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第76話 ただいま

「お嬢様!!!」


 20層までの探索を終えダンジョンから地上に戻るなり、何故か即行でミレイユに抱きつかれた。


「ただいまっ!!!よく連絡してないのにわかったね?」


 と、私が言えば、歩き方と仕草でわかりますよと、ふふんとツンデレキャラ風に微笑まれた。

 私が戻ったことはまだ連絡してなかったはずなのに、すぐわかっちゃうところは流石ミレイユだなぁ。

 嬉しくなって私もミレイユを抱きしめる。


 ミレイユは皆にカルロさんが帰還した事を教えるため毎日ワープの場所で待っていてくれたらしい。


 あの後、私は告白されて嬉しさに悶えまくったり、命のおんじんだーと騎士達になぜかかつぎあげられたり、アイテムボックスに黄金龍をしまったら、王子に「君は再会するたびに人間離れしていくね?」と突っ込まれたりといろいろあった。


 ハムちゃん神様が、ダンジョンおかしかったからとりあえず全部ボスモンスター倒してエラーを全部修復してきた☆

 と、口の中から倒した各階層のボスモンスターを全部吐き出した時は軽くホラーだったりもした。


 のちに、このモンスターを全部市場に放出すれば、いままで価値の高かったものがゴミと化し市場が大混乱すると、クライムさんがどの商品をどのタイミングで売るか頭を抱える事になるほど激レアモンスターもりだくさんだったらしい。



 ……にしても、私は地上に帰還して指示を出しているカルロさんを横目でチラリと見やる。

 このあと騎士達の帰還が報告され、国をあげての大パレードになるらしい。


 王子もカルロさんもその準備でこれから大忙しになるとか。


 仕事をするカルロさんはカッコイイのだけれど、時々チラリとこちらを見ては視線があうと、にっこり笑ってくれる。


 ああ、イケメン過ぎて逆につらい。


 ただ、お互い好きだと伝えあって、付き合えるのかと思ったのだけれど、カルロさんにもう少し時間を置いてからにしようと言われてしまった。


 カルロさんには私の事をレティとして生まれてくる前から好きだったと言ってもらえたのだけれどループ前の私は、カルロさんの気持ちに気づいていなかったし、恐らくカルロさんに気持ちもなかっただろうと。


 正直、前世の記憶は朧気にはあるのだけれど、カルロさんが好きだったかどうか思い出せない。


 まだ、レティとしての思いに引きずられたまま、カルロさんに好意があるだけかもと思われてるらしい。


 否定はしたけれど、散々同じ悩みを抱えていた私に断れる度胸もなく。

 しかも


「君自身の気持ちが現時点で私になかったとしても諦めないから。

 これからでも君に好かれるように努力するよ」


 と、超イケメンスマイルで言われて撃沈したわけで。

 気づけば悩む立場が逆になってしまった。

 どうにもこの世界に戻ってきてからのカルロさんは積極的すぎて心臓がもたない。


 さらりとおりにふれては。好きだよとか愛してるとか言ってくる。


 男性免疫の少ない自分にとっては嬉し恥ずかしすぎてある意味拷問に近いのだけれど。


 思い出しては顔を赤くしてしまい


「ああ、旦那様と何かあったのですか?」


 と、ミレイユに突っ込まれる。


「な!?

 ないっ!?何もないからっ!!!!!」


 私が答えれば思わず声がうわずってしまい。


「隠す事ではないでしょう?

 よかったですね。元の身体に戻れて」


 と、微笑むミレイユ。


 その言葉に、私は思わずぐっと来る。

 そうだ、願いが全部叶ったんだ。


 ちゃんと自分の身体に戻れて。

 ちゃんと自分の気持ちを伝えて。


 カルロさんに好きと言ってもらえて。


 ずっとずっと望んでいた事が。

 今こうして現実となった。


 まだ、付き合ってると言える段階じゃないかもしれないけれど。

 想いが伝えられなかったあの頃に比べれば夢のようで。


「うん、ありがと」


 そう言ってミレイユの肩に顔をうずめた。

 

 これからがスタートで。

 時々喧嘩したり、誤解したりもあるかもしれないけれど。


 きっとカルロさんとならやっていける。


 だからちゃんと伝えなきゃ。

 レティの気持ちでなく、私がカルロさんを好きだって。


 私が意を決してカルロさんの方を見れば……


 何故か神様がカルロさんたちに(神様の思う)可愛い萌えポーズを披露しているのだった。

 もちろん、ツキノワグマ並みの巨大なネズミがあのポーズをとっても可愛いわけもなく。


 周りが困った風に固まっている。


 ………神様いつまで一緒にいるつもりなんだろう。

 私はトホホとため息をつくのだった。

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