った。
今日は疲れた、今はゆっくり眠りたい。
案内された部屋は六畳ほどの広さにベッドと鏡台が置いてあるだけの簡易な部屋だった。
トイレは共同らしい。
案内してくれた店員に礼を言い、ドアを閉めてすぐに
ベッドに仰向けに横たわる。
落ち着いてみると急に異世界に来たということを実感した。
そんなつもりはなかったが興奮していたのだろう。
考えることは沢山ある。
ステータスのこと、テンプレから外れたものの事、これからの生活のこと。
でもそんな事は今はどうでもいい、ただただ眠りたい。
まどろむ意識の中僕は呟いた。
「昨日の晩飯なんだっけ?」