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第91話 その後12


「紗良……そのごめん」


 あれから舞踏会が終わりーー私達に用意された別室に戻ったとたん、カルロさんがふさぎこんだ様子でそう言った。


「え!?何がですか!?」


 あの後レナルド王子に引っ張られて、舞踏会会場に戻ってからは行儀よく二人で舞踏会を見ていたはずだけれど。


「……その。帝国の貴族の前であの態度は君に恥をかかせてしまったかと……」


 しゅんと言うカルロさんだけれど


「大丈夫ですよ。もう帝国の皇帝に会う事なんてないでしょうし。

 いざとなったら聖女であるレティの方が上なんですから、カルロさんはどんとしててください!」


 私が言えば、カルロさんは微笑んで


「うん。これでは逆行前とかわらないね」


 と、はにかんでみせた。


「逆行前?」


「今も逆行前も……君に守られてばかりだ。

 守ると誓ったのに」


 言って手を取られて私はどきりとする。

 しぐさがいちいちイケメンなのはどうにかならないだろうか。


「カルロさんは守ってくれてますよ?」


「……え?」


「隣にいてくれるだけで、安心できます


 記憶をなくしそうで怖くて震えていた時慰めてくれたこと。

 実の子じゃないと知っていながら見捨てないでいてくれたこと。

 初めてレナルド王子が来た時、王族に逆らってまで自分の命を助けてくれようとしたこと。

 精神世界に連れていかれた時、身を挺して守ってくれようとしたこと。


 全部が全部嬉しくて。


 カルロさんが側にいるというだけで安心出来ました。

 最後に、邪神とも戦えたのは……側にカルロさんやみんながいてくれて、きっと何とかしてくれると信じていたから。

 一人だったらきっと怖くて何もできなかったと思います」


 そう言って私もカルロさんの手を握る。


「カルロさんはいつも私の事を守ってくれるって信じてますから」


 私が微笑めばーーカルロさんに抱きしめられた。



■□■



「お嬢様!成功です!

 王都では帝国皇帝の前でいちゃついていた馬鹿ップルと評判になっています!」


 次の日。

 やっと舞踏会が終わった、私がくつろいでいたら、ミレイユが容赦なく黒歴史を掘り起こしてきた。

 なんでも皇帝の前でもいちゃついていたして噂になっているとかで、これはしばらく第二夫人は取らないだろうと噂になっているらしい。


 いや、もう本当恥ずかしい。

 でもちょっと嬉しいじゃん。

 元奥さんにそっくりな美人さんがきても、全然めもくれず私に注目してくれるカルロさんとか。

 皇帝の前でもはしゃいじゃうカルロさんとか。


 ……にしても、ごめんレティ。

 聖女就任式に親は醜態をさらしただけで。両親ともども頼りにならなくて……。

 あとでレティに謝らないと。


 最初の母親デビューが子供の足を引っ張る形になってしまい、私は大きなため息をつく。


 ちゃんといいお母さんになれるといいな。



■□■



「いやぁ満足もきゅ!!」


 ミレイユがカルロさんの仕事を見張っています!と、部屋をでていき私が一人部屋で恥ずかしさに悶えていれば、何やら嬉しそうなニコニコ顔をしたまま神様が部屋にもどってきた。


 うん。そう言えばハムちゃんの存在を忘れていた。

 2日くらい見なかったかもしれない。


「何かいいことがあったの?」


 私が言えばハムちゃんがもきゅもきゅと嬉しそうな顔をしたまま。


「紗良の事を調べてる怪しいやつがいたもきゅ!!」


「え!?」


「安心するもきゅ!!34時間我の悩殺萌えポーズを見せてやったら改心したもきゅ!!!」


 と、お目目を輝かせながら言った。

 どうやらかなり満足だったらしく毛並みがつやつやしている。

 34時間ハムスターの謎ポーズを見せられた人達には同情が禁じ得ない。

 ……そういえばレナルド王子が、帝国が何か動くかもしれないね?とは言っていたけど帝国の人が私の事を調べていたのだろうか。

 あとで王子に報告しておこうと思う。


 ハムちゃんが防いでくれなかったら、あの元奥さんそっくりな女の人以外にも、何かこちらにちょっかいを出してくるつもりだったのかもしれない。


「えーっと、それはありがとうございます!」


 私がそう言えば


「お礼はいいもきゅ!!それより34時間悩殺萌えポーズ中、新しい萌えポーズを思いついたもきゅ!ぜひ見てほしいもきゅーーー!!」


「あ、それは遠慮しておきます!!」


「即答もきゅ!?しかも断るとか!?何故もきゅかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 紗良は我の扱いが酷いもきゅ!!とぷりぷりしながら、満足気にお腹を撫でられる神様を見て思う。


 きっと私は幸せなんだろうなって。 



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