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第97話 転魂前 その3 紗良視点

★紗良がこの世界に一回目に転移してきたときのお話です★


 私の名前は紗良。

 普通のOLで24歳のゲームオタクのはずだった。

 明日は会社休みだー徹夜だー!とスマホゲームをやりながら寝落ちしたはずなのだけれど、なぜか起きると、森の中にいた。


 この景色は見覚えがある。


 なぜかというとついさっきまでやっていたスマホゲームの背景スチルにそっくりだからだ。

 森の中で木々が生い茂っていて、木にはドラゴンフルーツのような青い木の実が実っている。

 近くにキラキラ光る泉があり、空は真っ赤な月がのぼっていた。

 これは何度も見たシーン。乙女ゲームのヒロインちゃんが召喚されたシーン。

 主人公が最初に降り立った森だ。

 なぜかその森に私はパジャマ姿で寝っ転がっていた。


 私は夢をみているのだろうか。


 もしかして私がヒロインになったとか!?

 若い女子中学生のかわいい女の子になってるかも!?

 ぱっと泉に映る自分を見てみる。

 ……うん。そのままだ。24歳の私の姿そのままじゃん。

 この年齢とこの容姿でゲームのヒロイン枠に収まるのはむりだぁぁぁぁぁ!!

 そもそもいい大人が学園なんか入ったら単なる不審者ジャン私!!


 ふぅ。夢の中でも24歳のままとかリアルすぎるでしょ。

 せめて夢の中くらい女子高生になって、乙女ゲームヒロインを純粋に楽しませてくれてもいいとおもうの!リアルの姿そのままで攻略対象と恋愛モードとか、無理すぎる。


 まぁとりあえずゲームの世界にきたならステータス確認しないとね。

 あこがれの異世界転生の夢を見ているなら全力で楽しむまで。

 どうせ夢だし!


 私がステータスオープンというと本当にそのままステータス画面が現れた。


【称号】異世界よりの来訪者


 レベル1

 力9

 知恵12

 体力10

 精神力20

 すばやさ5



 属性レベル

 火 レベル1

 土 レベル1

 水 レベル1

 風 レベル1


 光 レベル1

 闇 レベル1


 などなど。


 ……。

 ほー……。


 ちょっとまってぇぇぇぇ!!夢ならここは全部999にするべきだと思うの!

 夢でまでダメな子ってそんな現実いらない!!

 夢くらいチートでいこうよ!チートで!

 しかも魔法レベルがあるのに魔法一つ覚えてないし!!


 私の持っているスキルは「鑑定」と「アイテムボックス」だけ。

 これがチート特典なのだろうか? 私の夢の中のはずなのに特典しょぼい。

 せめて夢の中なのだから豪華に全部覚えているべきだと思う!

 願望駄々洩れていくべきなのになんでこんなしょぼいの!?

 とりあえず今使えそうなスキルはアイテムボックスくらいじゃん。


 試しにアイテムボックスのボタンを押すと、目の前に「ぶぉん!」と音をたてて楕円型のブラックホールの入り口みたいな謎の何かが出現した。


 試しに落ちてた石を入れてみると、ステータス画面のアイテムボックス欄に石1と表示される。


 うーん。特にアイテム数の上限はないみたいだからもてるアイテムの種類は無限かな?

 ゲームと同じなら無制限のはずなんだけど。


 私がステータス画面とにらめっこをしていると「ぐるるるる」と何やら動物のうなる声が聞こえた。



 え?なんだろう?


 声のほうに振り返ると、そこにいたのは黒い毛並みのでかい狼。

 草むらから、がさこそと姿を現したのだ。


 え!?ちょ!?モンスター!?

 ゲームで見たことある!!レベル15のモンスターワーウルフだ!!


 や、やばい戦わないと!!


 魔法一つもってないのにどうやって!?


 ぐるるるとうめきながら威嚇してくる狼に私は身構えた。


 そうだ!このゲームバグ技があったはず!!


「がおぅぉぅ!!」


 モンスターがとびかかってきた段階で、私はステータス画面のアイテムボックスボタンをおしてアイテムボックスを展開した。


「がうっ!?」


 モンスターが一瞬ひるむけれど、かまわず突っ込んでくる。

 勝負はワーウルフが突っ込んできた瞬間!


 いまだぁぁぁぁ!!


 モンスターの攻撃のタイミングでアイテムボックスから先ほどいれた石を取り出した。


 とたん。


 しゅおぉぉぉぉ!!!


 アイテムボックスがモンスターを吸い込みはじめた。


「がうっ!?」


 物凄い引力になすすべなく吸い込まれていく狼ちゃん。

 アイテムボックスは狼を吸い込むと何事もなかったかのように消えていく。


 うっしゃぁぁぁぁ!!通じた!!


 秘儀、攻撃のタイミングでアイテムを取り出すとなぜかアイテムボックスに敵が収納できちゃバグ技!!

 タイミングがかなり難しく、もともと乙女ゲートRPGの組み合わせのゲームでそんなことを極めようとするプレイヤーがあまりいなかった&アイテムボックスに入れたモンスターは取り出せないのでマジで役にたたない技なのであまり普及しなかった。


 そのため修正アップデートでも修正されずにずっと残っていたバグ技だ。

 私はアイテムボックスにワーウルフが収容されているのを確認するとぺたりと座り込む。


 ……超。怖かった。

 いや、もういくら夢の中とはいえゲームの中に転移とか勘弁してよもぅ。


 ……いやそれよりも。たしかこのワーウルフに襲われて逃げているところで主人公ちゃんはメリルって大魔導士のおばあさんに助けられたはずだけど。

 私がうんうん考えていると、


「あんたそんなところで何やってるんだい?」


 声が聞こえて振り返る。そこにいたのは緑のローブ姿の杖をもったメリルお婆さん。

 ……え?なんでヒロインを拾うはずのメリルさんがここにいるの?

 ちょっとまってナニコレ私ヒロイン枠なの?


 私はそのまま固まるのだった。



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書籍版 【悪役令嬢ですが死亡フラグ回避のために聖女になって権力を行使しようと思います】

2022年 1月8日発売です!何卒何卒よろしくお願いいたします!


挿絵(By みてみん)


 マトリ先生による美麗表紙になります!!


 書籍のほうはプロのライター様および編集様ご指導のもと加筆&修正&書下ろしがありますー!紗良とカルロさんのエピソードも強化し、書下ろし番外編も収録となっております。

 またアニメイト様&書泉様(一部店舗を除く)にて特典SS付となっております。

 詳しくは下にある書影をクリックしていただけるとベリーズファンタジー様の紹介ページに飛べます!

 お手にとっていただけると嬉しいです。


 またコミカライズ版も2巻まで発売中です!!何卒よろしくお願いいたします!



★小説のほうはその14で完結予定です!完結までかけていますので引き続きお付き合いいただけると幸いですー!★



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