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第93話 おまけ レナルド王子と紗良

「これはまた君は凄いものを発明したね」


 オタク特有の作れる技術があったら作っちゃおうゼと熱気球をクライムさんやラディウス様達と作り、領地の丘で気球をあげていたら、なぜか呼んでもいないのにレナルド王子が部下数人を連れてひょこり顔をだした。

 いつもの金髪シェールさんではなく、そのままレナルド王子の姿だ。

 つい視線は一緒についてきたシェールさんの方に向いてしまう。


「殿下どうしてこちらに?」


 ラディウス様と気球を上げていたクライムさんが私たちの方によって来る。


「空を飛べる乗り物の初飛行だ、是非その場に立ち会いたいじゃないか」


 にっこり笑うレナルド王子にクライムさんが「うっ」とした顔になり、


「連絡が遅くなって申し訳ありません、試運転が終わってから正式にと思っておりましたので」と、頭を垂れる。


「かまわないよ。それより空を乗る乗り物の許可は精霊王様からおりたのかい?」


「はい、精霊王様達も連絡網を作ったので、領地外の問題も対処できるから、作っても大丈夫と許可をもらいました」


 私が気球を見上げながら言うと、レナルド王子も気球を見上げた。


「君には本当に驚かされるよ。よく気難しいと聞く精霊王様達を一つにまとめ上げられたね」


 と、王子。私の関わった精霊王様達は皆いい人(?)達ばかりだったけど、基本精霊王様は気難しいらしい。ルヴァイス様も、「あそこの精霊王は扱いにくい、話を聞くかどうか」とぼやいていた。けれど、私達には精霊王様よりもっとすごい人が味方だったりする。


「高いもきゅー!!たのしいもきゅー!!」


 普段の手のひらサイズではなくビッグサイズになって気球を満喫しているハムちゃんを指させば、「あ、ああ、なるほど」と、王子も半眼で頷いた。


「やっぱり持つべきものは権力を持つ知り合いですね!」


 ガッツポーズをとりながら私が言うと


「うん、君のそういう権威主義な事をサラリという性格は嫌いじゃないよ」


 と、王子に返される。うっ。気球の成功にテンションが上がりすぎてつい本音が。

 だって、これでも苦労したんだよ!気球を作るよりも本当に個人主義者の集まりの精霊王様達をまとめるのが大変だった。あーでもないこーでもないと、連絡取り合う事を嫌がるし。ハムちゃんが「嫌がる奴は我の萌えポーズを毎日見せに行く!!」の一言でみんなあっさり、合意したのだけれど。

 あの苦労の先にやっと気球開発が進められているのだからテンションも高くなっても仕方ないと思う!


「本当に君を妻に迎え入れられないのが残念でならないな。

 どうだい今からでも僕の妻候補になってくれないかな」


「またそういう事を言うとカルロさんが誤解するのでやめてください。

 本当、レナルド王子って私というよりむしろカルロさんをからかうの好きですよね」


 私がため息交じりに言えば、レナルド王子の動きがとまり、唐突に顔を近づけて


「もし、本気だと言ったら?」


 と、見つめてきた。これが少女マンガだったらイケメンキターとなるのだろうけど……


「ないです。ありえないです」と、即答する。


「……間もおかず即答で断るとは手厳しいな」


 肩をすくめる王子に私は笑う。


「冗談はほどほどにしてくださいね。私はカルロさん一筋だし、それにーー」


「それに?」


「レナルド王子って相手のいる女性に手を出すほど不誠実ではないじゃないですか」


 私がそう言えば、王子が驚いた顔をする。

 そう、このレナルド王子なんだかんだで誠実なんだよね。口でからかっても絶対に嫌がる事はしない。政治的判断が必要な時などでも被害が最低限で済むように努力してくれる。

 からかいこそするものの、基本誠実なのは一緒に荒神と戦ったからこそ私も知っている。


「だ、そうですよ、殿下」

 と、シェールさん。


 なぜか後ろで話を聞いていたシェールさんとクライムさんが必死に笑いをこらえていた。


「……うん、これはまいったな」

 と、顔を押さえる王子と笑いをこらえる二人。


 私は何か変な事を言ったかな?

 私が疑問符を浮かべているとカルロさんがダッシュでやってきて、王子と漫才を繰り広げるのはやっぱりお約束だった。



***



「手痛く振られましたね殿下。これで諦めもついたのでは?」


 紗良たちと別れ、馬車に戻ればシェールが面白そうにレナルドに話しかける。


「ああ、言われてしまえば返す言葉もないよ。

 二人をからかえるくらいにはなりたかったけれどね。僕にはそれも無理らしい」


 と、ぶすっと答えるレナルドが可笑しくて


「すでに諦めたのでは?」


「そうなるようには心がけているけどね、人間はそう簡単に割り切れるものでもないだろう」

 と、空を見上げはぁーっとため息をついた。


 まったく彼女には敵わない。

 あのような事を言われてしまえば好きだと告白できるわけもない。


「どうやら僕は誠実な人間でなければダメらしい」


「誠実と真逆の殿下には似合いませんね」と、シェールに返されて苦笑いを浮かべる。


 恋愛とはうまくいかないものだと。





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ブックマーク&ポイントも本当にありがとうございました!


関わってくださったすべての人々に感謝✧\\ ٩( 'ω' )و //✧. ✧

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